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2014年07月22日

『ビッグイシュー日本版』販売者「S」さんと立ち話して、思ったこと

ビッグイシュー』販売者「S」さんとの会話から、覚え書き的に。

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ビッグイシュー』はいわゆる「ホームレス」状態にある人が路上で販売する雑誌です。
もとは1991年に英国ロンドンで生まれ、『ビッグイシュー日本版』は2003年09月に創刊されました。
定価350円のうち、180円が販売した人の収入になるシステムです(※最初の10冊は販売者に無償で提供されます: 販売のしくみ)。
その『ビッグイシュー日本版』を街角で売る「S」さんとの立ち話から思ったことなどいろいろと。

「S」さんは都内某所で「野宿」しています。
「野宿」──いわゆる「ホームレス」状態──と聞くと…。
少なからぬ人は「働かずブラブラしている」という印象を持たれるかもしれませんね。
しかし、それは間違っていることが多いのです。
ビッグイシューのウェブページでも指摘されていますが、《厚生労働省の調査(2012年)では野宿生活者の約6割を超える人が働いており、約3割の人は仕事をして自立したいと思っています》。
「S」さんもとても勤勉です。
寝場所から──「仕入れ」をするときは──ビッグイシュー東京事務所(都営新宿線「曙橋」)に行き、さらに販売場所に向かいます。
また、販売中に在庫が切れたときは、東京事務所まで仕入れに行きます。
「S」さんの場合、基本的に全行程は「徒歩」です。
薄い雑誌であっても、ある程度の数になると結構重くなりますから、これはラクなことではありません。
「S」さんだけでなくて、『ビッグイシュー日本版』販売者の多くも、やはり「歩いて」仕入れに行くのが普通のようです。
東京事務所から比較的遠い場所の人たちもです。
遠ければそれだけ電車賃も高くなる勘定になりますから、歩くことでコストを抑えるのです(※ボランティアの人たちが各販売者をまわって、雑誌を届けるというシステムもありますが、人手不足のためか充分とはいえないようです)。

そして、販売。
街角──路上──で、雑誌を1冊1冊手売りします。
もちろん店舗やオフィスがあるわけではありません。
トイレだって公共の施設などを利用しなければなりません。
食事や休憩も、どこかのお店に入ったら、確実に出費になります。
1冊販売して、180円の収入。
もし売れ残ったら、仕入れの170円は自己負担となります。
いまは景気の悪い時期ですから、『ビッグイシュー』を10冊売るのは、けして容易なこととは言えません。
10時間以上街角に立ち続け、数冊しか売れない──あるいは1冊も売れない─ということも現実的にあり得ます。


(「S」さんも利用を検討している「つくろい東京ファンド」のシェルター)

昨年(2013)夏の猛暑時。
炎天下の路上で働く「S」さんは体調の異常を感じました。
身体が自分のものではないような、なんとも不思議な感覚だったそうです。
おそらく「熱中症」の初期症状だったのだと思います。
しかし、「S」さんは休憩もしくは早退をためらいました。
自分がいないあいだに「お得意さま」が来てくれるかもしれない(※こういう律儀な考え方をする販売者は少なくありません)。
そもそも、休めば休むだけ販売機会は失われ、収入は減る。
冷房のある喫茶店などに入るにしても、おカネがかかる…。
「S」さんが逡巡しているそこに、某支援団体スタッフ「K」さんが通りかかりました。
「K」さんは「S」さんの様子を見て「これは危ない!」と瞬時に判断し、タクシーを呼び、「S」さんを支援団体の施設で休ませたそうです。
有無を言わせずに(笑)。
これは大変に的確な判断であったと、後でお話しを聞いたわたしは思いました。
そのまま「S」さんが無理をされていたら、いのちにかかわる事態にもなりかねないところだったでしょう…。

『ビッグイシュー』販売について、ざっと説明してみましたが、どうでしょうか?
わたしは「自分には到底できない大変な仕事だ」と、つくづく思うのです。

わたしは、たまたまご縁があり、何人かの『ビッグイシュー』販売者さんたちと知り合いました。
「S」さんはその1人で、共通の友人に山崎まどかさんがいます。
そして実はわたしも『ビッグイシュー』を売った経験があります。
と言っても、本格的に販売者となったのではないのですが。
知り合いの販売者さんが「冷房のある本屋で涼んで休憩する」あいだ、売り場(路上)の「お店番」を買ってでたなどの際、何冊か売れたことがあるのでした(※念のために。この知り合いの販売者は「S」さんではありません)。
そういうわけで、わたしは過去何年かのあいだ、『ビッグイシュー』という社会事業を、ほぼ販売する側から見てきたことになります。
会社側・ボランティア側から見える『ビッグイシュー』という光景はほとんど知りません。
それはそれで味のあることかも? (自分らしいかにゃ?)」と思っています。

Amazon : 稲葉剛


投稿者 kihachin : 2014年07月22日 08:00

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