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2010年01月20日

湯浅誠「ただでさえ弱いのに分裂してどうするんだ」

湯浅誠さん
湯浅誠さん(「反貧困世直し大集会」東京芝公園、2009-10-17)


自分でも「元気がないな~」と感じるときは、湯浅誠さん(「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」事務局長)の言葉に接して、勇気を取り戻すことにしています。

そんな習慣をもつ私(喜八)は湯浅誠さんのことを内心で「天気快晴の戦略家」と呼んでいます。
湯浅さんの前向きな、あくまで「生」を志向する言葉・思想に触れるだけで、私自身も(少しだけ)積極的になれるような気がしてくるのです。


これまでも「喜八ログ」では以下のような湯浅誠さんの言葉を紹介してきました。
いわば「湯浅誠語録(喜八編集版)」ですね。
以下の引用文中、《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です。

 私《湯浅誠》は、他人の人生をナメている人間が嫌いだ。「そんなこともできないのか」と見下したように言う人間を見ると、「あんたはそんなにゴリッパなのかい」と瞬間的に反発を感じる。その反発は、人間ではなく、社会に対しても同じように感じる。生きていけなくなった人が続々出ても、何の問題もないかのように平然と回っていく社会を見ると、「この社会はそんなにゴリッパなのか」という反発を覚える。(『岩盤を穿つ』文藝春秋社、8頁)
 私の場合、運動をつなげていくという発想は弱さの自覚から生まれています。我々は小さいので、自分たちだけでは何もできません。「いろいろな人たちとつながらなければ、何もできない」という自覚があるから、一生懸命考えるのです。(『岩盤を穿つ』188頁)
「上から目線」という言葉がある。人を見下したような、自分が相手より上に立っていることを前提にしたような考え方・発言という意味だが、自己責任論をふりかざす人たちに共通しているのが、その「上から目線」だ。というか、自己責任論はかならず「上から目線」になる。「上から目線」のないところに、自己責任論は生じない。
 なぜなら、自己責任論とは、そもそも仕事がうまくいかなかったり、生活が立ちゆかなくなったりした人たちに対して、うまくいっている人たちが投げつけるものだから。(『どんとこい、貧困!』理論社、153-154頁)
 自己責任論の一番の目的、最大の効果は、相手を黙らせることだ。
 弱っている相手を黙らせること。これは弱い者イジメだ。
 弱い者イジメをする人間は、いつの世も、強い者には絶対に歯向かわない。強い者に対しては「自分も仲間に入れてください」と媚びる。自分が強い側にいなければ、弱い者イジメができなくなるから、弱い者イジメをしている自分はいつか仕返しされるんじゃないかと怯えているからだ。だからかっこ悪い。(『どんとこい、貧困!』156頁)
 何かすごいことをやろうとすると、何もできなくなっちゃうんですね。すごいことなんて絶対にできませんから。最初は小さいことから始めるしかないんです。それは小さいことだから意味がないということでは決してないということです。(『湯浅誠が語る「現代の貧困」』新泉社、48頁)
 他の多くの国において「貧困と戦争」はセットで考えら《れ》ているテーマである。日本も遅ればせながら、憲法九条(戦争放棄)と二五条(生存権保障)をセットで考えるべき時期に来ている。衣食足るという人間としての基本的な体力・免疫力がすべての人に備わった社会は、戦争に対する免疫力も強い社会である。(『反貧困』岩波新書、212-213頁)
 一つ一つ行動し、仲間を集め、場所をつくり、声を上げていこう。あっと驚くウルトラの近道はない。それぞれのやっていることをもう一歩進め、広げることだけが、反貧困の次の展望を可能にし、社会を強くする。貧困と戦争に強い社会を作ろう。今、私たちはその瀬戸際にいる。(『反貧困』224頁)


今回は堤未果さん(ジャーナリスト)と湯浅誠さんの共著『正社員が没落する ――「貧困スパイラル」を止めろ!』角川書店(2009)からの引用を追加します(213-214頁)。

湯浅 私はよく運動体の人に話をする時に言います。みんな、行政のことを縦割りだ、縦割りだって批判しますが、運動も立派に縦割りだと。
 我々は貧困問題をカギにそこを乗り越えたいと思っています。  いろんな不協和音がありますが、この一、二年は上手《うま》く行っています。
 それは、ただでさえ弱いのに分裂してどうするんだと話すと、みんな一応わかる。
 そういう集まりを作ると、メディアも注目してくれるんです。新しい形にすることで、それが求心力を持つイメージになる。だから、今は乗っかっておいたほうが自分たちにもメリットがあると感じられるんです。
 そういうものを発展させていかないと、勝ち目がない。負けっぱなしになってしまう。
 ニューヨークで一人の運動家をインタビューした時に、「自分たちのたどってきた道を振り返ってこれはまずかったと思うことは何ですか?」と聞くと、敵を間違えていたことがあったという答えが返ってきました。だんだん自分たちの敵が小さいほうに行ってしまい、本当は大きいところを見て団結して倒さなきゃいけなかったのに、その時はばらばらになってしまったと言っていました。
湯浅 学生さんなどから、非常に素朴に、同じようなことを言っているのになぜ一緒にやらないんですか、と聞かれることがありますね。それは、詳しい内情を知らないのが悪いんじゃなくて、その素朴な感覚のほうが正しい。小さな違いにこだわるのは、それはそれで悪いことじゃないけど、やはりその素朴な疑問に応えられないと、運動は広がらないでしょうね。


湯浅誠さん、素晴らしい言葉の数々をありがとうございます!


もやい」スタッフ・うてつあきこさんの著書『つながりゆるりと自然食通信社(2009.11)を紹介させていただきます。
いっさいの社交辞令抜きで、とても素晴らしい本です(「喜八ログ」の関連記事)。

『つながりゆるりと 小さな居場所「サロン・ド・カフェ こもれび」の挑戦』うてつあきこ
つながりゆるりと』うてつあきこ、自然食通信社
うてつあきこ 2003年8月より、もやいのボランティアスタッフとして活動に参加。2004年6月、「サロン・ド・カフェ こもれび」を当事者と共に立ち上げる。2005年12月より、こもれびコーヒー焙煎プロジェクトを立ち上げ、2007年1月「こもれびコーヒー」販売開始。現在も、<もやい>のスタッフとして、交流サロンとコーヒー焙煎のコーディネーターを務めている。保健師。1995年より訪問看護に従事。現在、「NPO法人 訪問看護ステーションコスモス」に所属し、東京の山谷地域で訪問看護師として週2回勤務している。

(※『つながりゆるりと』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


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投稿者 kihachin : 2010年01月20日 20:00

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