【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

« 【お知らせ】「いま、ハンセン病療養所のいのちと向き合う! ~実態を告発する市民集会~」(東京・北の丸公園、11-05) | メイン | 「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション »


2012年10月25日

【転載】週刊朝日編集部への公開質問状

週刊朝日」2012年10月26日号・表紙


週刊朝日」2012年10月26日号掲載の記事「ハシシタ 救世主か 衆愚の王か」に対して、知人の浦本誉至史さん(うらもと よしふみ/部落解放同盟東京都連合会執行委員)が一個人の立場で「週刊朝日」編集部に「公開質問状」を郵送しました(10月19日投函)。
わたし(中村順)は、浦本さんを断固支持するという自らの立ち居地を明らかにした上で、今後の経緯を見守りたいと思います(弊ブログの関連記事⇒《「週刊朝日」の部落差別記事を批判する》)。


浦本誉至史さんの「公開質問状」を全文転載させていただきます。

(★転載開始★)

週刊朝日編集部への公開質問状

週刊朝日編集部 御中

公開質問状

私は、浦本誉至史と申します。今回貴誌が連載をはじめた佐野真一氏執筆になる企画記事「ハシシタ、救世主か衆愚の王か 橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶり出す」第一回を精読し、極めて大きな衝撃を受け、深く傷つきました。貴編集部の姿勢について、重大な疑念がありますので、公開質問状をもって回答を要請します。誠実にご回答いただきたい。

まず、私の立場を明確にします。私は兵庫県の被差別部落に生まれ育った被差別部落出身者です。また数年前に起こった「連続大量差別はがき事件」で重大な被害を受けた部落差別の被害者でもあります。現在は公益社団法人東京部落解放研究所に研究員として勤務し、また同時に部落解放同盟東京都連合会で執行委員も務めています。
ただ、あらかじめ明確に申し上げますが、この公開質問状は週刊朝日の1読者である浦本誉至史個人としてお出ししているものであって、私の職場や所属する組織は一切関係ありません。

私は、今回の連載第一回を精読し、大きな衝撃と深い傷を負いました。私はこの企画そのものが重大な部落差別行為であると思います。その理由は以下の通りです。
佐野真一さんは記事の本文で、「オレの身元調査までするのか。橋下はそう言って、自分に刃向う者と見るや生来の攻撃的な本性をむき出しにするかもしれない。(中略)だが、平成の坂本龍馬を気取って、”維新八策”なるマニフェストを掲げ、この国の将来の舵取りをしようとする男に、それくらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理をめざそうとすること自体笑止千万である」と書き、これが出身を暴く身元調査であると言うことを十分に自覚していると明記されています。その上で、記事には家系図までつけられています。しかもこの家系図には、記事には一切出てこない橋下氏の先祖の名前まで出ています。
そもそも、貴編集部も「橋下徹のDNAをさかのぼり本性をあぶりだす」と副題をつけてるわけですから、記事の目的が橋下徹氏が被差別部落出身者であることを暴くこと自体にあったことは明らかであると思います。
佐野真一さんは、あからさまな嫌悪感をもって橋下徹氏の出自、被差別部落を紹介しています。

百歩譲って「彼の生育環境が、今の問題ある彼の政治主張を作った」と言うなら、なぜ彼の今からスタートして遡る形で追っていかないのですか? なぜいきなり彼の父であり、遠い祖先まで遡る彼の血筋や家系が問題なのですか? なぜDNAなのですか?
人は生まれながらに貴賎のあるものであって、個人の努力・能力とは全く無関係に、運命として「どうしようもない奴は、どうしようもない」と言うのが、貴誌の基本的立場なのですか? だとしたら貴誌は、反社会的存在であると断定せざるを得ません。
佐野さんは「被差別部落出身という出自」をことさら中心において記事を作っていますが、ではなぜ被差別部落出身という出自が問題なのですか、その根拠を示していただきたい。それが偏見ではないと、どうして佐野さんは、そして貴編集部は断言できるのでしょうか? ちなみに私は被差別部落出身者ですが、橋本氏の政治姿勢とは全く相容れません。私の知る他の被差別部落出身者の中にも、橋下氏の政治姿勢を嫌悪し、全く許容できないと公言している人が非常に多数います。被差別部落出身者は皆、「橋下氏のようになる」わけでは当然ありません。なのになぜ貴誌は、被差別部落という出自が問題だと公言なさるのですか、その根拠をお示しいただきたい。

私は、「部落問題をタブー視すること」を引き出すような安易な解決は望みません。私がこの記事から感じたのは、貴誌が根底的に持っていると思われる「表層主義」というか、「物事の真相に迫るという姿勢の根本的欠如」と言うか、そう言った点です。
今回の記事でも、父や家系や血筋からはじめるのではなくて、例えば橋下氏本人のおいたち、今から順々に時代をさかのぼっていって、学生時代や高校時代の彼の姿勢、彼と母との関係とか、そしてその先に幼少時代の部落における環境や生活とか、そういうことから事実を掘り起こしていく企画であれば、私はこんなに反発はしなかったろうと思います。私が申し上げたいのは、なぜ真っ先に血なんんですか! なぜ真っ先に氏素性なんですか! なぜDNAなのですか! ということです。
このような考察抜きに、「被差別部落という出自=犯罪性や政治的な偏向」と結びつけるのは、あまりに安易ではないですか。つまり貴誌は、私たち被差別部落出身者のアイデンティティを、あまりに安易に利用しているのではないですか。見解を聞かせてください。
私は「物事の原因を遡って明らかにすることが、科学であり、合理主義だ」(アリストテレス)と信じてます。偏見や検証されない思い込みをふくんで、しかも証明課程を省略し、自分の結論に都合のいい「事実」だけを先にあげつらうのは、反科学だし反合理主義だと思います。私は、今回の記事にひどい嫌悪感を感じます。いえ、断言しますが、日本中の被差別部落民が一人残らずこの記事に嫌悪感を感じています。被差別部落という読者を切り捨てても、言論機関としては何の痛みも感じないのですか。もともと貴編集部には被差別部落民そのものが眼中になかったのではないですか、だとしたらそれは明らかな部落差別です。貴編集部の見解を聞かせてください。

貴誌は、橋下氏と貴誌の問題だと理解しているかもしれませんが、それは全く違います。
例えば、佐野さんは、記事の中で八尾市の被差別部落の地名を暴露していますけど、八尾の部落の出身者は、何も橋下氏だけではありません。また、家系図を掲載することで辱められた橋下氏の父方の祖先も、橋下氏自身とはあったこともない方々がいるはずです。これらの無関係の第三者に何の罪があるのか? はっきりとお教え願いたい。
さらにこのように被差別部落=やくざ=ファシストと安易に結びつけられ、それによって大きな心の傷をおった私に対する説明責任はどうしてくれるのでしょうか? また、貴編集部によりその存在すら軽視され、無視された日本全国の被差別部落民への説明責任はどうしてくれるのでしょうか?

貴編集部は、記事の責任は執筆者である佐野真一氏にあるということなのかもしてません。しかし、この記事はいわゆる1回もののベタ記事ではありません。連載の企画記事であり、今号では表紙を飾っている「目玉記事」です。当然編集会議の中で企画の段階から十分にたたいて、満を持して掲載したはずです。つまりは、組織として週刊朝日編集部の全員が、「これでいい。この内容が真実だ」と認識して掲載したはずです。それが単に「不適切な文言」では済まされません。明確な回答を願います。

この企画がなぜ差別を是認したり、助長したりするものにならないのでしょうか? 私にはまさに差別を是認したり、助長したりする意図を持って編集され世に送り出された記事以外の何ものにも読めません。これは私の読み方が偏向しているからでしょうか、見解を御聞かせください。

浦本誉至史

以上

(★転載終了★)


スポンサードリンク


関連ページ


Amazon : 黒坂愛衣


投稿者 kihachin : 2012年10月25日 12:00

« 【お知らせ】「いま、ハンセン病療養所のいのちと向き合う! ~実態を告発する市民集会~」(東京・北の丸公園、11-05) | メイン | 「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション »



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kihachin.net/klog/mt-tb.cgi/4745

このリストは、次のエントリーを参照しています: 【転載】週刊朝日編集部への公開質問状:

» 「維新」支持率うなぎ下り? 東の石原慎太郎、西の橋下徹 from 逝きし世の面影
『マスメディアが報道しない空白部分(真実の闇)』 報道されない空白部分に、何故か大事な真実が隠されていた。 貴乃花以上の25回も優勝して名誉一代年寄の資格... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2012年10月27日 12:34

» 面白い・・ from クルールラボ
指揮者うまい王決定戦というコーナーやってる [続きを読む]

トラックバック時刻: 2012年10月29日 12:54