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2012年08月17日

『わが指のオーケストラ』山本おさむ

『わが指のオーケストラ』
わが指のオーケストラ』山本おさむ、秋田文庫(全3巻)

(※『わが指のオ-ケストラ 第1巻』を「Amazon」「楽天」「honto」で購入する)


わが指のオーケストラ山本おさむ、秋田文庫(全3巻)。
実在の聾(ろう)教育者・高橋潔(たかはし きよし 1890-1958)の生涯を描いた漫画作品です。
高橋潔は大阪市立聾(ろう)学校・校長として、「口話法」全盛の時代に「手話法」の孤塁を守り抜き、日本のろう者社会・ろう教育に大きな影響を与えました。
以下は「Wikipedia」からの引用です。

ろう教育には大きく分けて口話法と手話法が存在するが、この二つの手法のどちらを重視するかは時代や地域により大きな差異がある。日本においては明治時代から大正時代にかけてのろう学校創成期に手話法が一般的に用いられていたが、世界的にはこの時代、口話法に注目が集まっていたこともあり、口話法を手話法より優れた手法とする意見が増えていった。
そうした中、高橋《潔》はろう者にとっての手話の重要性をいち早く認識し、口話法に向く者には口話法を、手話法に向く者には手話法を用いる「適性教育」を主張し、口話法を支持する教育者たちとの間に激しい論争を繰り広げた。高橋が大阪市立聾学校で用いた「適性教育」はORAシステムと名付けられた。

わたし(中村)は『わが指のオーケストラ』を読むまで知らなかったのですが、日本の聾(ろう)教育においては「手話(手まね)を使ってはいけない」とされた時代が、つい最近まで続いたのです。
それは「戦争」という「優性思想」の時代と深い関係を持つ現象だったのではないか。
「障害」を「劣った」ことであるとみなす、完全に間違った障害者観が「口話法」全盛時代を招いたのではないか。
そのように思えてなりません。
「口で話す」こと、「手で話す」こと。
どちらが「優れていて」どちらかが「劣っている」などということは、まともに考えれば「ありえない」話です。
しかし、そのような間違った人間観に基づき、「口話法」が推奨され「手話法」が教育の現場から駆逐される時代が続きました。
これは「右へ倣え」「バスに乗り遅れるな」といった標語に示されるような、戦争の時代の「空気」と連動した動きだったと思えてなりません。

漫画『わが指のオーケストラ』は米騒動・関東大震災(朝鮮人・社会主義者・ろう者虐殺)・戦争の時代を生き抜いた聾(ろう)教育者と聾唖者たちの姿を描いた大変な力作です。
ぜひ一読をお勧めしたいと思います。

(※『わが指のオ-ケストラ 第1巻』を「Amazon」「楽天」「honto」で購入する)


山本おさむさんには実在のろう重複障害者・家族・関係者を元に描かれた漫画作品『どんぐりの家』もあります。
こちらも絶対のお勧め作品です。
以下は関連する弊ブログ記事です。

山本おさむ『どんぐりの家』
(「喜八ログ」2012年01月22日)

『どんぐりの家』山本おさむ
どんぐりの家』山本おさむ、小学館


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投稿者 kihachin : 2012年08月17日 12:00

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