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2011年12月16日

「第2回生活保護制度に関する国と地方の協議会」(感想)

「第2回生活保護制度に関する国と地方の協議会」
生活保護制度に関する国と地方の協議に係る中間とりまとめ


第2回生活保護制度に関する国と地方の協議(議題:中間とりまとめについて)」が、2011年12月12日、東京・霞ヶ関の厚生労働省で行なわれました。
その傍聴感想エントリ第2回です(第1回)。


まず「貧困の当事者」として傍聴したわたし(喜八=中村順)の印象。
「国のホンネは《なにがなんでも生活保護利用者数を減らしたい! とにかく減らすことこそが『適正化』なのだ!》ではないのかなあ?」

やはり傍聴していた「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい稲葉剛・代表理事は問題点を次のように指摘しています。

生活保護制度に関する国と地方の協議「中間とりまとめ」。医療費自己負担導入は見送られたものの、求職者支援制度利用の義務づけ、「期間を区切った集中的な就労支援」等、かなり問題のある内容になっています。
期間内に仕事が決まらなかった場合の記載は無し。各自治体の首長からは「若い受給者でスマホ持ってるのはおかしい」等、生活保護利用者への差別発言が相次ぎました。会議終了と同時に傍聴していた数人で抗議の声をあげました。
その場でメディアに緊急抗議声明を配り、囲み取材。厚労省の担当者とも話をして、改めて申し入れをすることにしました。まだ最終とりまとめまで時間があるので、生存権の危機に声をあげ続けていきたいと思います。
被災地に関わる方に知っていただきたいこと。急ピッチで進んでいる生活保護費抑制の動きは、2012年に顕在化するであろう被災地での生活困窮者増加に対する霞ヶ関の「先取り的対策」であるということ。失業手当が切れ、貯金がなくなった被災者が生保に入ってくるのを阻止するため躍起になっている。

(※稲葉剛さんTwitterの12月12日{1}{2}{3}・12月13日ツイートを転載)


岡崎誠也・高知市市長の「生活保護受給者の中にはスマートフォンを持っている人もいる」発言は「蔑視・偏見」以外のなにものでもない!
ということは感想エントリ第1回に書きました。
今回のエントリでは「年金より生活保護の金額が高いのはどう考えてみても、おかしい」と何度も繰り返し、さらに「それだったら私も生活保護を選ぶ」と発言した谷本正憲・石川県知事についてちょこっと書いてみたいと思います。
この人の経歴を一瞥(いちべつ)しただけでも「典型的な『役人人生』を送ってきた人なのだ」と分かります。
以下、勝手に忖度(そんたく)して申し訳ありませんが…(笑)。
この知事さんは「自分はエリートである。社会にとって非常に有益な存在である。実績も申し分ない」というセルフイメージを持っているのではないかと思います。
「自分は世のためお国のため役に立っている」と信じて疑わないのでしょうね(おそらく)。
それはひょっとして「驕り高ぶり」というものではないでしょうか?
その結果「あまり機会に恵まれなかった人たち」を見下している。
わたしにはそのようにしか見えませんでした。
しかしですね。
もしも「」を第三者機関で厳しく査定してみたら【トータルで見ると社会的にマイナスの存在。ヘタに頑張らずに、何もしないでいてくれたほうが社会にとっては有益】なんて結果だってでるかもしれません。
もちろん、あくまで「仮に」の話ですし、知事さんだけでなく、私たち全員にも当てはまるかもしれないことですが…。
そもそも或る人が本当の意味で「社会の役に立っている・立っていない」なんてことは簡単に判定できることではありません。
もしそんなことが「(容易に)できる」と思うのなら、それこそ「驕り高ぶり」であり「無知」である証左です。

私たちは皆「社会によって生かされている」「社会のお世話になっている」のです。
たとえば、ふだん何も考えずに通行している「道路」だって、社会のおかげで使えるのです。
仮に、自分が通行する全ての道路を自分でつくらなければならない、としたら?
超大富豪以外の人は外出すらままならなくなりますね。
道路以外だけでなく「公共」と言われるものおよび「公共性の高いもの」に関して同様のことが言えます。
わたしたちは全員「社会(および自然)によって、生かしていただいている」のです。
この点に関しては、いわゆる「エリート」気取りの「自分はアタマがいい」と思っている人ほど無自覚ではないかと思う時があります。
「自分が『成功』したのは自分が『頑張った』からだ。自分は社会の世話になどなっていない」なんて思ってはいないでしょうか?
はっきり言いますが、それは「すさまじい勘違い」であり「愚かしさの極み」です。


日本では生活保護利用に関するスティグマ(恥辱感)が非常に強いと言われます。
本来なら憲法第25条で保障された権利(生存権)のもとに堂々と受け取ることができる性質のものですが…。
なぜか《人に後ろ指さされる》ことを恐れる人が多いように思います。
また特に地方在住だと、クルマは事実上必需品なのに、いまの生活保護制度だと「クルマを取り上げられる」という心配があって、生活保護を避ける傾向がある。
ということも聞きおよびます。
日本では、本来生活保護を利用すべき所得の人たちのうち、約二割しか受給していないという試算があります。
ただし、これは民間による試算です。
なんと! 国の試算というものが存在しないのです。
お役人さんたちはこの期におよんで「日本には深刻な貧困問題は存在しない」とでも言うのでしょうか?
もしそうだとしたら、その認識は完全に間違っています。
「貧困は私たちの社会を急速に蝕みつつある」
この「事実」を冷徹に認識することから、全ては始まるのではないでしょうか。
ヨーロッパ諸国などでは、六割くらいの人が所得保障制度を利用していると聞きます。
いっぽう、日本では(民間試算で)約二割…。
この事実からも、日本では生活保護利用のスティグマ(恥辱感)が非常に強いのだと推測できそうです。
こういった人々の意識をまず変えていく必要があるのかもしれません…。
「カネがない」からといって、人としての尊厳を損なう仕事を無理にしたり、死んだりする必要はない! 絶対にない!
ということを、わたしも「しぶとくシツコクしたたかに」訴えていきたいと思います。


※厚生労働省の発表⇒「生活保護制度に関する国と地方の協議に係る中間とりまとめ

※それに対する抗議声明⇒「生活保護問題対策全国会議の緊急抗議声明」 なお、この抗議声明は事前の報道内容に基づく緊急的なもので、現在新たな行動を準備中だそうです。

「第2回生活保護制度に関する国と地方の協議会」
報道各社カメラの列(厚労省、12月12日)


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投稿者 kihachin : 2011年12月16日 12:00

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