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2013年03月01日

湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』

ヒーローを待っていても世界は変わらない
湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』朝日新聞出版(2012)

(※『ヒーローを待っていても世界は変わらない』を「Amazon」「楽天」で購入する)


湯浅誠さん(ゆあさ まこと/社会活動家)の『ヒーローを待っていても世界は変わらない』朝日新聞出版(2012)を拝読しました。
ここで湯浅誠さんが主張されていることを、わたしなりに約(つづ)めて言うと次のようになります。

【※中村による要約】 民主主義とは面倒くさくて疲れるもの。特に意見が異なる人のあいだの「調整→合意形成」の手間は膨大なものになる。が、わたしたち主権者は「下りる」わけにはいかない。民主主義が面倒くさいからと言って「誰かが決めてくれよ。ただし自分の思う通りに」と《橋下徹さんのような》ヒーローを求めても、ほぼ必ず失望が待っている。ヒーローがいるとしたら、それはわたしたち一人ひとりだ。なぜならわたしたちが主権者だから。できることは沢山ある。それを着実にやっていこう。その積み重ねだけが、貧困と戦争に強い、豊かな社会を築く。

もし湯浅誠さんが上の要約を眼にしたら「違うよ~(ぜんぜん)」とつぶやくかもしれませんが…(笑)。
ともあれ、わたしはそのように読みました。


ヒーローを待っていても世界は変わらない』から、強い印象を受けた部分を引用させていただきます。
引用文中〈 〉内と[…]は中村による補足です。

 私〈湯浅誠〉は、何とか意見を異にする人たちにも聞いて考えてもらいたいとこうやって自分の意見を述べています。可能ならば、橋下〈徹〉さんや橋下さんを支持する人たちとも意見交換していきたいと思います。
 こう言うとすぐに「すりよった」「とりこまれた」と非難する人たちがいますが、コミュニケーションを遮断することや、言いたいことを言い放つだけのことがそんなに立派なことだとは、私には思えません。異なる意見を持つ者同士こそ大いにすりより合い、とりこみ合えばいいのだと思います。
「すりよった」「とりこまれた」という評価の仕方が好きな人たちは、もしかしたらその人自身が「おれの言うことを聞け」といった一方的なコミュニケーションしか知らないのかもしれません。(同書79-80頁)
 誰に対しても、意見交換や調整を頭から拒否すべきではない。地味だけれども、調整して、よりよい社会をつくっていくという粘り強さをもつ人たちが必要です。そういう人をたくさん増やすこと、自分たち自身がそういう人になることが重要だと思っています。(81頁)

上の部分はわたしにとっては、ちょっと「耳が痛い」ご意見です…。
けれども、とても「実用的」な指摘でもあります。
わたしも《地味だけれども、調整して、よりよい社会をつくっていくという粘り強さをもつ人》を目指すことにしましょう。


わたしは2008年ごろから「湯浅誠さんは『反革命』『保守』の思想家であり、実践倫理の人だ」と指摘してきました。
これは批判的言辞などでは全然ありません。
湯浅誠さんの中に見たものを淡々とそのまま言い表したのです。
このたび『ヒーローを待っていても世界は変わらない』を読んで、自分が最初に感じたことは間違っていなかった、という思いを新たにしました。

また、湯浅誠さんが『ヒーローを待っていても世界は変わらない』66-67頁で「ガラガラポン欲求」について批判的に語っている部分は、わたしには「控えめな反革命宣言」のように思えます。
これも「誤読」かもしれませんが、(そうだとしても)わりと「おもしろい」誤読ではないかと思います。

 その飛躍と焦りに、人類が蓄積してきたものに対する冒涜(ぼうとく)に似た危険性を感じ取ってしまいます。
 そこには端的に、最善を求める熱心さの反面、最悪を回避することに対する無頓着さが露呈しています。(同書67頁)

わたし(中村順)は反革命(反維新)で保守です。
「革命」や「維新」という言葉には「萌え」ません、まったく。


最後に、湯浅誠『ヒーローを待っていても世界は変わらない』から、ふたたび引用させていただきます。

[…]自分に多少なりとも役に立つ能力があるとすれば、それは両親を通じて社会から与えてもらったものだから社会のために使いたいと思います。(102頁)

ここは重要なポイントだと思います。
「能力は社会のために使う」姿勢も「ベタ」に真似させていただきます。
湯浅誠さんの文章はわたしにとってかくも「実用的」であると、しみじみと感じます…。

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投稿者 kihachin : 2013年03月01日 12:00

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