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2010年02月14日

『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治

『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治
アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治、かもがわ出版(2010)


伊勢崎賢治・東京外国語大学教授(平和構築学)の新著『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせるかもがわ出版(2010.02)を紹介します。


まずは著者プロフィールから。
以下は『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』からの引用です(148頁)。

伊勢崎賢治(いせざき・けんじ)
 1957年生まれ。現在、東京外国語大学教授として、平和構築学を教える。
 早稲田大学理工学研究科修士課程修了後、留学中のインドでスラム街の住民運動に携わり、国際NGOでも活動。その後、国連PKO職員や日本政府代表として、東チモール、シエラレオネ、アフガニスタンで武装解除を指揮。著書に、『武装解除』(講談社現代新書)、『自衛隊の国際貢献は憲法九条で』(かもがわ出版)、『さよなら紛争』(河出書房新社)、『伊勢崎賢治の平和構築ゼミ』(大月書店)ほか。


「平和構築学」とはなんぞや?
と思われる方も少なくないと思います。
私(喜八)もそうでした。
そこで伊勢崎賢治さんの別著『さよなら紛争』河出書房新社(2009)から「平和構築学」に触れている部分を引用させていただきます(同書166-167頁)。
引用文中、《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です。

 現在、僕《伊勢崎賢治》は東京外国語大学で教職に就《つ》いています。「平和構築学」という講座を受けもっていて、学生に教えています。学生とはいっても2学年合計20人に満たない大学院の少数精鋭主義のクラスです。生徒は、イラク、アフガニスタン、インドネシア、カンボジア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ミャンマー、スーダンなど、紛争を経験している国々から学びに来ている留学生ばかりです。祖国の平和づくりのために役立てようと、日本に学びに来ているのです。
「平和構築学」では、戦争・紛争を真っ正面からとらえて分析します。第2次世界大戦後に起こった局地的な紛争を焦点に研究しており、テロリストによる戦争もテーマです。国連などの介入やほかの国がどう対応していくべきかということも研究対象にしています。
 問題を抱えている国々から学びに来ている留学生たちは、研究結果を持ち帰って自分の国に役立てようとしています。そして「自分ならこのようにして平和をつくり出す」という具体的なアクションプランを発表するのです。

以上の記述から判断すると「平和構築学」はきわめて実用的な学問のようです。
また、世界の紛争当事国から留学生たちが日本に「平和構築」を学びに来ることを知り、驚いたとともに誇らしい気持ちにもなりました。


それでは(前置きが長くなりましたが)伊勢崎賢治著『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』かもがわ出版(2010.02)の内容紹介に移ります。

このごろではアフガニスタンに関する(日本国内の)報道もめっきり減り、私(喜八)自身が新聞・テレビに接する時間も激減し、なんとなく「アフガニスタンは(以前よりは)平和になった」という印象を持っていたのですが…。
これが大間違いであることを『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』により知りました。

2009年03月末、就任3ヵ月の米国オバマ大統領は、アフガニスタンに米軍兵士1万7千人を追加派兵(すでに駐留している5万人に加えて)、アフガニスタン国軍と警察を2倍に増強、隣国のパキスタンに軍事協力を求めるため毎年15億ドルの援助を今後5年間行なうという「新戦略」を打ち出しました。
それで、どうなったか?

(米軍にとっての)アフガン戦局は急速に悪化していき、米軍戦死者数はピークを迎える。
2009年12月には、オバマ大統領は2回目の米軍増派3万人を決定。
現在のアフガニスタン国内には(2度めの米軍増派3万人を加えなくとも)米軍を含むNATO多国籍軍が10万人以上、アフガン国軍と警察を合わせて15万人以上、さらには無人爆撃機を含めた高度な空軍力が存在します。
これだけの戦力を持ちながら、米軍は「負けそう」なのです。
アメリカがアフガンにおいて単独で軍事的勝利を収めることが不可能なことは、誰の目にも明らかになってきている。
実際、いまアフガニスタン全土の半分以上を旧政権勢力「タリバン」が実効支配していると言われます。
「タリバン」がどれだけの軍事力を持っているかといえば…。
空軍力はゼロ。
戦車・大砲などの重火器類も、ほぼゼロ。
せいぜいが自動小銃や携帯用ロケットランチャー程度のきわめて貧相な軍装の勢力。
そんな「タリバン」に、最新鋭の武器を含む圧倒的な兵力をもつ米軍が負けようとしている…。

端的にいって、アフガン戦争は「泥沼」化している。
「第二のベトナム戦争」化している。
と言ってもよいでしょう。
「アメリカの指導者たちはベトナム戦争の『敗北』から何も学ばなかったのか?!」と言いたくなりような有様《ありさま》です。

なぜ米軍は「負けそう」なのか?
要は「人心掌握」戦に負けている、と伊勢崎賢治さんは指摘します。
誰の目にも「米国の傀儡《かいらい》」であることが明らかな、カルザイ政権が成立後8年かけても、国民の信頼を得られていない。
警察官・軍人を含む官僚の汚職はとどまるところを知らず、タリバン政権下では厳禁されていた麻薬栽培が野放し状態になり「人類史上最強の麻薬国家」の悪名を轟かせる現状。
空軍主体の米軍による対「テロリスト」攻撃は膨大な数の二次被害者を生み出し、アフガニスタンおよび隣国パキスタン国民の「米軍への憎悪」が急激に高まっている。
対テロリスト戦いでは、地元社会の人心掌握ができなければ、勝利は得られない。
米軍とカルザイ政権はアフガニスタン国民の心をまったくつかめていない。
だから「負けそう」になっている。

それでは、どうしたらいいのか?
どうしたら、アフガン戦争を終わらせることができるのか?


アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』という書名で明らかになっているように、伊勢崎賢治さんは「非武装自衛隊」のアフガニスタン派遣を提案します。
武器を携帯しない軍人が敢えて丸腰で紛争当事者の間に入っていく「軍事監視」任務。
非武装の俺を撃ったら、おしまいだよ」と身をもって停戦状態を体現する。
当然、殉職者も出る、高度な職能です。
この「非武装自衛隊」のアフガニスタン派遣という提案が、伊勢崎賢治『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』の核心部分なのです。
これは、間違いなく日本国内からも激しい批判が多く寄せられるだろう、きわめてリスクの高い政策提案です。
伊勢崎さんの日本国憲法前文の解釈「一国平和主義ではいけないと憲法は言っている」についても、評価は大きく分かれるでしょう(132頁)。

正直にいって、私(喜八)は伊勢崎賢治さんの提案の是非を判断する知識も能力も欠けています。
とは、卑怯なようではありますが、ぎりぎりのところの私の本心です。
「非武装自衛隊」のアフガニスタン派遣により、アフガン戦争を終結させる。
日本が主導して、アフガニスタンに平和を実現させる。
この伊勢崎賢治さんの提案について詳しく知りたい方は、ぜひとも『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』かもがわ出版(2010)を手に取り、読んで、ご自分で判断されてください。


以下は『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治、かもがわ出版(2010)のサイン入り本です。

『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治(サイン入り本)

ただし、私(喜八)が伊勢崎賢治さんからサイン入り本をいただいたのではなくて、友人の「お玉」さんの仲介でいただきました。
お玉さんは『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』の企画・編集にも関わられています。
なんでも打ち合わせ(酒宴)の際、伊勢崎賢治さんは「この本の印税は、お玉さんに上げます」と仰ったそうです。
本当にそれが実現するかどうかはともかくとして、それだけ伊勢崎さんとお玉さんは「相通ずる」ところがあったのだろうなあ、と思いました。

以前、お玉さんのおかげで、伊勢崎賢治さんに「はじめまして」と挨拶する機会を得ました。
ただし、伊勢崎さんとマトモに話をしたことはなく、ましてや一緒にお酒を飲んだこともありません。
お玉さん、いつか機会がありましたら、私(喜八)も酒宴の端っこに混ぜていただけると、大変にありがたく思います!
なんて(いつものように)物凄くずうずうしいことを言っていますが…(汗)。
これからも伊勢崎賢治さんとお玉さん、かもがわ出版東京オフィス代表・Mさんを応援したいと思います。
今後ともよろしくお願いします。


関連動画です。

伊勢崎賢治さん、アフガニスタンとパキスタンの柔らかい国境を提案


関連ページ


投稿者 kihachin : 2010年02月14日 12:00

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