【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

« 【猫の写真】公園時代のレオさん(その6) | メイン | 【猫の写真】ポンさん、キリさん、ダイジさん »


2015年01月13日

【団体賛同募集/転載】大阪市のプリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望に賛同をお願いします(2015年01月31日〆切)

大阪市のプリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める団体賛同募集中です(※今回は「団体」のみが対象で「個人」賛同は募っていません)。
申し込みの締切日は2015年01月31日。
呼びかけ団体は「生活保護問題対策全国会議」です。

スポンサードリンク

(★転載開始★)

《団体賛同募集》大阪市のプリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望に賛同をお願いします(1月末まで)

 大阪市が、昨年末にプリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業を、今年4月から実施する旨発表しました。
 しかし、このモデル事業は、生活扶助費の金銭給付の原則に反し、生活保護利用者のプライバシー権等を侵害するなど、様々な問題点があります。

 生活保護問題対策全国会議では、以下のとおり、大阪市に対してモデル事業の撤回を求める旨の要望書を提出する予定です。この要望書に賛同していただける団体を1月末を目処にとりまとめます。
 ぜひ多くの団体の賛同をお願いします。
 ※なお、要望書案は原案であり、提出までに若干の加筆修正をすることもありますので、ご了承下さい。

 賛同は、下記フォームからしていただきますよう、お願いいたします。
 →賛同フォームへジャンプ

プリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望書(案)

大阪市長 橋 下  徹 殿

第1 要望の趣旨
 貴市は,2014年12月26日,全国で初めてプリペイドカードによる生活保護費の支給をモデル事業(以下「本モデル事業」という。)として2015年4月から実施する旨発表した。しかし,本モデル事業には,以下指摘する様々な問題点があり,到底容認できないので,速やかに撤回し,実施することのないよう要望する。

第2 要望の理由
1 金銭給付の原則(生活保護法31条1項)に違反する
 救護法(施行令7条)が金銭給付と現物給付の併用を規定していたのに対して,現行生活保護法31条1項が「生活扶助は,金銭給付によって行うものとする」と規定して,特に金銭給付主義を原則的に採用したのは,経済統制が大幅に解除された今日においては,金銭給付により各人の自由購入に任せることが適当であるが故とされている(小山進次郎「改訂増補・生活保護法の解釈と運用」442頁)。
 しかし,プリペイドカード(いわゆる電子マネー)は,「その金額に応ずる対価を得て電磁的に記録された情報であって,その記録者との契約関係に基づき一定の範囲で金銭債務の弁済としての効力を有するもの」であって ,金銭(貨幣)そのものではないから,プリペイドカードによる支給が「金銭給付」にあたらないことは明らかである。
 また,生活保護法31条1項但し書は,「これによることができないとき」(施設等において寝具等の物品を貸与する場合等),「これによることが適当でないとき」(物品を一括大量購入することが非常に有利である場合とか,一般には入手し難い物品を給与する場合等),「その他保護の目的を達するために必要があるとき」(被保護者の性状,給付するものの性質等からみて現物給付でないと保護の目的を達しがたい場合)には現物給付によることができる旨規定しているが,一般的に生活扶助費をプリペイドカードによって給付する本モデル事業は,これらの例外的場合にあたらない。そもそも「現物給付」とは,「衣料,食糧その他生活必需品の給貸与及び移送,理髪,入浴又は被服修理等を行うこと,介護等の役務の提供」(前掲小山444頁)など,特定の物品の給貸与又は特定のサービスの提供であるとされている。プリペイドカードの提供は,このいずれにも該当しないから,「現物給付」としても許されないことが明らかである。
 そうすると,プリペイドカードによる生活扶助費の支給は,金銭給付の原則を定めた生活保護法31条1項に真っ向から違反することが明らかである。これはプリペイドカードが「金銭給付」にも「現物給付」にもあたり得ないことから一義的に導かれる結論であって,被保護者の承諾を得られたからといって,その違法性が治癒されるという性格のものではない。
 自民党などは,生活扶助・住宅扶助等の現物給付化の法改正案を提案しているが ,本モデル事業は,本来法改正をしなければなし得ないことを,法改正を行うことのないまま強行しようとするものであって,法令遵守精神の欠如もはなはだしいものと言わざるを得ない。

2 プライバシー権・自己決定権(憲法13条)の侵害である
 中嶋訴訟・福岡高等裁判所平成10年10月19日判決は,「憲法25条の生存権保障を具体化するものとしての生活保護制度は,被保護者に人間の尊厳にふさわしい生活を保障することを目的としているものであるところ,人間の尊厳にふさわしい生活の根本は,人が自らの生き方ないし生活を自ら決するところにあるのであるから,被保護者は収入認定された収入はもとより,支給された保護費についても,最低限度の生活保障及び自立助長といった生活保護法の目的から逸脱しない限り,これを自由に使用することができるものというべきである。」としている 。
 ところが,保護費がプリペイドカードによって支給されることになると,被保護者がいつ,どこで,何を購入したのか,食生活から趣味嗜好に至る日常生活のすべてが福祉事務所に把握され,生活全般を管理・支配され得ることにつながる。これは,上記の判例に反するのみならず,被保護者のプライバシー権・自己決定権(憲法13条)に対する著しい侵害である。
 なお,本モデル事業は,被保護者の「申し出」を得て行うものとされていることから,貴市は,プライバシー権等の放棄がなされていると主張するかもしれない。しかし,後述のとおり,プリペイドカードによる保護費の支給は被保護者にとって不便不利益なだけであって何らの利益にもつながらない以上,任意かつ真摯な「申し出」が被保護者の側から自発的に行われることは想定し難い。異論をはさまない被保護者をケースワーカーが選別して,その圧倒的な力関係の差を利用し,「申し出」に名を借りた事実上の強制が行われることが容易に想定されるところである。
 
3 被保護者の日常生活に著しい不便・危険が生じる
 プリペイドカードは,通貨とは異なり,当該カードの加盟店でしか利用できない。被保護者それぞれの地域で利用している馴染みの小規模な商店や食堂などでは利用できない事態が多々起こりえる。特に,アレルギー,糖尿病,腎臓病などのために特定の専門店にしか食べられる食料がない人々にとっては,こうした食料が入手できないことは直ちに健康や生命の安全を脅かすことにつながる。このように本モデル事業は,被保護者の日常生活に著しい不便や危険を生じさせるものである。
 この点,貴市自身が,2013年9月4日の時点においては,「本市におきましても保護費の電子マネー化やクレジットカード払いが可能かどうかの検討を行いましたが,購入先が限定され,近隣の小規模店舗では使用できない可能性があることなどの課題があると考えています。」としていたにもかかわらず ,わずか1年で認識を180度転換させ本モデル事業の実施に踏み切ったことは不可解というほかない。

4 巨大企業による国家的貧困ビジネスの始まりである
 本モデル事業は,三井住友カードと富士通総研が提案してきた事業を貴市が採用したものである。モデル事業の協定先である上記2社とVisa,NTTデータは,「米国では既に児童手当や災害手当といった各種給付がVisaプリペイドによって給付」されており,「2012年には年間100億ドル以上がプリペイドカードにより給付」されているとして,「今回のモデル事業を通じ,大阪市同様に全国の自治体への展開を進め,(略)政府の日本再興戦略における具体策の一つである,公的分野での電子決済の利用拡大を含むキャッシュレス決済の普及を目指」すとしている。上記4社は,200万人の生活保護利用者を新たな巨大市場として獲得することを皮切りとして,さらにはアメリカのように児童手当その他の公的給付についてもプリペイドカードによる支給を実現することによって,爆発的に市場を拡大していくことを目論んでいるのである。その目的は,もちろん巨額の手数料収入を得ることによる利潤の追求である。アメリカでのSNAP(旧フードスタンプ。補足的栄養支援プログラム)が助けているのは,困窮したワーキングプアでも失業者でも,零細農家でもなく,売上げが入る大手食品業界と,偏った食事が生む病気が需要を押し上げる製薬業界,カード事業を請け負う金融業界の三者であるという報告もある(堤未果「㈱貧困大国アメリカ」11頁)。
 本モデル事業によって,既に述べたとおり,生活保護利用者が利益を得ることがないだけでなく,貴市をはじめとする自治体も何ら支出を減らすことはできず,むしろ委託手数料等の支出を増やすことになる。利益を得るのは大手カード会社だけであり,まさに国家的規模で福祉給付を利潤の源として食い物にする貧困ビジネスの始まりである。

5 プリペイドカードの支給はアルコールやギャンブル依存症の対策にはならない
 貴市は,本モデル事業実施の理由として,「ギャンブルや過度な飲酒等に生活費を費消し,自立に向けた生活設計を立てることが困難な方等への支援」をあげている。
 しかし,プリペイドカードを支給して使途を把握し,不適切な使途があれば問い質して叱責したからといって,アルコールやギャンブルの問題が解消・解決するというような簡単な話ではない。依存症は病気なのであるから,当事者に寄り添った支援を通じて信頼関係をつくり,専門クリニックへの通院や自助グループへの通所などにつなげ,当事者自身が自分で自分の生活を日々コントロールしていく力を身に着けていくための,地道で息の長い援助がなければ,却って逆効果となることが目に見えている。
 また,そもそも本モデル事業は,単身者で約8万円の保護費のうち一部(3万円)のみをプリペイドカード支給するというものであり,残りの現金5万円で飲酒やギャンブルをすれば把握のしようがないのであるから,保護費の使途を把握してギャンブルなどを抑止すること自体が不可能である。
 本モデル事業の本質は,当事者に対する支援を名目・隠れ蓑にしながら,真の目的は,生活保護利用者を管理支配して生活保護から締め出すことによって自治体の保護費を減らすことにあることが明らかだ。

6 生活保護利用者だけでなく地域の小規模商店や児童手当・年金等の公的給付受給者にとっても死活問題である
 3で述べたとおり,プリペイドカードが加盟店でしか使えないということは,加盟店契約をしていない地域の小規模な商店や食堂等の側から見れば,大切な顧客を大規模チェーン店等に奪われ,経営の基盤を脅かされることを意味している。特に,生活保護利用者が多く住む地域では,顧客を奪われて廃業を迫られる小規模店も少なからず出てくる一方,大手のコンビニやスーパーのチェーン店が出店数や規模を拡大することが予想される。これは地域の衰退にも,つながる問題である。
 また,橋下市長は,会見で,「本来ならば全員,一定額についてはカード利用にしたほうがよい」旨述べており,将来的には希望者だけではなく生活保護利用者全員についてプリペイドカードによる支給を行うことを示唆している。また,同市長は,「生活保護制度の財源が税であることから,支出について適正さが求められることの一環として,受給者にこれくらいの負担を負ってもらっても然るべきである」旨も述べている。その理屈からすれば,生活保護に限らず,児童手当,児童扶養手当,老齢年金,障害年金などの税を財源とする公的給付については,すべてプリペイドカードによる支給とする方がむしろ一貫していることになる。実際,4で述べたとおり,三井住友カード等の発案企業は,そのようなアメリカ型の社会の実現を望んでいるのであり,これは決して杞憂とは言えない。
 したがって,本モデル事業は,この国で暮らすすべての人にとって対岸の火事ではありえないのであり,その意味からも現段階において撤回されることが強く求められる。

以 上

この要望(案)への賛同を、賛同フォームからお願いします。

(★転載終了★)

Amazon : 生活保護


投稿者 kihachin : 2015年01月13日 08:00

« 【猫の写真】公園時代のレオさん(その6) | メイン | 【猫の写真】ポンさん、キリさん、ダイジさん »



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://kihachin.net/klog/mt-tb.cgi/5477

このリストは、次のエントリーを参照しています: 【団体賛同募集/転載】大阪市のプリペイドカードによる生活保護費支給のモデル事業撤回を求める要望に賛同をお願いします(2015年01月31日〆切):

» 雪の竜安寺(後編) from 小路のヲタク草紙
[画像]  どうも、こんにちは。  前編に続きまして、京都・竜安寺の雪景色をお届けします。  今回は、あの有名な石庭などがある庫裏を訪れます。  庫... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2015年01月13日 21:37