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2013年01月28日

生活保護基準引き下げは「低所得層を狙い撃ちにした増税」にも等しい!

厚生労働省前・緊急アクション 2013年01月16日
生きるを守る STOP!! 生活保護基準引き下げ 生活保護改悪 〈反対〉


生活保護なんて、自分には関係ない」と仰る方が少なくないようです。
じつは最近までわたし(中村)もそう思っていました。
が、たまたまご縁があって生活保護の問題にかかわるうち、「生活保護制度を利用していない自分にも大いに関係がある」ことに気づいたのです。

生活保護基準の引き下げは「低所得層を狙い撃ちにした増税とおなじ」と鋭く指摘した人がいます(※「STOP!生活保護引き下げ」のなかま徳武聡子さん)。
一見するところ「増税」と見えないのが「くせもの」です。
生活保護基準はこの後解説しますように、さまざまな社会保障制度とリンクしています。
そのため、生活保護基準が引き下げられれば、生保利用者だけでなく、膨大な数の人たちの支出増・収入減をもたらします(わたしも含めて主に低所得層の人たちの)。
生活保護なんて、自分には関係ないよ」という、あなたもしっかり狙われているかもしれません。


湯浅誠さん(ゆあさ まこと/「反貧困ネットワーク」事務局長)は「毎日新聞」2013年1月25日朝刊に掲載された「暮らしの明日 私の社会保障論 生活保護見直し 影響は?」は次のように指摘しています。
生活保護見直し》は《生活保護を受けていない年収200万~300万の低所得層に限って負担増を求める》のと《同じ話だ》。
徳武聡子さんの「低所得層を狙い撃ちにした増税とおなじ」とほぼ同じことを言っています。

湯浅誠さんは「毎日新聞」記事で「就学援助制度」と「住民税免除制度」を例に挙げています。

就学援助制度」。
生活保護を利用していない世帯の141万人の子どもたちが利用しています。
年収200万~300万の子育て世帯が、子どもの学用品費や修学旅行の積立金を自治体から援助されています。
多くの自治体では生活保護費を基準として「就学援助制度」を利用できる対象を定めています。
生活保護世帯より10%収入が多い世帯まで利用できる、というように。
したがって、生活保護基準が引き下げられれば「就学援助制度」を利用できる世帯が少なくなります。
子どもたちが学用品費や修学旅行の積立金を支払えなくなるケースが増加するのです。
これでは、子どもたちが教育の機会を奪われかねません。
きわめて深刻な問題と言わねばなりません。

住民税免除制度」。
年収200万~300万の低所得世帯には、住民税を免除されている人が全国でおよそ3100万人いると推定されています。
この免除制度を利用できるかどうかもまた、生活保護費を基準として定められています。
生活保護基準が引き下げられれば、「住民税免除」の基準も連動して引き下げられる可能性が高いでしょう。


湯浅誠さんが例に挙げているのは「就学援助」と「住民税免除」の2つですが、それ以外にも生活保護基準引き下げの影響を受ける制度は少なくありません。
東京都区部の福祉事務所で生活保護の地区担当員(ケースワーカー)として10年、ケースワーカーを指揮監督する保護係長(査察指導員)に5年従事された経験をもつ田川英信(たがわ ひでのぶ)さんは次のように指摘しています(緊急学習会「生活保護バッシングで誰が得するの? ~国の責任放棄の真相~」2012年10月11日、弁護士会館)。

生活保護基準が引き下げが影響する制度の一部として、以下が挙げられる。住民税の課税最低限・就学援助・公営住宅の家賃・保育料・児童入所施設の一部負担金・療育医療の一部負担金・障害者福祉サービス利用者負担金の軽減・自立支援医療の自己負担金・高額療養費制度における自己負担医療費の上限額・国保料(税)の減免・介護保険料の減免・後期高齢者医療の保険料、窓口負担の軽減・最低賃金・生活福祉資金の利用…など様々な基準が連動して切り下げられることになる。
2012年08月10日に可決・成立した「社会保障制度改革推進法」は「悪魔のような法律」である。厚労省による生活保護「適正化」の実質は「切り捨て」にほかならず、憲法第25条を実質的に廃棄するに等しい。これは国の責任放棄、弱者の切り捨てである。生活保護は、「生存権」を具体化した、みんなの大切なもの。生活保護基準の切り下げは、現在生活保護を利用している人だけでなく、わたしたちの生活全体を地盤沈下させてしまう。


田川さん・湯浅さんが指摘するように、生活保護基準はさまざまな福祉制度と連動しています。
そのため生活保護基準が引き下げられたら、上記の制度を利用できなくなる人が増えてしまいます。
いま生活保護を利用している人たちだけでなく、膨大な数の人たち──数百万~数千万人?──の支出増・収入減をもたらします。
まさに「低所得層を狙い撃ちにした増税とおなじ」なのです。
もちろん政府はそんなことは「百も承知」でしょう。

わたしの見るところでは、政府自民党は確信犯的に「弱肉強食」「自由放任市場による競争こそ『善』」という社会を志向しているようです。
本気で「市場で自分の価値を証明できない者は淘汰されるべき。弱者がいなくなれば、社会は『進歩』する」とでも思っているのでしょう。
これは批判のためのレトリックではありません。
リアルにそう認識しておかないと、わたしたちはただただ「打ちのめされる」ことになりかねません。
「まさか政府がそんなことをするはずがない」なんて、根拠なく信じてしまうのは、あまりにナイーブで危険な姿勢であると思います。

トマス・ジェファーソン(第3代アメリカ合衆国大統領・アメリカ独立宣言の主要な起草者)も《信頼は、どこでも専制の親である。自由な政府は信頼ではなく猜疑にもとづいて建設される》と言っています。
わたしたちの命と生活を守り、同時に社会をより良くしようと思うのなら、権力者や政府を徹底的に疑うのがいいのです。
お上(かみ)を無闇に信頼するのは「美徳」ではなくて、むしろ「悪徳」です。
ちなみにジェファーソンは歴代アメリカ大統領のうち最も敬愛されている1人といわれ、今も多くの米国市民に慕われています。
日本の「新米派」の人たちは、トマス・ジェファーソンからもっと学んだほうがよろしいかと思います(老爺心ながら)。


生活保護基準引き下げは「皮切り」に過ぎず、後に「これでもか!」とばかりに「弱い者いじめ」政策が続きそうです。
生活保護 ・社会保障・国民主権・人権・平和主義・日本国憲法への敵意を丸出しにしている日本の政治家たちがいます(しかも今や「主流」らしい)。
彼/彼女らにはアメリカ型の「市場万能」「弱肉強食」「弱者は淘汰されるべき」イデオロギーに感染した者が少なくないようです。
いわゆる「新自由主義」と呼ばれるイデオロギーの信奉者たちです。
人々のいのち・生活・平和を蔑視し、反面で市場・原発・軍事が大好き。
己(おのれ)の弱さから目を背ける傾向が強く、大言壮語と弱いもの苛(いじ)めを好む。
わたしは彼/彼女らのことを「ブラック政治家」「死に魅入られた政治家(ネクロフィリア・ポリティシャン)(※)」と呼んでいます。

(※安冨歩《ネクロフィリア・エコノミックス(ネクロ経済学=死に魅入られた経済学)》から)

わたしは──右にせよ左にせよ──「思想」や「イデオロギー」には興味がありません。
より正確には、既存の「思想」「イデオロギー」に自分を当て嵌めようとは思いません。
ただ「人殺しの政治だけはやめろ!」ということは、声を大にして言い続けたい。
STOP!生活保護基準引き下げ」の運動に参加するのも、家族・ともだち・なかま・わたし自身のいのちと生活を大切にしたいと思うからです。
わたしは敢えていえば「なにはともあれ、いのちがだいじ」主義者です。


※「生活保護基準引き下げに反対する署名」を募集中です。わたしたちの社会が誰にとっても安全で暮らしやすい、本当の意味で豊かなものでありますように、ぜひご協力をお願いします。今後もぎりぎりまで署名運動を続けます!⇒署名ページ


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投稿者 kihachin : 2013年01月28日 12:00

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