【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

« 池袋で貧困問題ミーティング(写真) | メイン | 猫の写真を撮る »


2012年01月16日

橋口昌治『若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』

『若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』
若者の労働運動』橋口昌治、生活書院(2011)

(※『若者の労働運動』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』橋口昌治、生活書院(2011)は【お勧め本】です。

著者の橋口昌治さん(はしぐち しょうじ/社会学研究者・若者の雇用問題と労働運動)は若年にして碩学(せきがく)の風格があり、とにかく博識(なんて書くと、ご本人は嫌がるかもしれませんが…)。

第1章《労働社会の変容と「若者の労働運動」》は急激な変化をとげつつある「労働」と「雇用」についての考察です。
労働問題に関する知識が乏しいわたし(喜八)は格好の「労働問題入門編」として読ませていただきました。

第2章《「若者の労働運動」は何をしているのか──「ユニオンぼちぼち」の事例から》と第5章《「労働/生存組合」の誕生──フリーターユニオン福岡の事例研究》で紹介される《労働/生存組合》という運動の在り方に強く興味を惹かれます。
わたし自身も、労働運動、生活困窮者支援、さまざまな生きづらさの当事者運動を通じて知り合った人たちとの「生存を目的とするつながり」を模索中だからです(いまだ「暗中模索」の状態ですが)。

第4章《経験運動としての「若者の労働運動」──フリーター全般労働組合の事例》では、A・B・C等の仮名で登場する人が「誰」か推定できる場合がいくつかありました。
たとえば169-170頁で以下の発言をしている《委員長経験のある組合員のFさん》とは面識があります。

 好きな人だろうが嫌いな人だろうが、気が合おうが気が合うまいが、仲間は仲間じゃないですか。それは助け合おうということにしてつながっている仲間で、ある約束を守った上ではつながり合う。好きか嫌いかも関係ないということでつながり合う。一定の信頼を置くことにしているつながりという、それは凄い大事だと思うんですよ。それはもうすでに仲間となった人なので、その都度どうやるか対応してきたって感じですね。

ほぼおなじことを《Fさん》から2010年春ごろに直接お聞きしていたので、「ははあ、きっと○○さんに違いない」とピンときました(その後○○さん本人に確認しました)。
上で語られている「道具主義的」な或る意味で cool な「仲間」観はわたし(喜八)も共有します。
「仲間」と「友だち」は本質的に別カテゴリだし、その点を混同すると、逆に「排除」や「分裂」などのトラブルを生んでしまうのではないか?という危惧がわたしにはあります。

橋口昌治著『若者の労働運動』を一言でいえば「全てのページに知恵と情報が詰まっている」本です。
これはけっして「ヨイショ」でも誇張でもありません。
労働・雇用・労働組合に関心のある人だけでなく、「仲間とのつながり」を模索する全ての方にお勧めします。


以下は『立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点』内の紹介ページから。

 労働市場の周辺や外部に置かれ、労働によっても痛めつけられてきた「若者たち」。労働者階級としての確信は持ちえていず、デモでは、「働かせろ」と「働かないぞ」という矛盾したシュプレヒコールが飛び交う。労働から疎外され孤立させられた人々が、それゆえに団結をして労働問題に取り組んでいる運動、それが「若者の労働運動」なのである。「若者の労働運動」は矛盾に満ちた運動である。組合員は労働問題を契機として集まり、不当解雇や賃金未払いなどの不法行為を企業に是正させるために日々走り回っている。その一方で、労働者としてのアイデンティティや「働かざるもの食うべからず」といったような労働規範を共有していない。職場や職業が異なり階級意識も共有していない人々を惹き付けるために、「青年」や「フリーター」、「プレカリアート」などの集合的アイデンティティの形成を試みてきた。それは一定の成功を収め,多くの組合員が加入するようになっているが、同時に多様なアイデンティティを持った人々と集合的アイデンティティとの間で葛藤も生じている。しかしこうした、通常の労働組合であれば乗り越えるべき課題と捉えられそうな矛盾や葛藤こそ、「若者の労働運動」の特徴であり、運動を運動たらしめているものなのである。(出版社からの紹介)


(※『若者の労働運動』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


スポンサードリンク


関連ページ


郵政民営化凍結TBP

郵政民営化凍結!

郵政民営化凍結」TBキャンペーンをよろしくお願いします。

(※上の猫画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


Amazon : 橋口昌治


投稿者 kihachin : 2012年01月16日 12:00

« 池袋で貧困問題ミーティング(写真) | メイン | 猫の写真を撮る »



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kihachin.net/klog/mt-tb.cgi/4539

このリストは、次のエントリーを参照しています: 橋口昌治『若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』:

» 京都妖怪探訪(160):鵺大明神と鵺池 from 小路のヲタク草紙
[画像]  どうも、こんにちは。  今回は、『京都妖怪探訪』らしく、歴史上に有名な妖怪を祀ったスポットを紹介します。    『平家物語』などの古い書物には、... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2012年01月24日 10:28