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ナンパの話

夏のあいだ何度か海へ行きます。浜辺でぼんやりしていると、若い人たちがナンパをしているのを見かけます。ナンパに関してはすでに「現役引退」の私ですが、若者たちの行動をひそかに眺めるのは楽しみのひとつでもあります。

そうやって観察していると、やはり派手で目立つような女性のグループが声をかけられることが多いようです。「声をかけやすい」「話に乗ってきそう」というイメージがあるのでしょうか。

けれども「派手で目立つ女性」たちに声をかけて交渉が成立するのは、男性側もまた「派手で目立つ」タイプのときだけでしょう。普通だったり地味だったりする男性が彼女たちに挑戦しても、あっけなく敗退する可能性が高いと思います。

一方、あまり目立たない女性のグループをナンパする男性は少ないようです。なんだか戦略が間違っているようで気が気でなりません(私には関係ないことなのですが)。

ナンパの法則(その1)。自分たちと同じような雰囲気の女性たちをターゲットにします。仮に自分の友達を見て「マジメで地味なやつが多いな」と思ったとしたら、「マジメで地味な」女性のグループに声をかけるのです。

個人的な体験について書きます。10代の終わりころから20代の始めまで、関東地方では有名な伊豆の白浜に、男性ばかり4〜5人で毎年でかけていました。旅行の目的はナンパです。それ以外にはありませんでした。

浜辺についたらまず相棒(いつもおなじ男)と2人組でビーチを巡回します。そして複数のターゲット(女性グループ)を選び出します。その後じっくり相談してターゲットに優先順位をつけます。そして「1番」から順に声をかけてゆきます。

ナンパの法則(その2)。この際1回や2回くらいダメだったからといって、いじけて暗くなってしまうのが一番いけません。「世の中広いのだ(ビーチも広いのだ)」「つぎ行こ、つぎ」と新たな標的に挑戦するようでなくてはいけません。駄目だったら10組でも20組でも声をかけるという気合が必要です。

声をかけて反応がいいようだったら、会話を成立させることに全力を尽くします。ところが、当時自分がどのようなことを話していたのか、いまになってみるとまったく覚えていないのです。おそらく思い出したら赤面するような軽薄なことを軽薄な態度で喋っていたに違いありません。

会話が成立して打ち解けてきたら「夜になったら花火をしようよ」と誘いました。それぞれの宿(たいていは民宿)での夕食後をすませた後、海岸で待ち合わせて花火をするのです。そのあとビールを飲みに行きました。そして再び海辺を散歩したり・・・。

われわれにとってのナンパはその程度でした。お互いに若い男女のことですから、ほかにも多少はなにかあったかもしれません。でも忘れました。なにしろ遠い昔の話です。

そうやって一緒に楽しく過ごした女性たちのことはいまでもよく覚えています。一瞬といっていいほど短いあいだのことだから、より強い印象が残っているのかもしれません。

若いころに夜空を見上げながら考えたことがあります。地球上には何十億人もの女性がいて、恋愛に限っても無限といっていいほどの可能性がある。でも知り合う「手段」がない。ナンパとは自ら無限の可能性を切り開くことなのだ。なんて大真面目になって。

ふらふらと考えなしに若い時間を浪費していた私も、大学を卒業するころには海辺でのナンパに限界を覚えるようになりました。そしてひっそりと「現役引退」しました。いまはインターネットを通じて知り合った若者にエールを送るくらいがせいぜいです。

まだ若い人でナンパ未経験の人には、ぜひ勇気をだして挑戦してみることをお勧めします。あれこれ考えず、とにかくやってみることが大事です。私は若ければ若いほどよいという考えはもっていませんが、やはり若いときだけしかできないことはあるからです。

(喜八 2004‐07‐24)

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