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2014年04月23日

宮部みゆき「燔祭」

宮部みゆきさんの小説「燔祭(はんさい)」(『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』光文社文庫)に関するあれこれ。

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宮部みゆき燔祭(はんさい)」は『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』に収録された中篇小説です。

鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで
宮部みゆき『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで

(※『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』を「Amazon楽天」で購入する)

以下、「燔祭」前半のストーリーをざっと紹介します。

物語の語り手は「多田一樹」。二十代後半。製紙会社に勤務するサラリーマン。
多田一樹には9歳年下の妹「雪江」がいた。
未熟児ぎりぎりの体重で生まれ落ち、すやすや寝てばかりの赤ん坊だった。
一樹が学校で辛いことがあった日に、初めて妹の笑い顔「赤ちゃんのむし笑い」を見たこと。
初めて雪江が歩いた日。
だが、妹の命は高校2年生の夏休み最後の日に突然絶たれる。
凶悪な不良未成年者グループによる「殺人ゲーム」の標的にされ、殺害されたのだ。
加害者たちはほぼ特定されるものの、証拠が不十分で逮捕には至らない。
主犯の少年は「小暮昌樹(こぐれ まさき)」。
小暮昌樹は歪んだヒーロー気取りでマスメディアにも登場するようになる。
多田一樹は妹の敵をとるべく小暮昌樹を殺すことを自分に誓う。
そこに同じ会社で働く《目立たない、名前さえ覚えてもらえない存在》の女子社員「青木淳子(あおき じゅんこ)」が突然やって来て「わたし、多田さんのお役に立てるんじゃないかと思う」「多田さんの武器になれる。拳銃みたいに」と申し出る…[前半のあらすじ終了]。

よく知られているように、宮部みゆき「燔祭」と続編の長編小説『クロスファイア』はスティーブン・キングファイアスターター』のオマージュです。
キング作品、宮部作品、どちらも主人公は念力放火能力(パイロキネシス)という超能力をもつ女性に設定されています。
キング『ファイアスターター』のヒロインは小学生の少女「チャーリー・マッギー」。
宮部作品では20代の女性「青木淳子」。
「燔祭」『クロスファイア』で青木淳子が自らを「装填された銃」にたびたび例えるのは──一般市民が銃器と縁の少ない日本社会では──やや不自然なようですが、これはスティーブン・キング『ファイアスターター』にゆかりがあります。
『ファイアスターター』「エンドゲーム」の章・第18節の最後で少女チャーリーが「装填された銃」に例えられているのです。
宮部みゆきさんが「装填された銃」という比喩を繰り返し使うのは、スティーブン・キングへの敬意でしょう。
また「燔祭」というタイトル自体も、『ファイアスターター』「ファイアスターター」の章・第22節に「全燔祭」とあるところからの引用だろうとわたしは思います。
ちなみに「燔祭」もまた一般的な日本語としては耳慣れない言葉ですね。
これは「ホロコースト」のほうがよく知られているようです(※「イサクの燔祭」)。

装填された銃」「頭の中に火炎放射器を持つ」青木淳子のサーガは『クロスファイア』というオーバーキル(過剰な殺戮)の物語へと続きます。
破壊と死のヒロイン青木淳子の行き着く先は…。
最後になりましたが、「燔祭」は宮部みゆきさんの小説のうちでわたしが最も愛する作品です。

弊ブログ(喜八ログ)の宮部みゆきさんに関する記事一覧です。

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投稿者 kihachin : 2014年04月23日 08:00

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