【お勧めの本】深尾葉子『魂の脱植民地化とは何か』青灯社(2012) 更新!

2014年10月14日

白井康彦『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』(あけび書房)を読んでいます

白井康彦さん(しらい やすひこ/中日新聞編集委員・STOP!生活保護基準引き下げ)の『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』(あけび書房)をただいま読んでいます。これは「良書」です!

(※『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』を「Amazon」「楽天」で購入する)

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生活保護削減のための物価偽装を糾す!』は政府による生活保護費削減政策を厳しく批判する本です。
著者の白井康彦さんは中日新聞名古屋本社の生活部編集委員。経済部記者として証券担当・日銀の記者クラブ担当の経験もあり、生活部にいちばん長く在籍しています。白井さんいわく《取材対象が金持ちから貧しい方に移っている感じです。どちらかというと普通の記者とは逆》だそうです。
この『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』52ページに次のような記述があります。

「ホームレスは気楽だろう」と軽く言う人もいますが、野宿生活はやはり過酷です。冬の寒さはしのぎにくいです。食事も不自由で、おいしいものにはありつけません。知っている人には絶対見られたくない「人間の尊厳を失った」状態です。通行人の中には酷い言葉を投げかけたりする人もいます。孤独な人がほとんどです。公園の片隅の同じ場所で毎晩寝ていると、猫が寄ってくることが多いようです。野宿生活の中で猫と仲良しになっている人が多いようにも思いました。

注目したのは最後の2つの文章、「猫」に関する部分です。
わたしはここをたまたま二階堂公園(※勝手に通称)のベンチにて読みました。
そのとき、すぐ横には野良猫「ゲン」さんが寄り添っていて、ちょっと離れたところには猫なかまで「ホームレス」状態(公園付近で寝泊まりしている)の男性もいたのです。
偶然の一致というか何というか、じつに玄妙な気持ちになりました。
わたしは《野宿生活》はしたことがありませんが、《猫が寄ってくることが多》く、少なからぬ《猫と仲良しになっている》人間です。
孤独な人》であることも、間違いありません。

生活保護削減のための物価偽装を糾す!
白井康彦『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』あけび書房(2014.09)

(★版元ウェブサイトから転載開始★)

生活保護削減のための物価偽装を糾す! -ここまでするのか! 厚労省

白井康彦/著
森永卓郎・白井康彦/対談

A5判/136頁  2014年9月発行
1400円(税別)

はじめに

先進国中、最も利用しづらい日本の生活保護。OECDや国連からも是正勧告を受ける日本の生活保護。にもかかわらず、改善するどころか、生活保護をさらに受けづらく、額も削減しようとする厚労省。不正受給は厚労省統計でも0.5%にすぎないにもかかわらず、いかにも膨大であるかの報道、バッシングの嵐。そしてついに、生活保護基準額引き下げのために物価統計の偽造にまで及んだ厚労省。
生活保護バッシングをあおり、物価指数を偽装してまで生活保護を大幅削減する厚労省。生活保護問題を追究する新聞記者と経済アナリストがその手口を解明し、満身の怒りで告発する。

カタログPDF

(★転載終了★)

生活保護削減のための物価偽装を糾す!』を弊ブログでも何度かにわたって──シツコク!──紹介させていただこうと思います。

(※『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』を「Amazon」「楽天」で購入する)

Amazon : 生活保護

投稿者 kihachin : 08:00

2014年09月25日

【お勧め本】福本容子『なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか』講談社+α新書

なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか福本容子(ふくもと ようこ/毎日新聞論説委員/経済担当)、講談社+α新書(2014.08)。
これは良書です!
自ら「ハゲ」のわたし(中村/近影)も確信をもって──特に当事者の方に──お勧めします。

(※『なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか』を「Amazon」「楽天」で購入する)

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なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか』を読んで、わたし(中村)は「もっと真面目に筋トレと有酸素運動をやろう(楽しみつつ)」とあらためて思いました。やはり、ハゲ男性には「精悍な身体」と「アニマルスピリット」が似合うんですね。まあ、それは以前から承知していたことなのですが…。
また、次のようなことも思いました。
ハゲ=クールではないが、ハゲ男性はクールになるべく励(はげ)めばいい。ハゲはけして不運ではなくて幸運である。人格を陶冶(とうや)すべく課せられた試練なのだ」。

なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか
なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか

著:福本容子《ふくもと ようこ/毎日新聞論説委員/経済担当》

発売日: 2014年08月20日定価 : 本体840円(税別)

 いま、世界では「ハゲ」こそかっこいい。
 アマゾン、ゴールドマン・サックス、ゼネラル・エレクトリック……。アメリカを代表する有力企業の最高経営責任者(CEO)には共通する特徴があります。それは「トップ(社長)のトップ(頭頂)がスッキリ!」。
 かつて欧米では、「ハゲ」た政治家は当選できないと、メディアでオープンかつ真剣に議論された時代もありました。触れることもはばかられた日本とは違って、その人を判断する重要な要素のひとつだったのです。ところがいまや、ヘタに隠して自信のなさそうな姿を示す男性よりも、すっきりボウズスタイルやスキンヘッドにして堂々としている男性のほうが高く評価されるようになっています。むしろ、「堂々ハゲは決断力に満ちてかっこいい」と高評価を受けるように変化しています。
 そう、いまや「影響力のあるハゲ」が世界を動かす時代、なのです。
 長年、世界経済・ビジネスの最先端を取材してきた女性新聞記者が、世界のさまざまな事例を紹介しながら、日本の薄毛の男性諸氏1260万人へ熱いエールを送ります。

第1章 世界の政治家とハゲ
第2章 日本のハゲ
第3章 経営者とハゲ
第4章 髪の有無と影響力
第5章 髪の文化人類学
第6章 ハゲノミクス
第7章 ボウズファッション
第8章 ハゲのリアル
第9章 ハゲと日本経済

ISBN:978-4-06-272863-8
判型/ページ数:新書/208ページ
シリーズ:講談社+α新書

(※『なぜ世界でいま、「ハゲ」がクールなのか』を「Amazon」「楽天」で購入する)

Amazon : 福本容子

投稿者 kihachin : 08:00

2014年07月13日

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』から主に「ユダヤ人」に関する引用

ワシーリー・グロスマン(1905-1964)『人生と運命』(全3巻)から、主に「ユダヤ人」に関する文章を引用します。

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旧ソ連の作家ワシーリー・グロスマンが第二次世界大戦・独ソ戦とユダヤ人虐殺を描いた長編小説『人生と運命』については、これまで弊ブログで2回紹介しました。

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』と猫の運命

今回のエントリでは「ユダヤ人」に関する部分を──わたし自身の覚え書き的に──抜粋します。
引用文の後の [] 内は巻数とページ数を示しています。

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
ワシーリー・グロスマン『人生と運命』みすず書房

 伝染病にかかった家畜を屠殺するにはさまざまな準備がなされる──輸送して屠殺場所に集め、熟練労働者へ指示を出し、深く細長い溝および穴を掘る。
 当局が伝染病にかかった家畜を屠殺場所に運ぶのを助けたり、あるいは逃げ出した家畜を捕まえるのを助けたりする住民がいるが、それは子牛や牝牛が憎らしいからではなく、自己保存の本能からである。
 人々の大量虐殺の際に、殲滅される老人、子ども、女性に対して血に飢えた憎しみが住民にあるわけではない。それゆえ、人間の大量虐殺のキャンペーンには特別の準備が必要である。この場合には、自己保存の本能では不十分であり、嫌悪と憎しみの感情を住民に呼び覚ます必要がある。
 まさにそのような嫌悪と憎しみの雰囲気の中で、ウクライナとベラルーシにいるユダヤ人の殲滅は準備され、実行された。 [第1巻310-311頁]
 反ユダヤ主義はさまざまなかたちで表れる──それは嘲笑的でいかにも嫌そうな親切の中にも、集団虐殺の中にも表れる。
 思想的、内面的、潜在的、日常生活的、生理学的──反ユダヤ主義の種類はさまざまである。個人的、社会的、国家的──反ユダヤ主義の形態はさまざまである。 [第2巻261頁]
 反ユダヤ主義が目的であったことは決してなく、反ユダヤ主義はいつも手段に過ぎない。それは出口のない矛盾を測る尺度なのである。
 反ユダヤ主義は、個々の人間や社会制度や国家体制がもつ欠陥を映す鏡である。ユダヤ人の何を非難しているのかを聞けば、その人自身がどのような点で責められるべきかを言うことができる。 [第2巻261-262頁]
 反ユダヤ主義は凡庸さの表れであり、人生の闘いのいたるところ──科学、商業、手工業、美術──において対等では勝てないことの表れである。反ユダヤ主義は人間的凡庸さの尺度である。諸国家は自らの失敗の説明を世界的ユダヤ民族の陰謀に求める。 [第2巻262頁]
反ユダヤ主義の火の手が燃え上がるとき、それは歴史の最も恐ろしい時代を照らすのである。
 ルネサンスがカトリックの中世という砂漠に急速に浸透したときには、闇の世界は異端審問の火を放った。その火は悪の力を見せつけたのみならず、悪が滅びる絵図をも照らしだした。
 二十世紀には、死を運命づけられた、物理的に時代遅れで失敗続きの諸国家の民族主義的な古い体制が、アウシュヴィッツの火刑の火、ルブリンとトレブリンカの火葬場の火をつけた。その炎は、ファシズムの短い勝利を照らしただけではなかった。その炎は、ファシズムの敗北が必至であると世界に予言した。全世界のどの歴史上の時代も、反動的で失敗続きの諸国家の政府も、うまくいかない人生をなんとかしようとしている個人も、避けがたい運命が目前にせまったときには反ユダヤ主義に走るのである。
 二千年にわたる歴史の中に、自由や博愛が反ユダヤ主義を自らの戦いの手段として用いたことがあっただろうか。ひょっとすると、あったかもしれない。しかし、私はそのような例を知らない。 [第2巻264頁]
 人は死へと赴くにつれ、自由の世界から奴隷の王国へと移っていく。生──それは、自由である。 [第2巻371頁]

Amazon : ワシーリー・グロスマン

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2014年07月05日

岡田斗司夫さん「有名人 Twitter のフォロー数とフォロワー数バランスって極端」

岡田斗司夫さん(おかだ としお/FREEex 代表・大阪芸術大学客員教授・株式会社オタキング社長)の「いい人」戦略を紹介します。

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岡田斗司夫超情報化社会におけるサバイバル術 「いいひと」戦略』マガジンハウス(2012)から「有名人 Twitter のフォロー数とフォロワー数バランス」についての部分を引用させていただきます(同書149-150頁)。

 Twitter をやっている方は既に知っていると思いますが、有名人のフォロー数とフォロワー数のバランスって極端ですよね。フォロワー数が数千〜数万人もいるにも関わらず、フォロー数が数十〜数百人くらいしかいないという、実にアンバランスなことになっています。
 あれを見ると、いつもヘンだなあと思います。だって「あなた方一般人には興味がありません」と宣言しているようなものじゃないですか。よほど面白いと思った人でも、基本的にはフォローしないはずです。他のフォロワーに対してフェアじゃなくなるから。でも、その戦略は、せっかく自分に興味を持ってくれた人を自ら手放してしまうようなものです。すごく勿体ない。

超情報化社会におけるサバイバル術 「いいひと」戦略
岡田斗司夫『「いいひと」戦略』マガジンハウス(2012)

(※『「いいひと」戦略』を「Amazon楽天」で購入する)

岡田斗司夫さんの「いい人」戦略とは?
以下はわたし(中村)の勝手な理解です。

「生きづらさ」をこじらせ、社会的な撤退戦略(究極は「自死」)をとる人が増え続けている。
そんな「生きづらい」世界で、私たちは如何にサバイバルしていけばよいのか?
ずばり、「いい人」になる。
もちろん、我々凡人が「本物のいい人」になるのは難しい。
だから、「いい人」の振りをする、演じ続ける。
そうしているうちに、周囲には「いい人(たらんとする人たち)」が集まるようになる。
最終的には、「いい人」ばかりのコミュニティができているはず。
「いい人」戦略の本質は…「愛は負けても、親切は勝つ」だ。

なお、勝手な理解ですから誤読しているかもしれません(たぶんしているでしょう…すみません)。

岡田斗司夫さんの「いい人」戦略は次の6つのフェーズからなっています。

  1. 助走 : フォローする
  2. 離陸 : 共感する
  3. 上昇 : 褒める
  4. 巡航 : 手伝う、助ける、応援する
  5. 再加速 : 教える
  6. 軌道到達 : マネー経済から抜け出す

先に引用した《有名人のフォロー数とフォロワー数のバランスって極端…》は「いい人」戦略の入門編という位置づけになっています。
Twitter で沢山の人たちをフォローしよう、フォローされたらフォロー返しをしよう、という。
じつは Twitter に関して、わたしも岡田さんと同じようなことを以前から考えていました。

たとえば、こんなこと。
・「自殺対策支援」団体代表の個人 Twitter 。フォロワーが優に「万」を超えているが、自らフォローしているのは「百」程度。あなたが積極的にフォロー返しをすれば、それだけでも自死を減らせるのではないでしょうか?
・社会運動では相互のつながりが大事と常々主張してきた「活動家」氏。フォロワーは数万人だが、自らフォローしているのは「百」程度。それってもしかしたら「言行不一致」ってやつでは?
他にも該当する人は多々いますが…、割愛しておきます(この辺り、わたしも「イヤな人」戦略…笑)。

日本の有名人代表として、1人だけ名前を挙げると、安倍晋三首相の Twitter 。
「フォロー」が3人で「フォロワー」335,976人です(2014年07月05日午前9時41分現在)。
有名人のフォロー数とフォロワー数のバランスって極端》な典型例ですね。

さて、ここでアメリカ合衆国大統領バラク・オバマさんの Twitter を見てみると…。
「フォロー」649,795人に対して「フォロワー」43,897,753人です。
かなり積極的にフォロー返しをしているようです。
それにしても、安倍さんは「同盟国」アメリカの大統領をなんでフォローしないのでしょうか?
ちょっと、心配になってきますね…。

わたし(中村)自身の Twitter も紹介(言うまでもなく「有名人」ではありませんが)。
ただいま「フォロー」3,588人、「フォロワー」3,544人です。
しばらく前から、意図的に「フォロワー」より「フォロー」の人数が多い状態を保っています。
これはじつは『新約聖書』「使徒言行録」20.35(新共同訳)のイエスの言葉《受けるよりは与えるほうが幸いである》の実践なんです。

とはいえ、わたしはキリスト教徒ではなくて、自分を「聖書をときどき拾い読みするのが好きな、日本的な神仏混淆小乗仏教徒(特定の教団・寺院等には所属せず)」と規定する者ですが。
いずれにせよ、「いいこと」はどんどん真似しよう、取り入れようという主義です。
聖書の《受けるよりは与えるほうが幸いである》は、究極の「いい人」戦略かもしれませんね。

というわけで、岡田斗司夫さんの『「いいひと」戦略』マガジンハウス(2012)は「いい本」です。
ぜひ一読をお勧めします。

(※『「いいひと」戦略』を「Amazon楽天」で購入する)

Amazon : 岡田斗司夫

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2014年06月25日

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』と猫の運命

人生と運命』(全3巻)は、旧ソヴィエト連邦の作家ワシーリー・グロスマン(1905-1964)が第二次世界大戦時の「独ソ戦(スターリングラード攻防戦が中心)」と「ユダヤ人虐殺」を描いた長編小説です。
ここに登場する「」についての覚え書きです。

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ワシーリー・グロスマン人生と運命』は、先に弊ブログで簡単に紹介しました。

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
(「喜八ログ」)

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
ワシーリー・グロスマン『人生と運命』みすず書房

この大長編小説を読んでいるうちに気づきました。
作者(グロスマン)は猫が好きなんだ!」と。
みすず書房の日本語翻訳版・全3巻合計でおよそ1400ページ(解説・訳者あとがきなどを含む)。
その小説中に「猫」に関する記述が多々散見されるのです。
悲惨な戦争の時代を背景としているので、猫さんたちの「運命」もまた悲しいものである場合が少なくないのですが…。
「やはり、ヒトにとっても、猫にとっても、あらゆる『いのちあるもの』にとって、戦争は悪しきものだ」という思いを新たにしました。
ともあれ、『人生と運命』から、「猫」要素を抽出して、自分のための覚え書きとしておきます。

膨大な人数が登場する物語の中で、中心的な役割を果たすソ連人「シャーポシニコフ一家」のヴィクトル(作者グロスマンが投影されている)とその妻リュドミーラは猫を飼っていたことがあった。猫は最初のお産のとき、仔猫を産み落とすできず、ヴィクトルのほうに這いよってきて、大きく見開いた明るい色の目で鳴き声を上げながら彼を見ていた(『人生と運命』第1巻130頁)。

「シャーポシニコフ一家」にかつて養育係として住み込んでいたドイツ人女性《ヘンリクソンおばあさん》が飼っている年老いた三毛猫。飼い主がドイツに強制送還された後、猫の運命は悲しいものになる(第1巻159-163頁)。

幼いユダヤ人少年ダヴィドは母親と2人で暮らしている。朝、お母さんが仕事に出かけた後、ダヴィドは《細くて長い尻尾の白っぽい涙目をしたやせた乞食猫》に、空き缶にコップ一杯分のミルクをあげるようにしていた(第1巻301頁)。ダヴィド(7歳)はその後、ドイツ軍に捕らわれ、絶滅収容所行きのユダヤ人移送列車に乗せられる。

ドイツ軍とソ連軍が猛烈な市街戦を展開したスターリングラード市(現在はヴォルゴグラード)。半地下小屋で戦火を避けていた老婆・孫・ヤギの一家は、ソヴィエト軍の夜間爆撃機による大型爆弾により、影も形も見えなくなる。破壊の跡地で、ソ連軍斥候兵士クリーモフは《汚い子猫》を発見する。クリーモフは自分でも理由が分からないうちに、子猫をポケットに入れて、自分の持ち場である《第六号棟第一号フラット》に連れ帰る。そこではスターリングラード市街でも最も激しい戦闘が続けられていた(第1巻369頁)。
この子猫は第2巻145頁で再登場。すでに後ろの両脚が動かず、前脚だけで女性兵士カーチャのもとに急いで這っていこうとする…。

侵略軍であるドイツ軍兵士(運転手)の連れている猫。兵士が外から帰ると、猫が駆け寄る。国境からずっと一緒らしく、テーブルでも、猫を両手で抱えている(第2巻380頁)。

ヴィクトル(作者グロスマンが投影されている登場人物)が勤務する物理学研究所の所長チェプイジンが会話の中でルイス・キャロル『不思議の国のアリス』に登場する「チェシャ猫」のたとえをする(第3巻124頁)。

そういうわけで「ワシーリー・グロスマンは猫好きだったに違いない」とわたしは強く感じたのでした。
上に挙げたほかの何箇所かにも「猫」に関する記述がありますが、それらは割愛しました。

Amazon : ワシーリー・グロスマン

投稿者 kihachin : 08:00 | トラックバック

2014年06月19日

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』

旧ソ連の作家ワシーリー・グロスマン(1905-1964)が第二次世界大戦・独ソ戦とユダヤ人虐殺を描いた長編小説『人生と運命』(全3巻)を紹介します。

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ワシーリー・グロスマンの『人生と運命』は──敢えて乱暴に一言でいえば──レフ・トルストイ戦争と平和』のような歴史大河小説です。
第二次世界大戦におけるナチスドイツとソビエト連邦の闘い「独ソ戦」は人類史上最大の犠牲者を出した悲惨なものでした。
兵士・民間人を含めた死者は、一説にはソ連側3000万人・ドイツ側1000万人とも言われます。

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』
ワシーリー・グロスマン『人生と運命』みすず書房

アドルフ・ヒトラーのドイツ第三帝国は1939年09月01日にポーランド侵攻を開始し、その後も破竹の進撃を続け、ヨーロッパの大部分を占領。
1941年06月22日に、ドイツは「独ソ不可侵条約」(1939年08月23日締結)を一方的に破棄して、大軍をもってソ連に攻め込みました。
ドイツではこれを「バルバロッサ作戦」と呼び、ソ連は「大祖国戦争」と呼びます。
ナポレオン・ボナパルトのフランスを中心とした同盟軍による侵略(1812年ロシア戦役)はロシアでは「祖国戦争」です。
これに対して、ヒトラーのナチスドイツに抗った闘いを「大祖国戦争」としたのでした。
当時ソ連の独裁者であったヨシフ・スターリンはそれまで国民に「同志諸君」と呼びかけていましたが、独ソ戦が始まると「兄弟姉妹の皆さん」に一変しました。
後者はキリスト教・ロシア正教の神父が教会で信徒に対して使う言い方です。
スターリンは神学校中退という経歴を持っていたので、このような「切り替え」が、国民の心を動かす可能性を直感していたものと思われます。

「独ソ戦=バルバロッサ作戦=大祖国戦争」開始から、ドイツ軍は快進撃を続け、ウクライナを始め広大なソ連の地域を占領し、首都モスクワの目前まで迫ります。
しかし、その後、ソ連側の反攻が生じます。
最も主要な戦場はスターリングラード(現在はヴォルゴグラード)です。
スターリングラードでの闘いが、第二次世界大戦の「転換点」となりました。
独裁者スターリンの名を冠したこの都市で、ドイツ・ソ連両軍は壮絶な市街戦を展開し、最終的にソ連側が勝利。
ここからナチス第三帝国の命運は急坂を転げ落ちるように破滅へと向かっていきました。

実は独ソ戦は日本人とも強いつながりがあります。
1941年当時の大日本帝国は、ドイツとは「日独伊三国同盟」(1940年締結)により結ばれた同盟国でしたし、ソ連とのあいだには「日ソ中立条約」(1941年締結)があり「相互不可侵」ということになっていました(※1945年08月09日、ソ連は一方的に条約を破り日本軍を攻撃)。
昭和の軍部はナチスドイツの対ソ戦当初の「優勢」に幻惑され、真珠湾攻撃(1941年12月12月08日/)という極端な軍事的冒険に踏み切ったと思われます。
「ドイツが欧州とソ連を占領したら、米国は対日戦争を継続することができず、講和に応ずるはず」という甘い期待があったのでしょう。
日本の戦争指導者たちには、「勝ち馬」(となるはずだった)ドイツの側に立ち、「戦後」に利益を得る、と読んでいたようです。
が、真珠湾攻撃の頃には、ドイツ軍はソ連軍の頑強な抵抗に直面し、大苦戦が始まっていたのです。
結果から言えば、日本軍部の「勘の悪さ」は致命的でした。

ワシーリー・グロスマン『人生と運命』は「大祖国戦争」を主にソ連側から描いた大長編小説です。
グロスマン自身が独ソ戦の激戦地スターリングラードにも記者として従軍しています。
小説の膨大な数の登場人物には、ソ連人だけでなく、ヒトラーやドイツ軍人、ユダヤ人なども含まれます。
というより、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)が『人生と運命』の大きな骨子でしょう。
作者グロスマンの母親はソ連邦に暮らすユダヤ人で、占領ドイツ軍により殺害されています。
人生と運命』も母エカテリーナ・サヴェーリエヴナ・グロスマンに捧げられています。
重要な登場人物ヴィクトル・パーヴロヴィチ・シュトルーム(作者グロスマンが投影されている)への母からの手紙(『人生と運命』第一部18章)、および絶滅収容所に送られるユダヤ人ダヴィド(7歳の少年)とソフィヤ・オーシポヴナ・レヴィントン(ロシア軍軍医の女性)の物語は、この大長編小説の最も重要な部分であると、わたし(中村)は読みました。

なお、ソ連は帝政ロシアの時代から反ユダヤ感情の強い国です。
ナチスドイツには及ばないにしても、反ユダヤ人暴動・虐殺「ポグロム」の歴史があります。
帝政ロシアによる迫害から逃れたユダヤ人たちが、1880年台から20世紀初頭にかけて、移民としてアメリカ合衆国に渡り、そのためアメリカには多くのユダヤ系市民がいます。
先にグロスマンの母親はユダヤ人と記しましたが、ユダヤ教の伝統は「母系」ですので、ワシーリー・グロスマンもまたユダヤ人です。
スターリン時代の末期にソ連でユダヤ人迫害が生じたことに加えて、グロスマンがスターリン圧政の弊害を描いたこともあり、これが書かれた1960年頃には『人生と運命』は弾圧の対象となり、発禁処分とされ、原稿も抹殺されました。
けれども、友人たちに託されていた原稿を基に、1980年代になってようやく刊行が実現しました。

そのほか「ワシーリー・グロスマンは猫好きだった!」という発見もありました。
ワシーリー・グロスマン『人生と運命』と猫の運命」に続きます。

Amazon : ワシーリー・グロスマン

投稿者 kihachin : 08:00 | トラックバック

2014年06月01日

佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』から

佐藤優さん(さとう まさる/作家・元外務省主任分析官)の《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》などに関して、同氏の著書『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』から、あれこれと。

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佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)は、中世末期ボヘミア(チェコ)の宗教改革者ヤン・フス(1370頃-1415)を中心に、神学書でも学術書でも文芸批判書でもなく、著者の佐藤さん自身が《もっとも書きやすい文体と構成で》《考えている事柄のほとんどすべてを盛り込んだ》本です。

佐藤優『宗教改革の物語  近代、民族、国家の起源』
佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)

(※『宗教改革の物語』を「Amazon」「楽天」で購入する)

キリスト教の「宗教改革」というと、中学・高校の教科書では、16世紀ドイツのマルティン・ルター(1483-1546)が嚆矢(こうし)とされていたと記憶しています。
けれども、ヨゼフ・ルクル・フロマートカ(1889-1969)、アメデオ・モルナール(1923-1990)などのチェコのプロテスタント神学者たちは、15世紀のヤン・フスらのチェコ宗教改革を「第一次宗教改革」、16世紀のルター、フルドリッヒ・ツビングリ(1484-1531)、ジャン・カルバン(1509-1564)らの宗教改革を「第二次宗教改革」と呼び、一体のものと見做すそうです。
佐藤優さんは、フスと15世紀チェコの宗教改革が宗教改革の起源であり、14世紀イングランドの神学者ジョン・ウィクリフ(1320年台-1384)からフスは強い影響を受けたと考えます。
これら宗教改革者のうち、フスは当時絶大な宗教的・世俗的権力を持っていた教会から「異端」とされ焚刑(火あぶり)にされ絶命、ツビングリはカトリック軍との戦闘において戦死、ウィクリフ、ルター、カルバンは天寿を全うしています。

以下は《フスについて扱った本書『宗教改革の物語』に高い優先順位をつけて上梓すること》の佐藤優さん自身の解説です(『宗教改革の物語』24頁)。

 私の設定している国家、民族/エスニシティ、戦争、資本主義、社会主義、独裁、キャリア本(勉強法、人間力効果術)などをめぐる問題は、いずれも近代の危機的状況に関連するテーマだ。近代の枠組みの中だけで思考していると、時代の危機を克服することができない。
 そこで私は近代以前の時代に目を向け、そこから生き残るためのヒントを得ようと考えた。
 私はキリスト教徒なので、新約聖書に記されたイエス・キリストに還(かえ)る、言い換えるならば復古維新のアプローチをとりたいのだが、イエスの時代と現代を類比的にとらえることは危険だ。世界像があまりにも異なっているからだ。その意味で、フスが活躍した一五世紀は、まだに中世と近代の双方にまたがった過渡期なのである。この時期に立ち返ることによって、民族、世俗化、宇宙観の転換などを知ることができる。

ところで、わたし(中村順)は「非キリスト教徒」で、聖書も近年になってようやく読み始めました。
そして聖書の読み方に関して、わたしは佐藤優さんの影響を強く受けているようです。
2005年に『国家の罠』を手にとって以来、佐藤さんの本を多く読んできました。
その際、キリスト教に関する部分は適当に読み流していたのですが……ずっと長い間。
けれども、その読み流してきたキリスト教の部分がいつのまにか、自分の中に入り込んでいたようです。
ただし、いまもわたしは「非キリスト者」です。
佐藤優さんの次の言葉がしっくりと腑に落ちるためです。

「自分は本当にキリスト教で救済された」「イエス・キリストこそが救済の根拠だ」ということを腹の底から思わないかぎり、キリスト教徒には絶対なってはいけない。 (『神学部とは何か―非キリスト教徒にとっての神学入門』新教出版社/2009/93-94頁)

ごく最近になって知ったのですが、これは少年時代の佐藤さんが通っていた教会の伝道師から言われた言葉でもあるようです(佐藤優『先生と私』幻冬舎/2014)。

佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》が『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』の最初のほう(20-23頁)に列挙されています。
第一優先度(12件)・第二優先度(11件)・第三優先度(15件)の計38件です。
ヤン・フスの宗教改革の物語をまとめる》は第一優先度の冒頭に挙げられています。
すなわち、わたしが今読んでいる『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』ですね。

佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》38件から、わたしが「ぜひ読みたい」と思ったいくつかの項目を、佐藤さんがつけた優先順位とは別に、わたし自身の「読みたい」優先順に紹介します。

佐藤優さんの御母堂・佐藤安枝さん(さとう やすえ/旧姓: 上江洲(うえず)/1930-2010)の沖縄戦体験記。
久米島出身の佐藤安枝さんは、県民の3人に1人が死亡したと言われる沖縄戦(1945年03月-07月頃)に、14歳で正規の軍属(「石部隊(陸軍第62師団)」所属)として、最後まで従事しました。
06月下旬に沖縄守備軍最高指揮官・牛島満中将と参謀長・長勇中将が自決して、日本軍による組織的戦闘が終結した後も、摩文仁(まぶに)海岸の自然の洞穴(ガマ)に日本兵・民間人が潜んでおり、少女軍属の佐藤安枝さんもその中にいました。
米兵に発見され、集団自決寸前になりましたが、北海道出身の伍長による決断で投降して、命拾いをしました。
「鉄の暴風」と呼ばれた沖縄戦で、弾には一度も当たらず、怪我もなかったそうです。
佐藤優さんはお母さんの沖縄戦体験を断片的に何度も書かれていますが、これはぜひ一冊の本で読みたいと思います。

チェコのプロテスタント神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカの『人間への途上における福音』、『倫理学入門』、『宗教改革から明日へ』(共著)のチェコ語からの翻訳。
フロマートカは佐藤さんがもっとも強い影響を受けた神学者です。
佐藤優さんによるとフロマートカは聖書の中で《受けるよりは与えるほうが幸いである》(『新約聖書』「使徒言行録」20.35 新共同訳)を最重視したとのことです。
わたしは佐藤さんのガイドで──著書を通じて──聖書を読んだこともあり、この《受けるよりは与えるほうが幸いである》には現実的な行ないの上で影響を受けています。

猫の飼い方に関する実用書。
佐藤優さんは現在5匹の猫といっしょに暮らしています。
それぞれの猫は「地域猫」「野良猫」「捨て猫」でした。
このままではクルマに轢かれてしまう、悪意ある人間から害を受けるといった心配から、佐藤さんご夫妻はニャンコたちを保護してしまうそうです。
仔猫だけでなく、オトナの猫も保護するところが、佐藤さんらしいところなのでしょう。
わたしは佐藤優さんの言説・行ないに関しては──誰に対しても──「是々非々」ですが、佐藤さんの「猫を保護する」ところ、「けして友人や仲間を裏切らず、見捨てない」ことには感銘を受けますし、真似をしたいと思っています。

20代後半から30代の勉強法の本。
大学生、大学院生にとって将来社会で役に立つための読書案内の本。
人生の危機に直面したときの実用書。
非キリスト教徒に向けたキリスト教教義学についての教科書。
以上4つの項目をまとめさせていただきました。
わたしとって佐藤優さんは非常に信頼できるブックガイド(本の案内人)です。

ソ連崩壊を軸にゲンナジー・ブルブリス(元国務長官)の思想についてまとめて、本にする。
ブルブリスの言葉は以前弊ブログ記事(ゲンナジー・ブルブリス「猫型人間をつらぬけ」)でも紹介したことがあります(※《 》内は中村による補足)。

猫型《人間》を貫け。
自分勝手でいい。
徒党を組む必要もない。
だが猫と同じに、人から受けた恩は忘れるな。
猫は餌をくれ、排泄物を処理してくれる人間を忘れない……
裏切らない。
君も絶対に人を裏切るな。

以上、わたしの個人的な興味に従って、佐藤優さんの《二〇一四年一月時点でやりたいテーマ》のごく一部を紹介させていただきました。
他の項目に興味を覚えた方は、佐藤優『宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源』角川書店(2014)の(20-23頁)を覗いてみてください。

(※『宗教改革の物語』を「Amazon」「楽天」で購入する)

「喜八ログ」の関連記事(の一部)です。

Amazon : 佐藤優

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2014年04月23日

宮部みゆき「燔祭」

宮部みゆきさんの小説「燔祭(はんさい)」(『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』光文社文庫)に関するあれこれ。

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宮部みゆき燔祭(はんさい)」は『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』に収録された中篇小説です。

鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで
宮部みゆき『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで

(※『鳩笛草・燔祭・朽ちてゆくまで』を「Amazon楽天」で購入する)

以下、「燔祭」前半のストーリーをざっと紹介します。

物語の語り手は「多田一樹」。二十代後半。製紙会社に勤務するサラリーマン。
多田一樹には9歳年下の妹「雪江」がいた。
未熟児ぎりぎりの体重で生まれ落ち、すやすや寝てばかりの赤ん坊だった。
一樹が学校で辛いことがあった日に、初めて妹の笑い顔「赤ちゃんのむし笑い」を見たこと。
初めて雪江が歩いた日。
だが、妹の命は高校2年生の夏休み最後の日に突然絶たれる。
凶悪な不良未成年者グループによる「殺人ゲーム」の標的にされ、殺害されたのだ。
加害者たちはほぼ特定されるものの、証拠が不十分で逮捕には至らない。
主犯の少年は「小暮昌樹(こぐれ まさき)」。
小暮昌樹は歪んだヒーロー気取りでマスメディアにも登場するようになる。
多田一樹は妹の敵をとるべく小暮昌樹を殺すことを自分に誓う。
そこに同じ会社で働く《目立たない、名前さえ覚えてもらえない存在》の女子社員「青木淳子(あおき じゅんこ)」が突然やって来て「わたし、多田さんのお役に立てるんじゃないかと思う」「多田さんの武器になれる。拳銃みたいに」と申し出る…[前半のあらすじ終了]。

よく知られているように、宮部みゆき「燔祭」と続編の長編小説『クロスファイア』はスティーブン・キングファイアスターター』のオマージュです。
キング作品、宮部作品、どちらも主人公は念力放火能力(パイロキネシス)という超能力をもつ女性に設定されています。
キング『ファイアスターター』のヒロインは小学生の少女「チャーリー・マッギー」。
宮部作品では20代の女性「青木淳子」。
「燔祭」『クロスファイア』で青木淳子が自らを「装填された銃」にたびたび例えるのは──一般市民が銃器と縁の少ない日本社会では──やや不自然なようですが、これはスティーブン・キング『ファイアスターター』にゆかりがあります。
『ファイアスターター』「エンドゲーム」の章・第18節の最後で少女チャーリーが「装填された銃」に例えられているのです。
宮部みゆきさんが「装填された銃」という比喩を繰り返し使うのは、スティーブン・キングへの敬意でしょう。
また「燔祭」というタイトル自体も、『ファイアスターター』「ファイアスターター」の章・第22節に「全燔祭」とあるところからの引用だろうとわたしは思います。
ちなみに「燔祭」もまた一般的な日本語としては耳慣れない言葉ですね。
これは「ホロコースト」のほうがよく知られているようです(※「イサクの燔祭」)。

装填された銃」「頭の中に火炎放射器を持つ」青木淳子のサーガは『クロスファイア』というオーバーキル(過剰な殺戮)の物語へと続きます。
破壊と死のヒロイン青木淳子の行き着く先は…。
最後になりましたが、「燔祭」は宮部みゆきさんの小説のうちでわたしが最も愛する作品です。

弊ブログ(喜八ログ)の宮部みゆきさんに関する記事一覧です。

Amazon : 宮部みゆき

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2014年04月15日

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』から

村上春樹さんのエッセイ集『走ることについて語るときに僕の語ること』文藝春秋(2007)から、特に印象深かった部分を抜書します。

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引用文の後 [ ] 内は『走ることについて語るときに僕の語ること』単行本(2007年)のページです。

村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』
走ることについて語るときに僕の語ること』文春文庫

 小説家という職業に──少なくとも僕にとってはということだけれど──勝ち負けはない。発売部数や、文学賞や、批評の良し悪しは達成のひとつの目安になるかもしれないが、本質的な問題とは言えない。書いたものが自分の設定した基準に到達できているかいないかというのが何よりも大事になってくるし、それは簡単には言い訳のきかないことだ。他人に対しては何とでも適当に説明できるだろう。しかし自分の心をごまかすことはできない。 [22]
 長編小説を書くという作業は、根本的には肉体労働であると僕は認識している。 [110]
 真に不健康なものを扱うためには、人はできるだけ健康でなくてはならない。それが僕のテーゼである。 [135]

1970年代の終わりに村上春樹デビュー作『風の歌を聴け』が出た頃から、わたし(中村順)は村上作品を「食わず嫌い」していました。
正確には『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』の最初のほうは読んだことがあります。
そのとき「スタイリッシュな小説で、たしかに格好いい。でも自分には合わないな」と感じました。
さらに当時の「村上春樹ファン」の知人たちにも釈然としない点が多く、「彼/彼女らが誉めそやすものは、ロクなものじゃないだろう」と、そんな反発もあってずっと「食わず嫌い」していました。
近年になって、佐藤優さんと内田樹さん(※)の文章を通じて、村上作品(小説・エッセイ)および翻訳に興味を惹かれるようになり、現在も「猛烈なファン」というわけではないと思いますが(笑)、村上春樹さんの本は何十冊か読んでいます。
今後も新たな著書がでたら、きっと読むでしょう。

(※佐藤優さん・内田樹さんには「親イスラエル」という共通点がありますね。わたし[中村]もそうですが)

そういうわけで、弊ブログ(もう10年くらいそれなりに続けている)にて村上春樹さんを取り上げるのもこれでやっと二度め。
以下はその第1回めの記事です。

村上・チャンドラー・フィッジェラルド・ディケンズ

(※『走ることについて語るときに僕の語ること』を「Amazon」「楽天」で購入する)

Amazon : 村上春樹

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2014年03月29日

内田樹『街場の憂国論』

内田樹『街場の憂国論』
内田樹『街場の憂国論』晶文社(2013)

(※『街場の憂国論』を「Amazon」「楽天」で購入する)


内田樹さん(うちだ たつる/哲学者・武道家・教育者)の『街場の憂国論』晶文社(2013)からもし唯(ただ)ひとつだけ文章を選ぶなら──あくまでわたし(中村順)の個人的な判断によってですが──以下に引用するところとなります。

 私たちの国で今行われていることは、つづめていえば「日本の国富を各国(特に米国)の超富裕層の個人資産へ移し替えるプロセス」なのである。(内田樹『街場の憂国論』27頁/ブログ

なお『街場の憂国論』は内田樹さんが2011年から2013年にかけてブログや新聞・雑誌などのメディアで発表した《主に国家や政治などにかかわるエッセイを安藤聡さんにエディットしてもらったコンピレーション本》だそうです(『街場の憂国論』5頁)。
そのため、わたしがここで引用する内田樹さんの文章のほとんどはウェブ(内田さんのブログ)で読むことができます。
各引用文に併記した「ブログ」リンクをクリックすると、引用元の記事に行けるようにしておきました。

さて、最初の引用文はシンプルな事実の記述でした。
「イデオロギー」や「思想」の入り込む余地もない、そのまんまの事実です。
安倍晋三氏らの自民党政権も橋下徹氏らの維新の会にしても、やっていることの本質は《日本の国富を各国(特に米国)の超富裕層の個人資産へ移し替える》作業に他ならない。
彼らの進めようとしている改憲・軍国主義化・デモクラシーの弱体化・原発再稼動・TPP・教育制度の劣化・メディアの自壊・福祉の削減などは、全てこの文脈で理解可能なのです。


上の第一引用文を補足する文章を『街場の憂国論』から引用します。

「経済のグローバル化を推進して、国民国家を解体しようとしている政治運動が外形的には愛国主義的な衣装をまとっている」(同書65ページ/ブログ

これら《愛国主義的な衣装をまとっ》た政治運動に関わる者たちは《日本の国富を各国(特に米国)の超富裕層の個人資産へ移し替える》べく、《経済のグローバル化を推進して》、結果として《国民国家を解体しようとしている》(ただし彼らの多くにその自覚はないでしょう)。

彼らの目指すところは──内田樹さんの的確なネーミングに従えば──《日本のシンガポール化》であり《国民国家の株式会社化》です。
そして《国民国家の株式会社化》の端的に意味するところは《デモクラシーの廃絶》です(『街場の憂国論』付録の15~16頁/ブログ)。

そういった人たちが、あたかも「ヤァヤァ、我こそは愛国者なり、改革者である」みたいな猿芝居的なポーズをとる(恥も外聞も知性もなく)。
そして少なからぬ人たちが彼らの擬態に幻惑されている。
いま日本で進行していることの、それが身も蓋もない現実なのでしょう。

お粗末な「ニセ愛国者」たちに騙されるのはやめよう!
あまりにも、馬鹿馬鹿し過ぎ、アホらし過ぎるぜ!
わたしなどは心底そう思いますが…。
騙される人は後を絶ちません。
まことに暗澹とせざるを得ない現況です。

とはいえ。
橋下氏と維新の会はようやくメッキが剥げてきたようですね。
橋下氏が《高ころびに、あおのけに転ばれ候ずる》日も近いのかもしれません。
安倍氏と自民党も可及的速やかに後に続いてほしいものです。
冗談はいっさい抜きの、ごくごく真面目な話として…。


内田樹さんは絶望を歌う人ではないのでしょう。
街場の憂国論』には希望の展望があります。
それは主に「第2章 贈与経済への回帰」と「第5章 次世代にパスを送る」、そして同書の他の部分でも語られています。
以下、わたしが感銘を受けた記事にリンクを張らせていただきます。

暴言と知性について

教育の奇跡

相互扶助と倫理について

バリ島で考える互恵的未来


今回『街場の憂国論』に収録された各記事を読み返し(以前ウェブで読んだ文章が多い)改めて「内田樹さんは『教育者』なんだなあ」ということを感じました。
わたしが特に強い印象を受けた内田樹さんの文章を以下に2つ引用させていただき、とりとめのない弊ブログ記事を終えたいと思います。

内田樹「暴言と知性について」(『街場の憂国論』226-227頁/ブログ)から。

 学生に向かって「お前はバカだ」とか「お前はものを知らない」というようなことを告げるのは(たとえそれが事実であったとしても)、教育的には有害無益である。
「お前はバカだ」と言われて、頬を紅潮させ、眼をきらきらと輝かせて、「では、今日から心を入れ替えて勉強します」と言った学生に私は一度も会ったことがない。
 教師として私は、若者たちに「知性が好調に回転しているときの、高揚感と多幸感」をみずからの実感を通じて体験させる方法を工夫してきた。
 その感覚の「尻尾」だけでもつかめれば、それから後は彼ら彼女らの自学自習に任せればいい。
 いったん自学自習のスイッチが入ったら、教師にはもうする仕事はほとんどない。
 読みたいという本があれば貸してあげる、教えて欲しいという情報があれば教えてあげる、読んでくれという書きものをもってきたら添削する、行きたいという場所があれば案内する、会ってみたいという人がいれば紹介する・・・それくらいのことである。
 それで十分だったと教師生活が終わった今でも思っている。


内田樹「教育の奇跡」(同書288-289頁/ブログ)から。

 教育制度に敬意を持てないものは教師になるべきではない。
教育の奇跡とは、「教わるもの」が「教えるもの」を知識において技芸において凌駕することが日常的に起きるという事実のうちにある。「出力が入力を超える」という事実のうちにある。
 豊かな専門知識を持ち、洗練された教育技術を駆使できるが「教育の奇跡」を信じていない教師と、知識に貧しく、教え方もたどたどしいが「教育の奇跡」を信じている教師が他の条件を同じくして教卓に立った場合、長期的には後者の方が圧倒的に高い教育的アウトカムを達成するだろう。私の経験はそう教えている。
 もちろん、短期的限定的な教育課題の競争(TOEICのスコアを一学期のあいだに何ポイント上げるかとか)では、「できる教師」の方が高いパフォーマンスを発揮する。けれども、「教室とはそこに存在しないものが生成する奇跡的な場だ」という信念を持たない教師は長期にわたって(生徒たちが卒業した後になっても)彼らの成熟を支援するというような仕事はできない。
 今日の「教育危機」なるものは、世上言われるように、教師に教科についての知識が不足しているからでも、教育技術が拙劣だからでも、専門職大学院を出ていないからでもない。そうではなくて、教師たちが教育を信じるのを止めてしまったからである。
 教師が教育を信じることを止めて、いったい誰が教育を信じるのか。

(※『街場の憂国論』を「Amazon」「楽天」で購入する)


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2014年03月19日

スティーブン・キング「ドランのキャデラック」

ドランのキャデラック
スティーブン・キング『ドランのキャデラック』文春文庫

(※『ドランのキャデラック』を「Amazon」「楽天」で購入する)


スティーブン・キングの短編小説「ドランのキャデラック」(原題: Dolan's Cadillac)について。
エントリ後半では、エドガー・アラン・ポーの「跳び蛙」(Hop-Frog)、宮部みゆきさんの「燔祭(はんさい)」についても触れます。
この3作品に共通するのは「凄まじい復讐譚(ふくしゅうたん)」であることです。


スティーブン・キング「ドランのキャデラック」のストーリーをざっと紹介します。

物語の語り手「ロビンソン」は小学校で3年生を担当する教師。
妻の「エリザベス」はおなじ学校で1年生の受け持ちだった。
あるとき、エリザベスは犯罪組織の顔役「ドラン」の「へま」を目撃し、裁判で証言することになる。
FBIの保護下に入ったエリザベスだったが、自動車に仕掛けられた爆弾により殺害される。
犯罪証人がいなくなり、ドランは自由の身になった。
ロビンソンは10年近いあいだ、ドランを用心深く気長に観察し、身体を鍛え、食事の節制を続け、学校の夏休み期間に或る仕事に就き、復讐の機会を伺い続ける。
ドランは何処に行くときも重武装したガードマン2人──殺しの専門家たち──に守られている。
移動は装甲車のようなキャデラック──政情不穏の小国の独裁者が愛用するタイプだ。
ドラン自身も犯罪組織の大物らしく、危険を察知する能力にはきわめて長けている。
そういった「人」というよりは「狼」のような奴らを、ラス・ヴェガス近郊の砂漠に追い込み、皆殺しにする。
一介の小学校教師が、ただ一人で《わたしにとってたったひとりの女だった》エリザベスのために復讐を実行する。
銃器であっさり射殺するのではない。
射殺が「慈悲に満ちた」殺し方のようにさえ思える無残な方法で、殺し屋たちを地獄に叩き込む。

そういう凄まじい復讐の物語です。

スティーブン・キング作品が好きで、「ドランのキャデラック」をまだ読んでいない。
という方がいらっしゃいましたら、ぜひお勧めしたいと思います。
以下ご参考までに。
わたしはキング作品(リチャード・バックマン名義を含む)では以下の長編小説を好みます。

短編では「ドランのキャデラック」に最もこころ惹かれます。
この下でも述べますが、長編小説の中で1作を選ぶなら『ファイアスターター』。
この選択は、キングファンとしては少数派かもしれません。


スティーブン・キング本人の解説によると「ドランのキャデラック」は《ポオ作品の人物を思わせるエリザベスの夫にまつわる話》だそうです。
これをウェブで調べると…。
エドガー・アラン・ポー「アモンティリャードの酒樽」(The Cask of Amontillado)が該当するようです。
たしかに間違いないでしょう。
が、わたしは最初に「跳び蛙」(Hop-Frog)かな? と思いました。
これもまた凄まじい復讐譚です。
「跳び蛙」と呼ばれる宮廷の道化師が、愛する女性のため、愚鈍で残酷な王様とその臣下たちを皆殺しにする。
わたしはポー作品の中では「跳び蛙」を最も愛します。
そういう贔屓目(ひいきめ)による勘違いでした。

復讐の物語といえば宮部みゆきさんの「燔祭(はんさい)」も忘れがたい。
「燔祭」は『鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで』に収録された中篇小説です。
超能力によりモノ(人も含む)を発火させる能力をもつ異形のヒロイン「青木淳子(あおき じゅんこ)」の物語は長編小説『クロスファイア』へと続きます。
この宮部みゆき「燔祭」と『クロスファイア』はスティーブン・キング『ファイアスターター』のオマージュ作品です。

スティーブン・キングの短編では「ドランのキャデラック」がベストだと思う。
エドガー・アラン・ポー作品のうち「跳び蛙」に痺れるような読後感を覚える。
宮部みゆきさんの全小説のうち「燔祭」を最も好みます。
なぜわたし(中村順)はかのように「復讐譚」に強く惹かれるのか?
その辺も自分としてはとても興味深いところですが、こちら方面のお話はまた別の機会に。
という辺りで、わたしの話はひとまず終わります。


ドランのキャデラック』文春文庫(2006)「序」から「物語」についてのスティーブン・キングの言葉を引用します(同書16頁)。

 いささか気恥ずかしいし、偉そうに聞こえてもいけないから、このことについては多くを語らないが、わたしはいまだに物語をすばらしいもの、人生を豊かにするだけでなく実際に救いもするものと考えている。これは比喩的にいっているのではない。すぐれた著作──すぐれた物語──は想像力の引金であり、想像力の目的は、われわれに慰めと、それがなければとうてい耐えられない状況や生活からの避難所を提供することである、とわたしは信じている。

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2013年09月05日

『本を読んだら、自分を読め』小飼弾

『本を読んだら、自分を読め』小飼弾
本を読んだら、自分を読め』小飼弾、朝日新聞出版(2013)

(※『本を読んだら、自分を読め』を「Amazon」「楽天」で購入する)


小飼弾さん(こがい だん/ブロガー・プログラマー・投資家)の『本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術』朝日新聞出版(2013)を紹介して、さらに勝手なことを書き連ねるエントリです。


小飼弾という方にはまだお目にかかったことはないけれど…。
「親切な人」。
本やウェブを通しての印象はそれです。
ずばずばと明確にモノをいう断言(弾言)スタイル、いかにものマッチョ(?)な風貌でありながら、じつは親切な人ではないかという印象です。

小飼弾さんの本の書き方も親切です。
本を読んだら、自分を読め』も、いちばん最初のほうに(ちらっと)目を通せば、「どういう本か」ちゃんと誤解の余地なく分かるようになっています。
以下は同書2-3頁からの引用。

 本は、きみを救ってはくれない。けれども、本を読むことで、自分を救える自分になれる。

この本の最初の赤太字表記です。
ここが最も重要な部分、キモなのでしょう。
後は様々な方面にわたって《本を読むことで、自分を救える自分になれる》方法が紹介されています。
そのほかの重要箇所も赤太字になっていますので、その部分だけをざっと読んでいけば、「どういう本か」だいたい分かります。
つまり、書店の店頭で実際に手に取った読者が「この本は自分に必要か? 不必要か?」が即断できるようになっている。
至って親切な作り方がされている本です。

というわけで、普通の紹介は終わります。
以下はわたし(中村)の偏(かたよ)った読み方に関するメモもしくは「読書感想文」のたぐいとなります。

  1. テレビを観る頻度
  2. 《リア充》の頻度
  3. 筒井康隆は名文家

ふたたび『本を読んだら、自分を読め』からの引用。

 僕がテレビを見るのは1週間にいっぺん、あるいは1カ月にいっぺんくらいの頻度です。しかも見ているのは、ドキュメンタリーのチャンネルばかり。最後に地上波を見たのがいつだったか思い出せません。(『本を読んだら、自分を読め』18頁)

これはわたし(中村)もほぼおなじ。
「まるで自分のことのよう!」だと思いました。
という、ごく個人的な感想もしくはメモ。

 僕は人と会ってワイワイ騒ぐのは、1週間にいっぺんでも多すぎると思うたちです。リア充は隔週くらいでちょうどいい。そうでないと、体力が持ちません。(同書168頁)

これまた「わたしのことのよう」な記述です。
わたしも「食事会」や「飲み会」は滅多に出席しなくなりました。
20代の中ごろから30代の終わりくらいまでは「好き」なほうだと思っていたのですが…。
それはもしかしたら勘違いで、単に「ほかの人たちがやっているから、自分もやる」といったことだったのかもしれません。
いまは「みんなで飲み会よりも、ひとりで本を読む」を確信的に選択する日々です。

しかし実は筒井康隆はSF作家として発想が優れているだけでなく、非常な名文家です。日本語の宝です。筒井康隆のない日本語がどれだけ貧相になるか計り知れません。(同書33頁)

これは指摘されてみて、改めて「なるほど!」と感じ入りました。
わたしも10代の頃から筒井康隆作品を愛読してきましたが、《名文家》という意識はありませんでした。
いまはたしかに「筒井康隆は名文家」だと思います。
特にホラー短編の中に「圧倒的に凄い」ものがいくつかあったと記憶しています。
筒井康隆作品を読み直して、わたしなりの「筒井康隆ホラーベスト」(リスト)といったものを作ることにします。
ついでというわけではないですけれど、「都筑道夫ホラーベスト」にも着手しましょう。
さらには岡本綺堂久生十蘭についてもと話は拡がる…。
それぞれのリストができましたら、このブログでも発表したいと思います。


斯(か)のように、『本を読んだら、自分を読め 年間1,000,000ページを血肉にする〝読自〟の技術』朝日新聞出版(2013)を楽しませていただきました。
小飼弾さん、ありがとうございます。

(※『本を読んだら、自分を読め』を「Amazon」「楽天」で購入する)


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2013年09月02日

【新刊情報】『間違いだらけの生活保護「改革」 Q&Aでわかる 基準引き下げと法「改正」の問題点』生活保護問題対策全国会議編、明石書店(2013)

間違いだらけの生活保護「改革」 Q&Aでわかる 基準引き下げと法「改正」の問題点
間違いだらけの生活保護「改革」』生活保護問題対策全国会議編、明石書店(2013)

(※『間違いだらけの生活保護「改革」』を「Amazon」「楽天」で購入する)


間違いだらけの生活保護「改革」 Q&Aでわかる 基準引き下げと法「改正」の問題点』生活保護問題対策全国会議編・明石書店が2013年08月31日発刊されました。

現在政府・自民党によって急ピッチで進められている、生活保護基準の引き下げと生活保護法「改正」(改悪)・申請手続の厳格化・扶養義務の強化…。
これらが生活保護制度発足以来、前例を見ない「大改革」(大改悪)であること。
なりふり構わない、きわめて強引で一方的な手法がとられていること。
基準引き下げの「根拠」とされる、厚生労働省作成の指標「生活扶助相当CPI」(生活扶助相当消費者物価指数)が《デタラメである、と国会などで追及されている》《架空のような数字》であること。
権利の中でも最高位の基本的人権が脅かされつつあること。
などなど…。
生活保護「改革」(改悪)が間違いだらけであることが分かりやすく解説されています。

そもそも生活保護制度を切り縮めても誰一人として「得」をしないのです。
さまざまな低所得者施策(就学援助・生活福祉資金・国民健康保険料の減免・介護保険料・地方税の非課税限度額など多数)の基準・年金・最低賃金なども連動して下がる可能性が高いことが複数の識者により指摘されています。
「生活保護を利用していないから自分には関係ない」と思われている人たちの中にも、ある日役所から一方的な通告を受けて愕然とするケースが今後多数発生するでしょう。
「社会保障制度改革国民会議」では医療・年金・介護などの削減策がすでに検討されていています。

生活保護バッシング→強引でずさんな生活保護切り下げは《最初の生け贄》です。
その先には社会保障制度そのものの縮小・解体が狙われている、と見て間違いありません。
そしてその根底には「ほぼ全ての人の人権の制限・縮小」がグランドデザインとして在るのでしょう。
つまり、政府は人間観・社会観の全面的書き換えを狙っている。
彼/彼女らは奇妙で有害な「イデオロギー」にとりつかれた人々ではないか?
わたし(中村)はそのような疑惑をずっと抱いています。
これは「ためにする」批判などではなく、心底からの恐怖です。


最後に『間違いだらけの生活保護「改革」』から特に強い印象を受けた文章を(ちょっと長めですが)引用させていただきます(同書20頁)。

 生活保護制度は、それを必要とする状態の人々にとってはもちろん、社会にとっても最後のセーフティネットです。雇用を安定させると同時に社会保障制度を拡充し、その一環として生活保護制度が最後のセーフティネットとして用意されてこそ、社会は安定し、経済も発展し得るのです。何らかの事情で雇用から締め出され、社会保障制度を利用しても最低限度の生活が営めない人々を自殺や餓死に追いやる社会が、人間の社会として正常であるはずがありません。そのような社会からは人々の活力が失われ経済的にも不安定にならざるを得ず、国際的な信用や地位も低下します。安倍政権の政策は、日本社会を崩壊させる方向に舵を切っていると評価するほかないのです。

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2012年08月17日

『わが指のオーケストラ』山本おさむ

『わが指のオーケストラ』
わが指のオーケストラ』山本おさむ、秋田文庫(全3巻)

(※『わが指のオ-ケストラ 第1巻』を「Amazon」「楽天」「honto」で購入する)


わが指のオーケストラ山本おさむ、秋田文庫(全3巻)。
実在の聾(ろう)教育者・高橋潔(たかはし きよし 1890-1958)の生涯を描いた漫画作品です。
高橋潔は大阪市立聾(ろう)学校・校長として、「口話法」全盛の時代に「手話法」の孤塁を守り抜き、日本のろう者社会・ろう教育に大きな影響を与えました。
以下は「Wikipedia」からの引用です。

ろう教育には大きく分けて口話法と手話法が存在するが、この二つの手法のどちらを重視するかは時代や地域により大きな差異がある。日本においては明治時代から大正時代にかけてのろう学校創成期に手話法が一般的に用いられていたが、世界的にはこの時代、口話法に注目が集まっていたこともあり、口話法を手話法より優れた手法とする意見が増えていった。
そうした中、高橋《潔》はろう者にとっての手話の重要性をいち早く認識し、口話法に向く者には口話法を、手話法に向く者には手話法を用いる「適性教育」を主張し、口話法を支持する教育者たちとの間に激しい論争を繰り広げた。高橋が大阪市立聾学校で用いた「適性教育」はORAシステムと名付けられた。

わたし(中村)は『わが指のオーケストラ』を読むまで知らなかったのですが、日本の聾(ろう)教育においては「手話(手まね)を使ってはいけない」とされた時代が、つい最近まで続いたのです。
それは「戦争」という「優性思想」の時代と深い関係を持つ現象だったのではないか。
「障害」を「劣った」ことであるとみなす、完全に間違った障害者観が「口話法」全盛時代を招いたのではないか。
そのように思えてなりません。
「口で話す」こと、「手で話す」こと。
どちらが「優れていて」どちらかが「劣っている」などということは、まともに考えれば「ありえない」話です。
しかし、そのような間違った人間観に基づき、「口話法」が推奨され「手話法」が教育の現場から駆逐される時代が続きました。
これは「右へ倣え」「バスに乗り遅れるな」といった標語に示されるような、戦争の時代の「空気」と連動した動きだったと思えてなりません。

漫画『わが指のオーケストラ』は米騒動・関東大震災(朝鮮人・社会主義者・ろう者虐殺)・戦争の時代を生き抜いた聾(ろう)教育者と聾唖者たちの姿を描いた大変な力作です。
ぜひ一読をお勧めしたいと思います。

(※『わが指のオ-ケストラ 第1巻』を「Amazon」「楽天」「honto」で購入する)


山本おさむさんには実在のろう重複障害者・家族・関係者を元に描かれた漫画作品『どんぐりの家』もあります。
こちらも絶対のお勧め作品です。
以下は関連する弊ブログ記事です。

山本おさむ『どんぐりの家』
(「喜八ログ」2012年01月22日)

『どんぐりの家』山本おさむ
どんぐりの家』山本おさむ、小学館


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2012年04月18日

『自殺のサインを読みとる 改訂版』高橋祥友

『自殺のサインを読みとる 改訂版』
自殺のサインを読みとる 改訂版』高橋祥友、講談社文庫(2008)

(※『自殺のサインを読みとる 改訂版』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


自殺のサインを読みとる 改訂版高橋祥友(たかはし よしとも/精神科医・医学博士)、講談社文庫(2008)を紹介します。

(※版元・講談社によると『自殺のサインを読みとる』は2001年06月に刊行され、文庫化にあたり第1章をさしかえ、全面的に改訂されたそうです)

《版元による》内容紹介
「助けて!」にどう気付けばよいのか!!
1年に3万人以上の人間が自殺で亡くなっている。しかし「死の意志が固まっている人」はいない。周囲の人間が気を遣えば自殺は予防できるのだ。性格や体験などから発する「自殺のサイン」はどう発見すればよいのか。背後に隠れる心の病を見つける方法と治療を、第1章を最新の知見で全面的に改訂して解説。


わたし(喜八=中村順)には「『死にたい』と言っている人」「死にそうな人」に対して「やさしい」ところが、もしかしたらあるかもしれません。
もし「ある」とすれば、それはわたし自身にも「希死念慮」があり「死の近くで生きている」という感覚があるためではないかと思います。
わたしの友人──おたがい十代の終わりから二十代の大部分にかけて最も親しくしていたともだち──が若くして自死しました。
彼は東京大学大学院博士課程で国際関係論を学んだ、真摯で努力する人でした。
そしてわたしにとっては「これまでの人生の中で、話をしていて、もっとも楽しい友人」だったのです。
彼に先立たれたことによってわたしの中に空いた穴(喪失感)は、その後20年以上が過ぎたいまでも、大きくあります。
加えて、子どもの頃から親しんでいた親族、親しみをもって接していた友人知人も何人か自殺しています。
わたしから見て「おもしろい、興味深い、素敵」と感じる人たちは、同時に「自死リスクが平均より高い」人たちではないか? と思うこともあります…。
それで、縁あって知り合ったともだち・なかま、そしてわたし自身の自死リスクを減少させる意図をもって、ごく最近自殺(自死)予防関係の書籍を10冊以上読みました。
自殺のサインを読みとる 改訂版』高橋祥友(たかはし よしとも/精神科医・医学博士)、講談社文庫(2008)はその中でも、もっとも読みやすい、実用的だとわたしが感じた1冊です。


以下に『自殺のサインを読みとる 改訂版』で印象深かった部分を引用させていただきます。
引用文冒頭 《 》 内の数字はページ数です。

《6》 わが国の歴史や文化的背景から、一般の人のなかには、ある状況では自殺が起きてもしかたがないといった考えが非常に強い。自殺を予防するうえで障害になっている事柄は数多く存在するのだが、自殺に対するこのような受容的・寛容的な態度こそが最大の壁であるのかもしれない。自殺とは自由意志に基づいて選択された死などではなく、さまざまな問題を抱えた末に「強制された死」であると私は考えている。
《114》 自殺は突然何の前触れもなく起きるというよりは、それに先立って、自己の安全や健康を守れないという状態が自殺に先行してでてくることのほうが圧倒的に多い。これを専門用語では事故傾性(accident proneness)と呼んでいる。自殺の暗い影が形を変えてひたひたと近づいているかのようである。
《164》 自殺の危険とは、ある人物が生涯にわたって発展させてきた非適応的な行動の最終的な結果であることがしばしばである。したがって、自殺を予防するには、このような人の生活史を理解し、その絶望的な感情を十分に理解する必要がある。そしえ、そのためには非常に多くの時間や努力を要するのはいうまでもない。
《243》「死ぬ、死ぬ」と言う人は本当は死なないと一般に信じられているが、これは大きな誤解である。自殺した人の大多数は、行動を決行する前に自殺の意図を誰かに打ち明けている。これを的確にとらえられるかどうかが自殺予防の重要な第一歩となるのだ。話をそらしたり、批判をしたり、安易な励ましをしたりすることは禁物である。まず、真剣にその訴えに耳を傾けるべきだ。
《324》自殺が一件起きると、家族や知人といった強い絆で結ばれていた人が、最低五人は深刻な心理的な打撃を受けると推定されている。自殺とはけっして死にゆく人だけの問題にとどまらないのだ。
 わが国では、時が経つことだけしか心の傷を癒してくれないといった考えがまだ根強く残っている。
 そして、自殺が生じた後も、周囲の人々はまるで何事も起きなかったかのように振る舞うことが、最大の思いやりであるといった風潮が強い。しかし、これではかえって心の傷がますます深まってしまい、後に深刻な精神的問題を抱えることになりかねない。
《360》「自殺する」と訴えていても、その意思が一〇〇パーセント固まっている人に私は出会ったことがない。「死にたい」しかし「助けてほしい」という両極端の感情の間を激しく揺れ動いているのだ。
《362》 日本の最近の現状をみていると、わが国の社会全体が、人間でいえば中年危機を迎えているような気がしてならない。これまでのような右肩上がりの成長ばかりは望めない。これからどのような航路をとるべきかを社会全体が鋭く問われているような気がしてならないのだ。


友人知人の皆さまへ、喜八(中村順)より。
お互いどうにかこうにかして《にゃんころりん》とマイペースで生き延びましょう~。(=^・^=)


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2012年03月21日

北村年子『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち いじめの連鎖を断つために』

『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』北村年子
「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』北村年子、太郎次郎社エディタス(2009)

(※『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


北村年子(きたむら としこ)さんの『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち いじめの連鎖を断つために』太郎次郎社エディタス(2009)は力作ノンフィクションです。
1995年、大阪で《大阪「道頓堀川ホームレス殺人」事件》が発生しました。
市内・道頓堀川に架けられた戎橋(えびすばし)から、路上生活者のFさんが、通称“ゼロ”と呼ばれていた当時24歳の青年により、川の中に投げ落とされ死亡したのです。
「弱い」立場にあった青年“ゼロ”が、より「弱い」立場にあった路上生活者・Fさんに暴力を行使し、死に至らしめた。
この傷ましい事件はなぜ起きてしまったのか?
その根源に迫り、更に「ホームレス」襲撃をふせぐ取り組み(教育)を追い続ける著者は、自らの当事者性に辿りつきます…。

以下は版元・太郎次郎社エディタスの解説ページです。
「おもな目次」「著者紹介」「上野千鶴子さん(社会学者)・湯浅誠さん(活動家)の推薦文」が掲載されています。

「ホームレス」襲撃事件と子どもたち

次のウェブページでは北村年子さんのインタビューを読むことができます。
本書をより深く理解するために役立つ情報が掲載されている、と思います。

「ホームレス」襲撃事件は子どもたちの“いじめの連鎖”》 TOKYO人権 第43号(平成21年9月9日発行)

「ホームレス」襲撃事件と子どもたち』を執筆することは著者にとって、辛く苦しいものだったに違いありません。
それは本書を通読し、「エピローグ」「あとがき」を読み終えた後、わたし(喜八=中村)が強く感じたことでした…。

いまもしばしば少年たちによる「野宿者襲撃」事件が発生します。
そういった事件の報道に接した少なからぬ人たちが「酷すぎる!」「そんなやつは死刑にしろ!」と「正義」の声を上げます。
けれども、加害者の少年たちを厳罰に処することだけで、事件の再発を防止することができるのだろうか?
「ホームレス」襲撃事件と子どもたち いじめの連鎖を断つために北村年子、太郎次郎社エディタス(2009)の提起した問題はいまも私たちの目前に突きつけられたままである、といってよいでしょう。


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2012年01月22日

山本おさむ『どんぐりの家』

『どんぐりの家』山本おさむ
どんぐりの家』山本おさむ、小学館


山本おさむどんぐりの家』は実在のろう重複障害者・家族・関係者を元に描かれた漫画作品です。

“ろう重複” とは、聴覚障害の他に知的障害や精神障害、視覚障害や肢体不自由や自閉症など、様々な障害を二重、三重に持っている重度重複の聴覚障害者のことで、障害が重いために学校卒業後どこにも就職できない。

上の引用文は山本おさむさんの(漫画ではない)著書『「どんぐりの家」のデッサン 漫画で障害者を描く』岩波書店(1998)139頁から。
どんぐりの家」とは、ろう重複障害がある子供たちのために当事者・家族・関係者が力を合わせて作り上げた、小さな共同作業所の名前です。


漫画『どんぐりの家』は、魂をグラグラ揺すぶられるような、大変な力作でした。
「障害」とはなにか?
「教育」はどうあるべきか?
「社会」はなんのためにあるのか?
そして「人間」とはいかなる存在なのか?
深く考えさせられます。
どんぐりの家』を、わたし(喜八)は電車の中で読んでいたら、「涙が止まらない状態」に数度なりました。
ヒゲづらのオッサンが人目を憚(はばか)らず泣く。
その姿はなんとも異様だったかもしれません…というか確実に異様かつ滑稽だったでしょうね。
が、このごろではそういう「どうでもいい、些細なこと」は気にしないようにしています…。


ふたたび、山本おさむ『「どんぐりの家」のデッサン 漫画で障害者を描く』岩波書店(1998)59-60頁からの引用です。

「障害者問題」というとき、何やら障害を持っている人々が問題を抱えているような印象を受けるが、とんでもないことだ。このような事例に示されている通り、問題を起こしているのは差別する私たちの方ではないか。「障害者問題」とはおこがましい。実は、健常者が障害者に対して差別するという問題を背負っているのであって、主語が全く逆ではないのか。

※引用文中の「太字」部分は原著では「傍点」であるところを置き換えました。


以下は『どんぐりの家』版元(小学館)による第1巻解説ページからの引用です。

「生きる」ことの意味を問う、絶賛を呼んだ感動話題作!!
▼第1話/誕生の日▼第2話/石ころ▼第3話/夕焼け▼第4話/なまえ▼第5話/オニ▼第6話/共同作業所▼第7話/小さな“家”▼第8話/ひとつぶの“どんぐり” ●登場人物/田崎圭子(知的障害と聴覚障害を併せ持つ女の子)、安田先生(ろう学校の教師。圭子の担任になる) ●あらすじ/田崎夫婦に圭子という女の子が誕生した。しかし発育が悪く、言葉らしい言葉を喋らない圭子に不安を抱いた母親は、2歳3か月になった圭子を医者に連れていくことにする。そこで圭子には知的障害と聴覚障害があると診断され……(第1話)。▼4歳になった圭子は、両親と共にろう学校の幼稚部に通い始める。同じクラスに清という少年がいたのだが、ある日ぱったりと登校しなくなってしまった。そして一週間後、再び幼稚部に現れた清と母親は……(第2話)。▼自分でスプーンを使って食事ができるようになった圭子。一方、清の家では、清を施設にいれようという話が持ち上がる。しかし夕焼けを見ようとしている清を見た母親は、もっと清と話をしてみたいという気持ちになる。その夜、家族で話し合い、清を施設には入れないと宣言する(第3話)。


いわゆる「障害」があろうが・なかろうが、女性でも・男性でも・その他の性の人でも、歳をとっていても・若くても、ビンボーであろうが・カネ持ちであろうが、お利口さんでも・大バカ者でも、全ての人には教育を受ける権利があり、生きる権利がある
そう信じる方々に、山本おさむさんの漫画『どんぐりの家』をお勧めします。


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2012年01月16日

橋口昌治『若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』

『若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』
若者の労働運動』橋口昌治、生活書院(2011)

(※『若者の労働運動』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


若者の労働運動 「働かせろ」と「働かないぞ」の社会学』橋口昌治、生活書院(2011)は【お勧め本】です。

著者の橋口昌治さん(はしぐち しょうじ/社会学研究者・若者の雇用問題と労働運動)は若年にして碩学(せきがく)の風格があり、とにかく博識(なんて書くと、ご本人は嫌がるかもしれませんが…)。

第1章《労働社会の変容と「若者の労働運動」》は急激な変化をとげつつある「労働」と「雇用」についての考察です。
労働問題に関する知識が乏しいわたし(喜八)は格好の「労働問題入門編」として読ませていただきました。

第2章《「若者の労働運動」は何をしているのか──「ユニオンぼちぼち」の事例から》と第5章《「労働/生存組合」の誕生──フリーターユニオン福岡の事例研究》で紹介される《労働/生存組合》という運動の在り方に強く興味を惹かれます。
わたし自身も、労働運動、生活困窮者支援、さまざまな生きづらさの当事者運動を通じて知り合った人たちとの「生存を目的とするつながり」を模索中だからです(いまだ「暗中模索」の状態ですが)。

第4章《経験運動としての「若者の労働運動」──フリーター全般労働組合の事例》では、A・B・C等の仮名で登場する人が「誰」か推定できる場合がいくつかありました。
たとえば169-170頁で以下の発言をしている《委員長経験のある組合員のFさん》とは面識があります。

 好きな人だろうが嫌いな人だろうが、気が合おうが気が合うまいが、仲間は仲間じゃないですか。それは助け合おうということにしてつながっている仲間で、ある約束を守った上ではつながり合う。好きか嫌いかも関係ないということでつながり合う。一定の信頼を置くことにしているつながりという、それは凄い大事だと思うんですよ。それはもうすでに仲間となった人なので、その都度どうやるか対応してきたって感じですね。

ほぼおなじことを《Fさん》から2010年春ごろに直接お聞きしていたので、「ははあ、きっと○○さんに違いない」とピンときました(その後○○さん本人に確認しました)。
上で語られている「道具主義的」な或る意味で cool な「仲間」観はわたし(喜八)も共有します。
「仲間」と「友だち」は本質的に別カテゴリだし、その点を混同すると、逆に「排除」や「分裂」などのトラブルを生んでしまうのではないか?という危惧がわたしにはあります。

橋口昌治著『若者の労働運動』を一言でいえば「全てのページに知恵と情報が詰まっている」本です。
これはけっして「ヨイショ」でも誇張でもありません。
労働・雇用・労働組合に関心のある人だけでなく、「仲間とのつながり」を模索する全ての方にお勧めします。


以下は『立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点』内の紹介ページから。

 労働市場の周辺や外部に置かれ、労働によっても痛めつけられてきた「若者たち」。労働者階級としての確信は持ちえていず、デモでは、「働かせろ」と「働かないぞ」という矛盾したシュプレヒコールが飛び交う。労働から疎外され孤立させられた人々が、それゆえに団結をして労働問題に取り組んでいる運動、それが「若者の労働運動」なのである。「若者の労働運動」は矛盾に満ちた運動である。組合員は労働問題を契機として集まり、不当解雇や賃金未払いなどの不法行為を企業に是正させるために日々走り回っている。その一方で、労働者としてのアイデンティティや「働かざるもの食うべからず」といったような労働規範を共有していない。職場や職業が異なり階級意識も共有していない人々を惹き付けるために、「青年」や「フリーター」、「プレカリアート」などの集合的アイデンティティの形成を試みてきた。それは一定の成功を収め,多くの組合員が加入するようになっているが、同時に多様なアイデンティティを持った人々と集合的アイデンティティとの間で葛藤も生じている。しかしこうした、通常の労働組合であれば乗り越えるべき課題と捉えられそうな矛盾や葛藤こそ、「若者の労働運動」の特徴であり、運動を運動たらしめているものなのである。(出版社からの紹介)


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2011年11月08日

『チェルノブイリは女たちを変えた』社会思想社(1989)

flowers
花も動物もヒトもみな被爆している…


ヴェールホーフ、ガムバロフ、ミース他『チェルノブイリは女たちを変えた』社会思想社(1989)。
西ドイツのフェミニスト女性たちによる原発論です。
1986年04月26日、旧ソビエト連邦でチェルノブイリ原子力発電所事故が発生し、ヨーロッパ(および全世界)の広大な地域が放射能性物質によって汚染されました。
そのため子どもをもつ母親たちは(父親も)待ったなしの深刻な選択を突きつけられました。
子どもたちに何を食べさせればよいのか?
外で遊ばせてもいいのか?(もう遊ばせることはできないのか?)
子どもが親よりも早く死ぬかもしれない、という覚悟を持たないといけないのか?
このような過酷な状況の中で、女性たちによって書かれた脱原発・文明批判の書が『チェルノブイリは女たちを変えた』です。


チェルノブイリは女たちを変えた』を通読すると、現在の日本の状況と共通する点があまりにも多いのに驚かされます。
この本では《チェルノブイリ》を《東京電力原発事故》に入れ替えても、まったく違和感無く読めてしまう箇所が少なくないのです。
たとえば以下はクラウディア・フォン・ヴェールホーフさん(政治学博士/ラテンアメリカの農民と女性に関する調査研究)の「こどもを進歩のいけにはにはさせない」からの引用です(『チェルノブイリは女たちを変えた』22頁)。

彼らはためらいもせずに第二第三のチェルノブイリもやむをえないと考えているが、それは彼らが最大想定事故に対し本当に驚きもせず、また人間らしい恐怖も覚えなかったことを物語っている。そして以前はたしかに最大想定事故のことを考慮に入れていなかったが、これからはそうする、というのだ。そんな重大な問題にさえ、彼らは今でもまだ犯罪的なまでに愚かしくも、「責任をとる」といっているのである。これまではそんな責任など負うことができなかったし、そのつもりもなかったくせに──。

これを「彼ら(官僚・政治家・財界人たち)はためらいもせずに第二第三の『東電原発事故』もやむをえないと考えている」と読み替えれば、いまの日本にそのまま当てはまります。
「東電原発事故」のため、日本列島に暮らす人々の健康が損なわれ、自然環境が決定的に汚染され、国土が荒廃しつつあるのに、彼ら(日本の官僚・政治家・財界人たち)は《犯罪的なまでに愚かしくも、「責任をとる」といって》ベトナムへの原子炉輸出や玄海原発4号機再稼動のような大愚行を強行しようとしているのですから。

次はマリア・ミースさん(社会学博士/インドの女性と家父長制に関する実証研究)の「自然を女たちの敵にしたのはだれか」からの引用です(同書133頁)。

私たちはもはや、生けるものとしての自然とコミュニケートすることはできない。私たちの中でもっともだめになった存在、つまり機械人間、機械のような男性なら、かくべつ気にならないかもしれない。どのみち、彼らの官能は後退して、機械的に反応するだけになってしまっているのだから。だが、もっとも生き生きしている存在、つまりこどもと多くの女性たちは、大きな悲しみ、強奪として、つまり植物、雨、大地、大気、動物など、私たちをとりまく他の生ける存在から物理的に引き離されてしまったと、受けとめている。

私たちの中でもっともだめになった存在、つまり機械人間、機械のような男性》は日本にも大勢いる。
大勢どころではない、むしろ彼らは多数派なのだろう。
そう思わざるをえない状況です。
別にわたし(喜八=中村順)は自分が他の男性にくらべて「優れている」とか「マシ」などと主張するつもりはありません(笑)。
でも、目の前にある危機「放射性物質による広域汚染」を「あたかも存在しないもののように」無視し続ける男性たちを目の当たりにしていれば《私たちの中でもっともだめになった存在、つまり機械人間、機械のような男性》が世に溢れていることは嫌でも分かる…。

アネグレート・シュトプチェクさん(哲学者)は『チェルノブイリは女たちを変えた』でのさまざまな女性の主張をまとめるように「男文明から降りる」ことを提案します(同書178頁・179頁)。

ただの一撃で、チェルノブイリの原発事故は世界を変えてしまったのだ。数週間、激しい怒りが続いたあと、世の中には鬱状態が広がった。しかし、これは生産的な意味をもっている。ショックで身がすくんでしまった状態からたち直り、「新しい世界」を打ちたてるための手だてを考えるには、まだ遅くはないようだ。
この「新しい」時代は、私たちが地上の生命を一元的な男性的知性から奪回するための、おそらく最後のチャンスなのである。

わたしはれっきとした男性ですが、「男文明から降りる」ことに諸手を挙げて賛成します。
このまま《犯罪的なまでに愚かし》い《機械人間、機械のような男性》たちに社会の舵取りをまかせていたら、わたしたちは全て「殺される」だろうと危惧するからです。
正直にいえば「心底、怖い」のです。
今年03月13日、東電原発事故発生を知った翌日、わたしはTwitterで次のように「つぶやき」ました。

こんなことを思う。過去数十年、ニッポンで原発を推進してきた者たちの中に「女性」はどれくらいいたのだろうか?と。原発を、無思慮に、無責任に推進してきた者たちの多くは「中高年男性」だったのではないか?と。

その後、《機械人間、機械のような男性》たちの無為・無策・無責任・無想像力・無共感力を見せ続けられたことにより、上の思いはいや増すばかりです。
そういうわけですので、わたしも「男文明から降りる」ことにします(粛々と)。


最後になりましたが…。
チェルノブイリは女たちを変えた』をわたしは渋谷望さん(しぶや のぞむ/日本女子大学大学院教授)の書評によって知りました。

ヴェールホーフ、ガムバロフ、ミース他『チェルノブイリは女たちを変えた』社会思想社(1989) via 「怒り・愛・パワー ヴェルホーフ「子どもを進歩のいけにえにさせない」によせて/渋谷望」『現代思想2011年7月臨時増刊号』青土社

今こそ読まれるべき本『チェルノブイリは女たちを変えた』を紹介してくれた渋谷教授にお礼を申し上げます。
なお、『チェルノブイリは女たちを変えた』は現在版元品切れなのですが、渋谷望教授によると、他社から再刊の話があるそうです。


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2011年10月17日

『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』

『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』
枝元なほみの料理がピッとうまくなる』ちくま文庫(2009)

(※『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


枝元なほみの料理がピッとうまくなる』ちくま文庫(2009)を紹介するエントリです。

枝元なほみさんのこの本、「超」お勧めです。
料理にまつわるヒントの数々、個性的なレシピ集、自伝的エッセイと盛り沢山。
全てのページに「実用的に役立つ情報」と「感動」があります。
特に自伝的エッセイ部分が猛烈に面白い!
テレビのみで枝元さんを知っている人は目からウロコが落ちるんじゃないかな~。
巻末の伊藤比呂美さん(詩人・作家)による「解説 反家庭革命軍」も凄すぎます。
文庫としてはちょっと高価ですけど(※税込み882円)、自信をもってお勧めできる一冊です。


枝元なほみさんのあだ名は20代のころから現在までずっと《ねこちゃん》だそうです。
そして「ねこちゃん」こと枝元なほみさんは「猫を拾う人」です。
初めて飼った猫》の名が《けむり》。
ある劇団の稽古場に捨てられていた猫で、なかなか人になつきませんでした》と『料理がピッとうまくなる』135頁にあります。
なぜか「猫を拾う人」たちとの縁に恵まれ、「猫を拾う人」たちと次々と知り合い、「あれよあれよ」と思っているわたし(喜八)ですので、枝元なほみさんも「猫を拾う人」であったのは嬉しい驚きでありました。


ところで、枝元なほみさんの話し方について。
あれは猫なで声の『ぶりっこ』じゃないの?」という方も一部にいらっしゃるようです。
枝元さん自身も次のように書いています(同書216頁)。

テレビに出ただけで、なぜ見ず知らずの人からこんなにひどいこと言われなくちゃならないんだろう。会ったことも、そばにいたことも、口をきいたこともない人なのにっ、と思って。

わたし(喜八)の周囲の人たち、特に女性からそういう声を聞くことが時々あります。
あれ? 枝元なほみさんって、女性に評判が悪いの?
と(一瞬だけ)思ったりもしますが…。
わたし自身はずっと以前から「あれは地(ぢ)では?」と感じていました。
今回、『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』を拝読して、「やはり地(ぢ)だ」という確信を深めました。
枝元なほみさんは決して「ぶりっこ」なんかではないゾ、と。


というわけで、詩人・伊藤比呂美さんによる枝元なほみさん評です。
ともに二十代前半の頃に初めて出会ったときのことから書かれています(同書266-267頁)。

 変な、不思議な、女でありました。
 人間ばなれしてました。
 格好も普通じゃなかったし、表情もしゃべり方も声も、たぷたぷして、要領をえなくて、なかなか先にすすまなくて、しかし辛抱して聞いてると何か深いこと、知らなかったこと、どぎついことが伝わってくるので、無視できない。同世代でここまで変なのは初めて見ました。おどろきでした。大丈夫か、と思いましたが、大丈夫だったのはごらんのとおりです。

伊藤比呂美さんによる「解説 反家庭革命軍」は友情溢れるまさしく名文ですが、もしかしたら枝元さんは上の表現にちょっと傷つかれるかもしれませんね。
なので、畏(おそ)れ多いことではありますが、伊藤比呂美さんの名文の行間(ぎょうかん)をボンクラなわたし(喜八)が忖度(そんたく)させていただきました。
(伊藤比呂美さん、ごめんなさい)
「ねこちゃん」との友情を深めつつ、伊藤比呂美さんは次のように感じられたのではないか、と…。

すごい!
見たことも聞いたこともないような凄いおんなだ!
I really appreciate you!


(※『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


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2011年01月13日

『デモナータ 2幕 悪魔の盗人』ダレン・シャン

『デモナータ 2幕 悪魔の盗人』
デモナータ 2幕 悪魔の盗人

(※『デモナータ1』を「Amazon楽天」「bk1」で購入する)


デモナータ 2幕 悪魔の盗人』(Demon Thief)。
ダレン・シャン作「デモナータThe Demonata)」シリーズ(全10巻)の第2作です(橋本恵訳)。


主人公は第1作『デモナータ 1幕 ロード・ロス』とは変わって、コーネリアス・フレック少年(通称カーネル)。「宙を動く、色とりどりの奇妙な光」が見えるため、同級生など周囲の人たちからは「いかれている」「変人」と見なされています。そのため、カーネルには友達がいません。いつも独りぼっちです。また、彼には生まれつき髪の毛がありません。

あるとき、カーネルは不思議な光の中から怪物(悪魔)が出現するのを目撃してしまいます。そして、気を失います。カーネルがふたたび意識を取り戻すと大騒ぎになっていました。彼は数日間行方不明状態になっていたのです。行方不明になっていた間の記憶をカーネルは失っていました。

その後、カーネルにもよく分からない事情でフレック一家は「夜逃げ」同然の有様で急に引っ越しをすることになります。父親のカスピアン(絵描き)、母親のメレーナ(大学講師)、まだ赤ん坊の弟アート、カーネルの4人はこれまで住んでいた都会を脱出し、パスキンスンという小さな村に落ち着きます。ここは工芸家・芸術家の村でした。

以前、通っていた都会の学校と違って、パスキンスンの村の子供たちはカーネルをことさらに差別するようなことはありませんでした(光が見えることを口外しなかったからでもありますが)。カーネルは村の生活に馴染んでいきます。何をするにも幼い弟のアートがいつも一緒です。カーネルは弟を心から愛していました。

ところが、平穏な生活に陰が差し始めます。「魔女」というあだ名のミス・イギン、村の誰とも付き合わず孤立した生活を送っている女性が、カーネルとアートを脅すような言動を取り始めたのです。そして、もしカーネルが誰かほかの者にいいつけたら、喉を耳から耳まで切り裂いてやると脅迫します。

ある日、破局がやってきました。村の子供たちが屋外授業をしているとき、ミス・イギンがやってきて、大きな声で怒鳴り始めます。そして、なんと身体が破裂して死んでしまいます。

ミス・イギンが死んだ場所には縦2メートル横1メートルの地上50~60センチに浮かぶ「大きい灰色の光のパネル」が出現します。これは悪魔の世界と人間の世界をつなぐ「まど」でした。カーネルは嫌な予感がして皆に逃げるように告げましたが、すでに手遅れでした。「まど」からは悪魔カダパーが出現し、先生や生徒たちを手当たり次第に殺し始めます。

カーネルは幼い弟を連れて逃げようとしましたが、悪魔に弟を攫われてしまいます。一瞬、迷った彼ですが、悪魔を追って「まど」に飛び込みます。「まど」の向こうは悪魔の世界「デモナータ」でした。これよりカーネルの悪夢のような追跡行が始まります…。

物語は、コーネリアス・フレック少年(カーネル)が弟のアートを救出するというシンプルな構成です。が、なかなか凝ったミステリが仕組まれています。「ああ、なるほど! そうだったんだ!」という「種明かし」が複数回ありました。私(喜八)はこういうのは好きですね。

カーネルとともに戦う「魔術同盟」のメンバーの中に、ダービッシュ・グレイディがいます。第1作と第3作にもグレブス少年の叔父として登場するダービッシュです。ただ、この第2作『デモナータ 2 悪魔の盗人』ではパンク風のみなりをした若い男となっています。「デモナータ」の「1」と「2」では20年ほど時代が異なっているようです。


(※『デモナータ1』を「Amazon楽天」「bk1」で購入する)

(※以前、別の場所で書いた文章を一部修正して再アップロードしました)


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2011年01月06日

『デモナータ 1幕 ロード・ロス』ダレン・シャン

『デモナータ 1 ロード・ロス』
デモナータ 1幕 ロード・ロス』ダレン・シャン

(※『デモナータ1』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


デモナータ 1幕 ロード・ロスダレン・シャン・(橋本恵訳)小学館。
全10巻におよぶモダンホラー「デモナータThe Demonata)」シリーズの第1巻です。

主人公はグルービッチ・グレイディ(愛称 : グレブス)。中学生くらいの少年です。年齢のわりには大柄。赤毛。友人たちに対する見栄でタバコを吸って、それが見つかり、大目玉を食らうような普通の男の子です。ただし(告げ口をした)姉グレテルダへの復讐に「くさりはじめたネズミの死骸」を使うような、ちょっと常軌を逸した部分もあります。

大のチェス好きの両親と姉、それにグルービッチ(グレブス)の4人家族は平穏に暮らしていました。けれども、両親と姉の3人が自分には黙って「何か」を実行しようとしていることにグレブスは気づきます。両親の勧めに従って「ケイトおばさん」の家に一人泊まるふりをした彼はひそかに自宅へと戻ります。

家のドアを開けたグレブスを待っていたのは文字通りの地獄光景でした。「魔将」ロード・ロスと配下の悪魔アーテリーとベインにより、両親と姉が虐殺されていたのです。悪魔たちはグレブスも殺そうとしますが、彼は自分でも知らなかった不思議な力(魔力)を発揮して窮地を脱します…。

両親と姉を惨殺されたグレブスは精神のバランスを決定的に崩してしまいます。精神病院に入院しての長い闘病。グレブスは過酷な現実から逃避し、どうにか生存を続けますが、病気は一向に良くなりません。ある日、叔父(父親の弟)であるダービッシュ・グレイディの見舞いを受けたことから、回復への道が開けます。

精神病院から退院したグレブスはダービッシュ叔父の屋敷(大豪邸)に住むことになります。そしてダービッシュを「実の父親」と信じるビルE・スプリーン(ビリー・スプリーン)少年やセクシーな美女ミーラ・フレームとも親交を深めていきます。もちろん家族を殺した悪魔たちのことは忘れられません。そして新たな「謎」がグレブスの生活に暗い影を落とし始めます…。

若き天才ホラー作家ダレン・シャンのシリーズ作品は巻が進むにつれて面白さも増す傾向があります。と言っても、この第1巻が詰まらないというわけではありません。シリーズの最初から相当なレベルの面白さなのですが、その面白さが更にアップしてゆくのです。「デモナータ」シリーズにも同じことが言えます。

最初にも書きましたように「デモナータThe Demonata)」シリーズは全10巻。そして主人公は3人。少年のグルービッチ・グレイディ。コーネリアス・フレック。少女のべック。それぞれ違う時代に暮らす、まったくつながりがないように見える少年少女の物語がどう統一されていゆくのか? 物語の展開が楽しみです。


(※『デモナータ1』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)

(※以前、別の場所で書いた文章を一部修正して再アップロードしました)


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2010年12月10日

桐野夏生「男の作家が書く女って、みんな骨細」

『発火点』桐野夏生
桐野夏生対論集『発火点』文藝春秋(2009)

(※『発火点』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


小説家の桐野夏生さん・林真理子さんが「女性の骨太・骨細」について大変興味深い発言をされています。
思わず抱腹絶倒させていただきました…。

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2010年10月21日

傑作!漫画リスト(2010-10-21版)

猫の喜八
猫の喜八(は漫画を読みません…)


「これは本当に面白い!」と私(喜八)が感じた漫画作品一覧です。
小学生の頃から現在に至るまでに読んだ「ベスト・オブ・ベスト」作品をリストアップしてみました。
当初思ったより長めのリストになりましたので、作品名・作者名だけを公開します。リンクも張っていません(これは単にナマケモノなためですが)。

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2010年10月13日

信田さよ子『選ばれる男たち 女たちの夢のゆくえ』から

『選ばれる男たち 女たちの夢のゆくえ』信田さよ子
選ばれる男たち』信田さよ子、講談社現代新書(2009)

(※『選ばれる男たち 女たちの夢のゆくえ』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


信田さよ子さん(「原宿カウンセリングセンター」所長)の『選ばれる男たち 女たちの夢のゆくえ』講談社現代新書(2009.07)から、特に印象深かった部分を引用させていただきます。

【信田さよ子プロフィール】
原宿カウンセリングセンター所長として、1995年以来走り続けてきた。還暦をはるかに過ぎてしまったのに、いまだに休むことを許されず(好きで走っているという説もある)、日々ぎりぎりの生活を余儀なくされている。唯一の運動は週一度の水泳だが、遅々として上達せず、かなづちでなくなっただけでも儲けものだと思っている。 仕事であるカウンセリングはもちろん手抜きはせず、それ以外に全国の講演、本の執筆、NPO法人をとおした研究活動など、およそ老人労働基準法(こんなものはありません)違反のスケジュールを、軽業師のように消化する日々である。
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2010年09月15日

『リハビリの夜』熊谷晋一郎(その1/協応構造)

『リハビリの夜』熊谷晋一郎
リハビリの夜』熊谷晋一郎、医学書院(2009)

(※『リハビリの夜』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


熊谷晋一郎さん(小児科医・写真掲載ページ)の著書『リハビリの夜』医学書院(2009.12)を紹介させていただきます。

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2010年08月30日

『反撃カルチャー』雨宮処凛

『反撃カルチャー』
反撃カルチャー』雨宮処凛、角川学芸出版(2010.06)

(※『反撃カルチャー』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


雨宮処凛さん(小説家・アクティビスト)の『反撃カルチャー プレカリアートの豊かな世界角川学芸出版(2010.06)を紹介するエントリです。

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2010年05月12日

綾屋紗月『前略、離婚を決めました』

よりみちパン!セ「前略、離婚を決めました」綾屋紗月

(※『前略、離婚を決めました』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


綾屋紗月《あやや・さつき》さんの『前略、離婚を決めました』理論社(2009.08)から特に印象深かったところを引用させていただきます。

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2010年02月14日

『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治

『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治
アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』伊勢崎賢治、かもがわ出版(2010)


伊勢崎賢治・東京外国語大学教授(平和構築学)の新著『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせるかもがわ出版(2010.02)を紹介します。

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2010年01月20日

湯浅誠「ただでさえ弱いのに分裂してどうするんだ」

湯浅誠さん
湯浅誠さん(「反貧困世直し大集会」東京芝公園、2009-10-17)


自分でも「元気がないな~」と感じるときは、湯浅誠さん(「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」事務局長)の言葉に接して、勇気を取り戻すことにしています。

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2010年01月15日

『介護労働を生きる』白崎朝子

『介護労働を生きる』白崎朝子
介護労働を生きる』白崎朝子、現代書館(2009)

(※『介護労働を生きる』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


白崎朝子さん(ライター・介護労働者)の『介護労働を生きる』現代書館(2009.03)を紹介させていただきます。

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2009年12月18日

湯浅誠『岩盤を穿つ』から

『岩盤を穿つ』湯浅誠
岩盤を穿つ』湯浅誠、文藝春秋社(2009)

(※『岩盤を穿つ』を「Amazon楽天」「bk1」で購入する)


湯浅誠さん(「NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」事務局長)の『岩盤を穿つ』文藝春秋社(2009.11)から、特に強い印象を受けた部分を抜書きさせていただきます。
(各引用文冒頭の数字はページ数。《 》 に挟まれた部分は喜八による補足です)

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2009年12月03日

佐藤優『神学部とは何か』から

『神学部とは何か』佐藤優
神学部とは何か』佐藤優、新教出版社(2009)

(※『神学部とは何か』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


佐藤優さん(神学者・作家)の『神学部とは何か―非キリスト教徒にとっての神学入門新教出版社(2009)から一部を引用させていただきます(62-64頁)。

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2009年11月24日

『つながりゆるりと』うてつあきこ(1)

特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター・もやい」スタッフのうてつあきこさんが本を出されます。

つながりゆるりと 小さな居場所「サロン・ド・カフェ こもれび」の挑戦
うてつあきこ、自然食通信社(2009年11月25日発売予定)

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2009年10月26日

『ハウジングプア』稲葉剛(その3)

稲葉剛さんと浦松祥子さん(1)
稲葉剛「もやい」代表理事(左)と浦松祥子「山吹書店」代表


稲葉剛さん(「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事)の『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう山吹書店(2009年10月24日発売)を紹介するエントリ第3弾です。

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2009年10月24日

『ハウジングプア』稲葉剛(その2)

『ハウジングプア』稲葉剛
ハウジングプア』稲葉剛、山吹書店(2009)


稲葉剛さん(「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事)の新刊『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう山吹書店(2009)の読書感想文エントリ第2弾です。

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2009年10月22日

『ハウジングプア』稲葉剛(その1)

『ハウジングプア』稲葉剛
ハウジングプア』稲葉剛、山吹書店(2009)


稲葉剛さん(「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事)の新刊『ハウジングプア 「住まいの貧困」と向きあう山吹書店(2009)を紹介します。

広告:『貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝

『貧困のリアル』
貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝、飛鳥新社(2009)

(※『貧困のリアル』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)

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2009年10月16日

『目立つ力』勝間和代(その3)

『目立つ力』勝間和代、小学館新書
目立つ力』勝間和代、小学館新書(2009)

(※『目立つ力』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


勝間和代さん(経済評論家・公認会計士)の新刊『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』小学館新書(2009)が10月01日に刊行されました。
その読書感想文エントリ第3回です。

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2009年10月07日

『目立つ力』勝間和代(その2)

『目立つ力』勝間和代、小学館新書
目立つ力』勝間和代、小学館新書(2009)

(※『目立つ力』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


勝間和代さん(経済評論家・公認会計士)の新刊『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』小学館新書(2009)が10月01日に刊行されました。
その読書感想文エントリ第2回です。

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2009年10月02日

『目立つ力』勝間和代(その1)

『目立つ力』勝間和代、小学館新書
目立つ力』勝間和代、小学館新書(2009)

(※『目立つ力』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


勝間和代さん(経済評論家・公認会計士)の新刊『目立つ力 インターネットで人生を変える方法』小学館新書(2009)が昨日(10-01)発売されました。
その読書感想文エントリです。

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2009年09月27日

『貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝

『貧困のリアル』
貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝、飛鳥新社(2009)

(※『貧困のリアル』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝、飛鳥新社(2009)の読書感想文エントリです。

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2009年09月15日

三浦小太郎さんの推薦本

平和の猫
(猫画像は「EyesPic」さんよりお借りしました)


保守思想家の三浦小太郎さん(「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」代表)から良書の推薦をいただきました。
三浦さんの了承を得て、メール文の一部を転載させていただきます(転載文中のリンクは、読者の便宜をはかるため、喜八が張りました)。

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2009年09月13日

稲葉剛さんの新刊『貧困のリアル』

『貧困のリアル』
貧困のリアル』稲葉剛・冨樫匡孝、飛鳥新社(2009)

(※『貧困のリアル』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


昨日、ジュンク堂書店新宿店(東京)で、稲葉剛さん「自立生活サポートセンター・もやい」代表)の新刊『貧困のリアル』飛鳥新社(2009)を見つけました。
もちろん、すかさず購入しました。

なにはともあれ、紹介エントリを上げておきます(読書感想文エントリは近日中に・・・)。

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2009年08月23日

漫画の話(r)

龍-RON- 第42巻
 龍-RON- 第42巻


謎の憂国者「」さんの「漫画小論」です。

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2009年08月20日

傑作!漫画リスト

漫画猫
(猫の画像は「EyesPic」さんよりお借りしました)


私(喜八)が偏愛している漫画のリストをつくってみました。

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2009年08月16日

『世界に羽ばたけ轟先生!』神原則夫

『世界に羽ばたけ轟先生!(1)』神原則夫
世界に羽ばたけ轟先生!(1)』神原則夫、講談社(2009)

(『世界に羽ばたけ轟先生!(1)』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


漫画『世界に羽ばたけ轟先生!神原則夫、講談社(2009)を紹介するエントリです。

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2009年07月14日

『どんとこい、貧困!』湯浅誠

『どんとこい、貧困!』湯浅誠
どんとこい、貧困!』湯浅誠、理論社(2009)

(『どんとこい、貧困!』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


「労働/生存運動」の理論的・精神的支柱、湯浅誠さん(「NPO法人自立生活サポートセンターもやい」事務局長)の新著『どんとこい、貧困!』理論社(2009)に関するエントリです。

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2009年06月29日

『汚名』鈴木宗男

『汚名 国家に人生を奪われた男の告白』鈴木宗男
汚名』鈴木宗男、講談社(2009)

(『汚名』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


汚名 国家に人生を奪われた男の告白』は政治家・鈴木宗男(衆議院議員・新党「大地」代表)による政治闘争の記録です。
権力中枢から狙い撃ちにされ、ありとあらゆる謀略攻撃を受けながらも生き残り、いまもしぶとくしたたかに戦い続けている鈴木宗男さん。
その戦いの軌跡を書き記した1冊です。

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2009年05月01日

rの『龍-RON-』小論

龍-RON- 第42巻
 龍-RON- 第42巻

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謎の憂国者「」さんの漫画論第2弾です(前回)。

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2009年04月24日

『龍-RON-』村上もとか

龍-RON- 第42巻
 龍-RON- 第42巻

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謎の憂国者「」さんの漫画論です(珍しい!)。

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2009年01月27日

『ムハマド・ユヌス自伝』

『ムハマド・ユヌス自伝』
ムハマド・ユヌス自伝

(『ムハマド・ユヌス自伝』を「Amazon」「楽天」「bk1」「紀伊國屋書店」「セブンアンドワイicon」で購入する)

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バングラデシュの経済学者・銀行家ムハマド・ユヌス博士の『ムハマド・ユヌス自伝』早川書房(1998)から、強い印象を受けた部分を紹介します(ユヌス博士は2006年ノーベル平和賞をグラミン銀行Grameen Bank》と共に受賞しています)。
引用文冒頭カッコ内の数字はページ数です。

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2009年01月22日

日隅一雄『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』

『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』日隅一雄
マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』日隅一雄、現代人文社(2008)


日隅一雄弁護士による『マスコミはなぜ「マスゴミ」と呼ばれるのか』現代人文社(2008)は掛け値なしの「名著」です。

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2009年01月15日

三島由紀夫『文章読本』

決定版 三島由紀夫全集 31巻
『決定版 三島由紀夫全集 31巻』

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最近、読み直した三島由紀夫の「文章読本」から、特に注意を引き付けられた箇所を以下に抜書きします。
引用文冒頭カッコ内の数字は、「文章読本」が収録されている『決定版 三島由紀夫全集 31巻』新潮社(2003)のページ数です。

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2008年12月24日

『貧困のない世界を創る』から

『貧困のない世界を創る』ムハマド・ユヌス
貧困のない世界を創る』ムハマド・ユヌス

(『貧困のない世界を創る』を「Amazon」「楽天」「bk1」「紀伊國屋」「セブンアンドワイ」で購入する)

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2006年ノーベル平和賞をグラミン銀行と共に受賞したバングラデシュの経済学者・銀行家ムハマド・ユヌス博士の著書『貧困のない世界を創る』早川書房(2008)から。
特に強い印象を受けた部分を紹介します。
引用文冒頭カッコ内の数字はページ数です。

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2008年12月07日

『英語は楽しく使うもの』松本青也

『英語は楽しく使うもの』松本青也
英語は楽しく使うもの』松本青也、朝日出版社(2006)

(『英語は楽しく使うもの』を「Amazon」「楽天」「bk1」「紀伊國屋」「セブンアンドワイ」で購入する)

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英語は楽しく使うもの インターネットが可能にした最新英語習得法
松本青也、朝日出版社(2006)

インターネットを利用して、英語を毎日楽しく使う。
そうすることで、より英語が使えるようになりましょう。
(しかも、あまりおカネを使わずに)
という、実用的で平明で、とても有難い本です。

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2008年11月23日

『新しい株式投資論』山崎元

『新しい株式投資論』山崎元
新しい株式投資論』山崎元、PHP新書(2007)

(『新しい株式投資論』を「楽天」「Amazon」「bk1」で購入する)


米国のサブプライムローン破綻から始まった世界同時不況。
今後どれくらい続くのか予想もできませんが、世界経済が景気低迷期に入った可能性はきわめて高いのでしょう。

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2008年10月30日

『自公連立解体論』から

『自公連立解体論』白川勝彦
自公連立解体論』白川勝彦、花伝社(2008)

(『自公連立解体論』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)

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2008年10月28日

『勝間和代の日本を変えよう』から

『勝間和代の日本を変えよう』毎日新聞社
勝間和代の日本を変えよう』毎日新聞社(2008)

(『勝間和代の日本を変えよう』を「Amazon」「楽天」「bk1」で購入する)


勝間和代さん(経済評論家・公認会計士)の新著『勝間和代の日本を変えよう Lifehacking Japan』毎日新聞社(2008)から、特に気になった部分・感銘を受けた部分を抜書きします。
以下、引用文冒頭カッコ内の数字はページ数です。

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2008年08月12日

『「生きづらさ」について』

『「生きづらさ」について』雨宮処凛・萱野稔人
「生きづらさ」について』雨宮処凛・萱野稔人


雨宮処凛さん(作家)と萱野稔人さん(哲学者)の対談本『「生きづらさ」について』光文社新書(2008)を「ふんふん、なるほど」と興味深く読んでいたところ・・・。
とある部分で「アッ」と驚きました。

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2008年07月23日

『ハリー・ポッターと死の秘宝』

『ハリー・ポッターと死の秘宝』
ハリー・ポッターと死の秘宝』J・K・ローリング

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今日(07-23)はハリー・ポッター・シリーズ第7巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』日本語翻訳版の発売日だったんですね。

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2008年07月07日

片山さつき議員の発言

『生きさせろ!』雨宮処凛
生きさせろ!』雨宮処凛


生きさせろ!雨宮処凛、太田出版(2007)から、片山さつき衆議院議員(自民党)の「二ートやフリーターを工場で働かせてもすぐにキツいと辞めてしまう」発言部分を紹介します。

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2008年05月30日

『貧困と愛国』

『貧困と愛国』雨宮処凛・佐高信
貧困と愛国』雨宮処凛・佐高信

郵政民営化凍結

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貧困と愛国雨宮処凛佐高信、毎日新聞社(2008)から「なるほど!」と思った部分・思わず笑ってしまった部分を引用させていただきます。

まずは、今や「プレカリアート運動」の象徴的存在となっている雨宮処凛さんに佐高信さんが「労働運動をしていると『右翼』が来ませんか?」という意味の質問をするところから(『貧困と愛国』66-67頁)。

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2008年05月24日

感銘を受けた本(後編)

郵政民営化凍結

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昨日(05-23)のエントリ「感銘を受けた本(前編)」の続編です。
喜八の「これは凄い!」本リストを「著者名・五十音順」で紹介します。

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2008年05月23日

感銘を受けた本(前編)

郵政民営化凍結

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このごろは「これは凄い!」という本に巡り会うことが増えている(激増している)のですが・・・。生まれついての怠けグセが最近いちだんと悪化しているため、なかなか読書感想文を書けません(汗)。

以下「これは凄い!」本を「著者名・五十音順」でリストアップしておきます。

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2008年04月23日

『大和ごころ入門』

『大和ごころ入門』村上正邦・佐藤優
大和ごころ入門』扶桑社(2008)。村上正邦さん(元労働大臣)と佐藤優さん(起訴休職外務事務官・作家)の対談本です。

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2008年01月22日

『生き地獄天国』

『生き地獄天国―雨宮処凛自伝』
このごろは
雨宮処凛さんのことを「プレカリアートのマリア」と形容する向きもあるのだとか。どうやらこれは朝日新聞による命名のようです(「雨宮処凛 すごい生き方ブログ 2007,06,19」)。

私(喜八)の見るところでは「マリア」というのは、どうも雨宮さんのガラではありません。むしろ「観音菩薩」あるいは「マリア観音」の呼称が似合いそうな雨宮処凛さんです(「敵」にとっては「鬼子母神」か?)。

「雨宮処凛のロリータ・ファッションは甲冑《かっちゅう》だ。戦闘服なのだ」という意見もあるみたいです。これは正鵠《せいこく》を射ていると思います。悪意むき出しの輩《やから》が闊歩する「娑婆」に討って出るための鎧《よろい》としてのロリータ。雨宮さん自身も以下のように書かれています(「webちくま」反撃タイムズ第5回より一部引用)。

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投稿者 kihachin : 12:45 | トラックバック

2007年10月25日

金大中氏拉致事件

『国家情報戦略』佐藤優・コウヨンチョル
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1973年、韓国の民主運動家であった金大中(キム・デジュン)氏が東京都内のホテルから白昼堂々「拉致」された「金大中事件《きんだいちゅうじけん》」。当時、私(喜八)は中学生だったので、あの衝撃的な事件のことは、よく覚えています。

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投稿者 kihachin : 19:57 | トラックバック

2007年10月18日

植草一秀『知られざる真実』より

『知られざる真実 勾留地にて』植草一秀
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植草一秀さんは「小泉・竹中政権」の政策をもっとも厳しく一貫して批判してきたエコノミストです。しかも植草さんは旺盛な執筆活動のかたわらテレビにも頻繁に出演していたため、大きな社会的影響力を持っていました。不可解な「事件」の前までは・・・。

植草一秀さんの近著『知られざる真実 勾留地にて』イプシロン出版(2007)から気になった部分を抜書きしてみました。引用文中「」は植草さんです。なお、太字の「見出し」とページ数の表示は私(喜八)が便宜的につけました。

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2007年09月26日

「郵政民営化凍結」のための参考書

郵政民営化凍結

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(猫の画像は「ImageChef イメージクリエーター」で製作しました)


小泉・竹中政権による「郵政民営化」とは一体何だったのか?
あれだけ大騒ぎして強行された「郵政民営化」は、我々の生活にどのような影響を与えるのか?
この疑問を解くのに役立つ本を集めてみました。

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2007年09月18日

『参議院なんかいらない』

『参議院なんかいらない』村上正邦・平野貞夫・筆坂秀世

元・参議院議員、平野貞夫氏と村上正邦氏の発言を『参議院なんかいらない』幻冬舎新書(2007)より引用します。やはり元・参議院議員で郵政民営化担当大臣・内閣府特命担当大臣・総務大臣を歴任した竹中平蔵氏に対する痛烈な批判の部分です。

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2007年08月24日

『ワーキングプアの反撃』

『ワーキングプアの反撃』雨宮処凛・福島みずほ
雨宮処凛(あまみやかりん)さんと福島みずほさんの対談本『ワーキングプアの反撃』七つ森書館(2007)を非常に興味深く読みました。

雨宮処凛さんは20代の頃「反米右翼」団体に属し、民族派パンクロックバンド「維新赤誠塾」ではヴォーカルをつとめ、「ミニスカ右翼」と呼ばれていました。現在は小説家・著述家として旺盛な活動を展開し、さらには「プレカリアート(不安定なプロレタリアート)」支援運動に邁進《まいしん》されています。

福島みずほさんは言わずと知れた「社民党」党首です。なぜか日本国内の「いわゆる右派」男性からは憎悪と侮蔑の対象とされることが多いようです。では、どうして福島みずほさんは嫌われるのか? 「社民党」であることが原因なのか? フェミニストであることが理由なのか? はたまた「事実婚」を実践されているためか? よく分かりませんが、本書『ワーキングプアの反撃』を読むと「気のいい元気なお姉さん」という感じですね。悪印象はまったくありません。

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2007年07月06日

皆さんに応援して欲しい「雑誌」

「月刊日本」

謎の憂国者「」さんの雑誌紹介です。

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2007年06月14日

『世界金融経済の「支配者」』

『世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』東谷暁

世界金融経済の「支配者」―その七つの謎』著者の東谷暁さんは「現在もっとも信頼できる経済ジャーナリストのひとり」だとつねづね私(喜八)は思っています。

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エコノミストは信用できるか』(2003)では、日本の経済学者・エコノミストの多くが状況次第で自分の意見をコロコロ変える節操のない人たちであることを実証。『日本経済新聞は信用できるか』(2004)では、日本で唯一の経済専門全国紙が、やはり状況次第で意見を180度変える、信頼のおけないメディアであることを実証。『民営化という虚妄』(2005)では、いわゆる「郵政民営化」推進派の論拠が、いかにあやふやなものであるかを論破してきました。

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2007年06月06日

『護憲派の一分』

『護憲派の一分』土井たか子、佐高信

元衆議院議長であり社会(社民)党党首もつとめた土井たか子さんと経済評論家佐高信さんの対談集です。土井たか子さんによるミニ自叙伝ともいうべき「初心忘るべからず ── 初当選まで」と、親しい政治家・出版社社長への追悼文「盟友たちへの誓い」も収録されています。

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2007年05月21日

『国家と神とマルクス』

『国家と神とマルクス』佐藤優

外務省のラスプーチン」こと佐藤優起訴休職外務事務官が『月刊日本』『情況』『現代』『週刊東洋経済』『週刊朝日』『朝日新聞』などの雑誌や新聞で発表した文章および対談を1冊にまとめたのが本書『国家と神とマルクス』です。

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2007年04月20日

『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』

『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』

先にアップした記事「防衛庁元幹部の「護憲論」」に続き、『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版(2007)を紹介します。結論から言えば、これは大変な良書だと思います。憲法を守り平和を守りたいという方はぜひとも手にとって読んでみてください。

今回は防衛庁官房長をつとめた竹岡勝美(たけおか・かつみ)さんの発言を紹介します。

竹岡勝美さんは1923年京都府亀岡市生まれ。1948年京都大学法学部卒業。国家地方警察本部に上級職として入庁。岡山、鳥取両県の県警本部長を歴任。1976年、防衛庁人事教育局長。その後、官房長、調達実施本部長を経て1980年に退官された、いわゆる警察・防衛エリートです。

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2007年04月14日

『悪夢のサイクル』