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2014年06月01日

佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』から

佐藤優さん(さとう まさる/作家・元外務省主任分析官)の《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》などに関して、同氏の著書『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』から、あれこれと。

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佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)は、中世末期ボヘミア(チェコ)の宗教改革者ヤン・フス(1370頃-1415)を中心に、神学書でも学術書でも文芸批判書でもなく、著者の佐藤さん自身が《もっとも書きやすい文体と構成で》《考えている事柄のほとんどすべてを盛り込んだ》本です。

佐藤優『宗教改革の物語  近代、民族、国家の起源』
佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)

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キリスト教の「宗教改革」というと、中学・高校の教科書では、16世紀ドイツのマルティン・ルター(1483-1546)が嚆矢(こうし)とされていたと記憶しています。
けれども、ヨゼフ・ルクル・フロマートカ(1889-1969)、アメデオ・モルナール(1923-1990)などのチェコのプロテスタント神学者たちは、15世紀のヤン・フスらのチェコ宗教改革を「第一次宗教改革」、16世紀のルター、フルドリッヒ・ツビングリ(1484-1531)、ジャン・カルバン(1509-1564)らの宗教改革を「第二次宗教改革」と呼び、一体のものと見做すそうです。
佐藤優さんは、フスと15世紀チェコの宗教改革が宗教改革の起源であり、14世紀イングランドの神学者ジョン・ウィクリフ(1320年台-1384)からフスは強い影響を受けたと考えます。
これら宗教改革者のうち、フスは当時絶大な宗教的・世俗的権力を持っていた教会から「異端」とされ焚刑(火あぶり)にされ絶命、ツビングリはカトリック軍との戦闘において戦死、ウィクリフ、ルター、カルバンは天寿を全うしています。

以下は《フスについて扱った本書『宗教改革の物語』に高い優先順位をつけて上梓すること》の佐藤優さん自身の解説です(『宗教改革の物語』24頁)。

 私の設定している国家、民族/エスニシティ、戦争、資本主義、社会主義、独裁、キャリア本(勉強法、人間力効果術)などをめぐる問題は、いずれも近代の危機的状況に関連するテーマだ。近代の枠組みの中だけで思考していると、時代の危機を克服することができない。
 そこで私は近代以前の時代に目を向け、そこから生き残るためのヒントを得ようと考えた。
 私はキリスト教徒なので、新約聖書に記されたイエス・キリストに還(かえ)る、言い換えるならば復古維新のアプローチをとりたいのだが、イエスの時代と現代を類比的にとらえることは危険だ。世界像があまりにも異なっているからだ。その意味で、フスが活躍した一五世紀は、まだに中世と近代の双方にまたがった過渡期なのである。この時期に立ち返ることによって、民族、世俗化、宇宙観の転換などを知ることができる。

ところで、わたし(中村順)は「非キリスト教徒」で、聖書も近年になってようやく読み始めました。
そして聖書の読み方に関して、わたしは佐藤優さんの影響を強く受けているようです。
2005年に『国家の罠』を手にとって以来、佐藤さんの本を多く読んできました。
その際、キリスト教に関する部分は適当に読み流していたのですが……ずっと長い間。
けれども、その読み流してきたキリスト教の部分がいつのまにか、自分の中に入り込んでいたようです。
ただし、いまもわたしは「非キリスト者」です。
佐藤優さんの次の言葉がしっくりと腑に落ちるためです。

「自分は本当にキリスト教で救済された」「イエス・キリストこそが救済の根拠だ」ということを腹の底から思わないかぎり、キリスト教徒には絶対なってはいけない。 (『神学部とは何か―非キリスト教徒にとっての神学入門』新教出版社/2009/93-94頁)

ごく最近になって知ったのですが、これは少年時代の佐藤さんが通っていた教会の伝道師から言われた言葉でもあるようです(佐藤優『先生と私』幻冬舎/2014)。

佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》が『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』の最初のほう(20-23頁)に列挙されています。
第一優先度(12件)・第二優先度(11件)・第三優先度(15件)の計38件です。
ヤン・フスの宗教改革の物語をまとめる》は第一優先度の冒頭に挙げられています。
すなわち、わたしが今読んでいる『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』ですね。

佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》38件から、わたしが「ぜひ読みたい」と思ったいくつかの項目を、佐藤さんがつけた優先順位とは別に、わたし自身の「読みたい」優先順に紹介します。

佐藤優さんの御母堂・佐藤安枝さん(さとう やすえ/旧姓: 上江洲(うえず)/1930-2010)の沖縄戦体験記。
久米島出身の佐藤安枝さんは、県民の3人に1人が死亡したと言われる沖縄戦(1945年03月-07月頃)に、14歳で正規の軍属(「石部隊(陸軍第62師団)」所属)として、最後まで従事しました。
06月下旬に沖縄守備軍最高指揮官・牛島満中将と参謀長・長勇中将が自決して、日本軍による組織的戦闘が終結した後も、摩文仁(まぶに)海岸の自然の洞穴(ガマ)に日本兵・民間人が潜んでおり、少女軍属の佐藤安枝さんもその中にいました。
米兵に発見され、集団自決寸前になりましたが、北海道出身の伍長による決断で投降して、命拾いをしました。
「鉄の暴風」と呼ばれた沖縄戦で、弾には一度も当たらず、怪我もなかったそうです。
佐藤優さんはお母さんの沖縄戦体験を断片的に何度も書かれていますが、これはぜひ一冊の本で読みたいと思います。

チェコのプロテスタント神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカの『人間への途上における福音』、『倫理学入門』、『宗教改革から明日へ』(共著)のチェコ語からの翻訳。
フロマートカは佐藤さんがもっとも強い影響を受けた神学者です。
佐藤優さんによるとフロマートカは聖書の中で《受けるよりは与えるほうが幸いである》(『新約聖書』「使徒言行録」20.35 新共同訳)を最重視したとのことです。
わたしは佐藤さんのガイドで──著書を通じて──聖書を読んだこともあり、この《受けるよりは与えるほうが幸いである》には現実的な行ないの上で影響を受けています。

猫の飼い方に関する実用書。
佐藤優さんは現在5匹の猫といっしょに暮らしています。
それぞれの猫は「地域猫」「野良猫」「捨て猫」でした。
このままではクルマに轢かれてしまう、悪意ある人間から害を受けるといった心配から、佐藤さんご夫妻はニャンコたちを保護してしまうそうです。
仔猫だけでなく、オトナの猫も保護するところが、佐藤さんらしいところなのでしょう。
わたしは佐藤優さんの言説・行ないに関しては──誰に対しても──「是々非々」ですが、佐藤さんの「猫を保護する」ところ、「けして友人や仲間を裏切らず、見捨てない」ことには感銘を受けますし、真似をしたいと思っています。

20代後半から30代の勉強法の本。
大学生、大学院生にとって将来社会で役に立つための読書案内の本。
人生の危機に直面したときの実用書。
非キリスト教徒に向けたキリスト教教義学についての教科書。
以上4つの項目をまとめさせていただきました。
わたしとって佐藤優さんは非常に信頼できるブックガイド(本の案内人)です。

ソ連崩壊を軸にゲンナジー・ブルブリス(元国務長官)の思想についてまとめて、本にする。
ブルブリスの言葉は以前弊ブログ記事(ゲンナジー・ブルブリス「猫型人間をつらぬけ」)でも紹介したことがあります(※《 》内は中村による補足)。

猫型《人間》を貫け。
自分勝手でいい。
徒党を組む必要もない。
だが猫と同じに、人から受けた恩は忘れるな。
猫は餌をくれ、排泄物を処理してくれる人間を忘れない……
裏切らない。
君も絶対に人を裏切るな。

以上、わたしの個人的な興味に従って、佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》のごく一部を紹介させていただきました。
他の項目に興味を覚えた方は、佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)の(20-23頁)を覗いてみてください。

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「喜八ログ」の関連記事(の一部)です。

Amazon : 佐藤優


投稿者 kihachin : 2014年06月01日 08:00

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