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2012年11月09日

「いま、ハンセン病療養所のいのちと向き合う! ~実態を告発する市民集会~」(報告)

いま、ハンセン病療養所のいのちと向き合う! ~実態を告発する市民集会~」が、2012年11月05日の夜、東京・北の丸公園の科学技術館・サイエンスホールで開催されました。

以下3枚の写真撮影はわたし(中村順)です。
写真撮影とウェブへの掲載は集会責任者の許可を得ています。
写真はクリックしても大きくなりません。

神美知宏さん

神美知宏さん(こう みちひろ/「全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)」会長)による基調報告「ハンセン病療養所における介護の実態」。
平均年齢が82歳を超えるハンセン病回復者が《実力行使》《最後の闘い》──厚生労働省前での座り込み・各療養所でのハンガーストライキなど──を決意しています。
いま何故そのような闘いをしなければならないのでしょうか?
政府の進める「行政改革」の名を借りた公務員削減計画のため、療養所職員が減らされ続けているからです。
そのため、医療・看護・介護・給食等のサービスが著しく損なわれており、療養所入所者の《命にかかわる,生存権にかかわる》状況があります。
神美知宏さんは、具体的な数値を挙げながら、ハンセン病回復者がおかれている過酷な状況「生の現実」を報告しました。
国は法律(ハンセン病問題の解決の促進に関する法律:2008年6月成立)を形骸化し棚上げして、全国に13ある国立ハンセン病療養所を、医療機関としての働きを果たせないようにしている。私たちはこのまま黙って死ぬわけにはいかない」。


谺雄二さん

谺雄二さん(こだま ゆうじ/ハンセン病違憲国賠訴訟全国原告団協議会会長・栗生楽泉園自治会副会長)による「入所者の立場から必要な介護と現状の告発」。
当日の参加者は480人となり、立ち見の方も大勢いらっしゃいました。
谺雄二さんからもハンセン病回復者のおかれた厳しい状況が具体的に語られました。
谺さんの友人で俳人の村越化石さんが食事介助が必要となり、施設の人手不足のため「病棟」に移ることを強いられたけれど、本人はこれまでずっと暮らしてきた療養所でこのまま死にたい、というお話を最後にされました。
わたしも村越化石さんの「いのちの叫び」に強く心を打たれました。
なお、谺雄二さんの『知らなかったあなたへ ハンセン病訴訟までの長い旅』ポプラ社(2001/品切れ)は、わたし(中村)が初めて読んだハンセン病に関する本でした。
それもごく最近、つい数ヶ月前のことです。
それまでわたしはハンセン病のことを考えたことが、まったくと言っていいほど、ありませんでした。
知らなかったあなた》というのは、まさにわたしのことだったのです


ハンストの決意表明:田中民市さん・玉城シゲさん・上野正子さん

ハンガーストライキの決意を表明する(向かって左から)田中民市さん・玉城シゲさん・上野正子さん(鹿児島県鹿屋市・星塚敬愛園)。
中央でマイクを向けられているのは玉城シゲさんです。
支援の弁護士さん(マイクを持っている女性)から「シゲさんはハンストを行なうのですか?」と聞かれると、「ハンストですか? それは当たり前です。絶対にやります。私(玉城)は子どもも殺された。私たちは『人間であって、人間でなかった』。やるだけやらなければ、死ぬこともできません」と宣言されました。
ちなみに玉城シゲさんのご年齢は90歳を越えています。
もちろん周囲の人たちはご健康に悪影響があることをとても心配されています。
回復者の人たちが実際にハンガーストライキや座り込みに入る前に、政治的な決着をつけることが目指されています。


ハンセン病回復者が人生の終わりの時期を迎えています。
それなのに、政府の定員削減政策のため、療養所の人手が決定的に足りなくなっています。
食事の際、誤嚥(ごえん)をして、肺炎をおこし亡くなる方が増えているそうです。
入浴は、夏も冬も変わらず「週3回」に制限されています。
認知症と診断された入所者は、週末になると昼間から睡眠薬を投与されているという報告もあります。
そのほか生活上のさまざまな場面で、「いのち」に関わる事態になっています。

ある意味でハンセン病療養所は「日本社会の縮図」「いのちを大切にしない社会の縮図」ではないでしょうか。
ハンセン病回復者の人たちがおかれている状況。
「3.11」後も反省なき原発体制維持。
米軍基地の強行建設と欠陥機オスプレイ配置。
外国籍の人を排斥する。
野宿者を排除する。
生活保護バッシングと制度の改悪。
これらは全て「いのちと暮らしの軽視」という点で共通点があるとわたし(中村)は思います。
つくづく、日本は「人々のいのちや暮らしを大切にしない国」なのだと感じています。

言うまでもなく、このままではいけません。
「人々のいのちや暮らしを大切にしない国」を「いのちと暮らしを大切にする国」に変えていく必要があります。
ならば、どのようにして改善していけばよいのか?
わたしは「憲法を実現する」ことが本筋ではないかと考えています。
日本国憲法を普通に読めば、そこには「いのちと暮らしを大切にする」精神が謳(うた)われています。
「いのちと暮らしを大切にする国」を実現するために、特別なことをする必要はありません
奇を衒(てら)う必要もありません。
ただ「憲法を実現する」努力を続けることが、いまこそ必要ではないでしょうか。

わたしはたまたまご縁があって主に生活保護の問題に関わっていますが、「いのちと暮らしを守る」という点においては、他の分野で活動されている方たちともつながっているという感覚があります。
「憲法を実現する」ことで「いのちと暮らしを大切にする国」を実現していく。
そのために、わたし自身ができること・やりたいことをひとつひとつ実行していくこと。
それがわたしにとって「より良く生きる」ことなのかもしれない。
いまは、そう思っています。


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投稿者 kihachin : 2012年11月09日 08:00

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