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2011年12月20日

堅田香緒里さん講演「女/学生/ベーシックインカム」(感想)

堅田香緒里さん(かただ かおり/埼玉県立大学保健医療福祉学部・助教)の講演「女/学生/ベーシックインカム」が2011年11月26日に行なわれました。
これは早稲田大学戸山キャンパス(東京都新宿区)で開催された「公開講演会&トークセッション ベーシックインカム・フォーラム@早稲田VOL.1」第1部としての講演でした。

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 「ベーシックインカム・フォーラム@早稲田VOL.1」(感想)
 「ベーシックインカム・フォーラム@早稲田VOL.1」(写真)


次の写真、撮影は喜八です。
写真はクリックすると大きくなります。

最初に「ベーシックインカムとは何か?」を、堅田香緒里さんの言葉を借りて説明します。

〈全ての個人にその生活に必要な所得を無条件で保証する政策構想〉のことです。「個人単位」であること、そして「無条件」であることがその大きな特徴だと言えると思います。

(※フェミックス発行の雑誌『We』164号(2010年2・3月号)掲載・堅田香緒里インタビュー「ベーシックインカムに女性の視点を」から)

11月26日に早稲田大学で行なわれた堅田香緒里さん講演「女/学生/ベーシックインカム」で話されたことは以下の3点に関してでした。

  1. 学生を生きるということ
  2. 女を生きるということ
  3. ベーシックインカムを要求すること

講演は最近刊行された『ベーシックインカムとジェンダー 生きづらさからの解放に向けて』堅田香緒里・野村史子・屋嘉比ふみ子・白崎朝子、現代書館(2011)収録の堅田香緒里「女/学生/ベーシックインカム――女/学生に賃金を!」に沿ったものでした。
なので、ご興味のある方は『ベーシックインカムとジェンダー』を是非お読みください。
…というだけでは、あまりに素っ気ないと思いますので、更にいくばくか堅田香緒里さん講演@早稲田大学について書いてみたいと思います。

博士号は「足の裏の米粒」か?

これは講演中に堅田さんが紹介した俗諺(ぞくげん)です(※『ベーシックインカムとジェンダー』でも紹介されています)。
堅田さんがたまたま通院した病院で担当医師から聞いたのだそうです。
そのココロは、「取っても、食えない」。
いまどき博士号など取得しても「飯のタネ」にはならない、ということだそうです。
堅田さんは医者から聞くまで《博士号は「足の裏の米粒」》という俗諺を知らず、わたし(喜八)は堅田さんの講演をお聞きするまでまったく知りませんでした…。
最近は「高学歴ワーキングプア」ということがよく言われます。
日本は先進諸国の中では「例外的」と言っていい「大学の学費が高い」国なのです。
結婚せず子どものいないわたしは最近になって気づいたのですが、わたしが大学を出た1980年代以降急激に大学にかかる費用が上がっているのです。
そのため、日本には学費の捻出に苦しむ学生・保護者が多く存在します。
また堅田香緒里さんの言葉をお借りしますと《先輩でも、生活困窮に陥りいつの間にか行方不明になってしまった人は少なくない。未来を悲観し、命を落としてしまった友人もいる》。
堅田さん自身も、大学院の博士課程まで行ったため、700万円の借金があり、まだまったく返していないそうです。
ベーシックインカム・フォーラム@早稲田VOL.1」で発言した若い男性Kさんは博士課程修了で六百数十万円借りていて未返却とのことでした。
ところで、いまの日本で「奨学金」と呼ばれるものは原則的に「給付」ではなく「貸与」です。
平たく言えば「借金」「学生ローン」ということですね。
いっぽう諸外国で「scholarship」といわれる制度は「給付」です。
これは返さなくていいのです。
つまり日本は世界でもマレな「学生を借金漬けにする国」「学生を債権化する国」なのです。
子どものいないわたしは、つい最近になってようやく、こういった実態を知りつつあります。
もし、自分がいま20歳前後だったら、大学には行けないかもしれません(おそらく行けないでしょう)。
そして、つくづく「日本は、子どもや若者を育てようとしない、守ろうとしない国だ」と思うのです。
そんな社会にはたして「未来」はあるでしょうか?

さて「BIの無条件性」について堅田香緒里さんの言葉です(※「個人単位」に関しては今回は「スキップ」ということで…)。

働いていても、いなくても、結婚していても、いなくても、男でも女でも、いくつでも、極悪人でも、大バカ者でも、とにかく関係ない!

私たちが「普通」「人並み」「常識」「規範」だと思っていることの多くは「世間(他者)から押しつけられた」ことなのですね。
それが「当り前」と思って一生を終える人もいれば、「厭だ厭だ」と感じつつ我慢する人、我慢せず自分なりに生きる人、人それぞれです。
けれども、やはり「世間(他者)から押しつけられた」生き方ではない、ほんとうに自分が満足できる生き方をしたい。
そうやって、一生を終りたい。
このような願望はほとんどの人が抱いているのではないでしょうか。
ただし現実には、とても多くの人が我慢しつつ、「そんなものだ」と諦めつつ、生きて、死んでゆく…。
はてして、それでいいの?
もっと違う生き方・違う社会があるんじゃないの?
そういった様々な提案・代案の中に「ベーシック・インカム」もある。
と、かのようにわたしは現在考えています。

最後に堅田香緒里さんの言葉で当エントリを終りたいと思います。

・様々な仕方で、狡猾に持ち出される暴力
「働けイデオロギー」
「結婚しろイデオロギー」
「子産めイデオロギー」
・異性愛主義・家父長制に根差した性別役割分業や男女不平等の問題は基本的に暴力であるということ
・したがって、性別役割分業や婚姻制度に基づいた広義の社会保障制度もまた暴力であるということ
・じゃあ、私たちはどんな社会に暮らしたいのか?
・どんな働き方/生き方がしたいのか?
・そのためにはどんな(広義の)社会保障制度が欲しいのか?
★欲望や知恵を絞り合って、一緒に考えていきたいです。


※「公開講演会&トークセッション ベーシックインカム・フォーラム@早稲田VOL.1」は第2部の若い人たちによるトークセッションも非常に刺激的でした。第2部については改めてブログ記事にしたいと思っています(と言いつつ、あくまでノロマなわたし…汗)。


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(※上の猫画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


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投稿者 kihachin : 2011年12月20日 12:00

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