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2014年03月23日

ソジャーナ・トゥルース「女じゃあないのかね?」

Sojourner Truth
Sojourner Truth (1797-1883)


ソジャーナ・トゥルースSojourner Truth/1797-1883)と言っても、ご存じない方が多いだろうと思います。

けれども「あれ? どこかで聞き覚えがある名前?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

ソジャーナ・トゥルースは18世紀末のアメリカ合衆国に「黒人奴隷」として生まれ、30歳前後で自由の身となり、その後の生涯を奴隷制度廃止・女性参政権運動に献身した女性です。
1997年(ソジャーナ・トゥルース生誕200周年)、NASAマーズ・パスファインダー計画のロボット探索車が「ソジャーナ(Sojourner)」と命名されました。
当時12歳の V. Ambroise さんのエッセイが公募により選ばれ、奴隷解放運動家・女性解放運動家ソジャーナ・トゥルースの名がロボット探索車につけられたそうです(こういう点で「アメリカって、いいところある」とわたしは思います)。


以下は岩波文庫『アメリカの黒人演説集』荒このみ編訳(2008)から、ソジャーナ・トゥルースの略歴です。

イザベラ・ボームフリーという名前で、ニューヨーク州アルスター郡に奴隷として生まれ、1827年、自由を獲得するまで奴隷の身。ニューヨーク州が奴隷制度を廃止する数カ月前に自由を獲得。1843年、息子の死後、神に仕える身にふさわしい名前、ソジャーナー・トゥルース(真理を求める一時滞在者の意)に改め、奴隷制度廃止論者、フェミニストとして活動し著名になる。

これはソジャーナ・トゥルースの演説としておそらく最も有名な「女じゃあないのかね?(Ain't I a Woman?)」の解説としてつけられた略歴です。
「女じゃあないのかね?」の全文は『アメリカの黒人演説集』で読むことができます。
わたしはこの演説を何度読んでも、魂をぐらぐら揺すぶられる思いがします。


次は女優アルフレ・ウッダード(Alfre Woodard)さんによる「女じゃあないのかね?(Ain't I a Woman?)」の朗読(英語)です。
圧倒的に素晴らしい…。

Alfre Woodard reads Sojourner Truth Alfre Woodard reads Sojourner Truth
Alfre Woodard reads "Ain't I a Woman?", a speech delivered by abolitionist Sojourner Truth at the Women's Convention in 1851. Part of a reading from Voices of a People's History of the United States (Howard Zinn and Anthony Arnove,)February 1, 2007 at All Saints Church in Pasadena, CA.

ふと気づいたこと。
1797年生まれとされるソジャーナ・トゥルースが1851年に「Ain't I a Woman?」の演説をしたときはおよそ54歳。
この動画で朗読をしているアルフレ・ウッダードさんも同じくらいの年齢だったんですね。


岩波文庫『アメリカの黒人演説集』からソジャーナー・トゥルース「女じゃあないのかね?」の終盤部分を引用させていただきます。
文庫の解説によると、1851年05月29日、オハイオ州アクロンで開催された女権運動大会で行なわれた演説。「女性は弱く頼りないので投票権は与えられない」と発言した牧師への反論が主眼となっています。
引用文冒頭の《黒服を着た小柄な男》がその牧師ではないかと思います。

 あそこの黒服を着た小柄な男が、こう言うんだね。キリストは女じゃなかったから、だから女は男と同じだけの権利は持てないってさ。キリストはどこから生まれたんだい? あんたたちのキリストは、どこから生まれたんだい? 神と、それから、女からじゃあないか。男は神と関係していないんだよ。
 神が創った最初の女が、一人で世界をひっくり返すほど強かったんだから、ここにいる女たちが一緒になったら、また世界をひっくり返して元に戻すことだってできるのさ。正しい位置に戻すんだよ。今、女たちがそうしたいと言っているんだから、男たちよ、そうさせたほうがいいよ。


アメリカの黒人女性フェミニストベル・フックスbell hooks)さんが1981年に初めて出版した著書『Ain't I a Woman?』はソジャーナ・トゥルース「女じゃあないのかね?」に敬意を表したタイトルです。
この本の翻訳は『アメリカ黒人女性とフェミニズム ベル・フックスの「私は女ではないの?」』として明石書店から出版されています(2010)。
こちらからもいくつか引用させていただきます。

六〇年代のブラックパワー運動は、人種差別への抵抗でもあったが、同時に黒人男性が家父長制を公然と支持した運動でもあった。(『アメリカ黒人女性とフェミニズム』明石書店157頁)
人種を問わず、女性の服従を提唱している限り、男性の解放はありえない。家父長の絶対的権力は、人を自由にはしないのである。(同書187頁)
真の「フェミニズム」とは、男女を問わずあらゆる人が性差別的な役割や支配、迫害から解放されるよう望むこと。(同書304頁)


わたしが興味があるのは、わたし自身の「魂の脱奴隷化」です。
わたしはあるとき《自分は奴隷である。生まれてから今までのあいだに、わたし自身の生を歪める数々の「奴隷の価値観」を身につけてしまった》ことに気づき《今後はそれらの要らないごみくずをひとつひとつ捨てていく。わたしは奴隷のわたしを解放する》と決意しました。
自分自身の「脱奴隷化」。
これくらい、やり甲斐があって面白いことは、まずないだろうと思います(笑)。
奴隷から脱するためには、先駆者たちから「学ぶ」こと、ありとあらゆることを真摯に「学ぶ」ことが、おそらく死活的に大事です。
人々を意図的に「無知」のままにしておくことは、「奴隷制度」の最も強力な手法なんですね。
北米の奴隷解放運動・女性解放運動・キリスト教黒人神学・フェミニスト神学からも大いに学ばせていただこう、と思っています。


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投稿者 kihachin : 2014年03月23日 12:00

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