■ 雑文集


    HOME雑文集の目次→奥多摩 小澤酒造


奥多摩 小澤酒造

山仲間のKさん・Oさん・私(喜八)の3人でのんびり歩きの日帰りハイキングにでかけました。

女性のKさんは、まだ大学生だったご長男を交通事故で亡くされた経験をお持ちです。
その息子さんは私と同年齢だったそうです。
男性のOさんは私より 10 歳ほど年上のダンディな紳士です。

ゆくさきは奥多摩の定番コース「高水三山」。行程は以下の通り。

JR 青梅線軍畑(いくさばた)駅高水山(たかみずさん)岩茸石山(いわたけいしやま・さん)惣岳山(そうがくさん)小澤酒造JR 沢井駅

このコースで有名なのは御岳駅近くにある蕎麦の玉川屋のようです。高水三山を紹介した山の本にも、インターネットで発信されている個人の山行記でも、必ずといってよいくらい玉川屋の名がでてきます。この地を訪れるハイカーの大部分がここに立ち寄ってゆくような印象すら・・・。

これだけ取り上げられるのだから、ここの蕎麦はよほどに美味であるのかもしれません。けれども左党(お酒好き)にはもうひとつ大きな選択肢が高水三山ハイキングには存在します。それが小澤酒造です。

半日の山歩きを楽しんだ後、惣岳山から御岳駅方面に下っていくと、途中で沢井駅方面への分岐点に出合います。手打ち蕎麦に心ひかれる人は右の御岳駅方面に、銘水と米でつくった飲み物(日本酒)に目のない人は左側の沢井駅方面にどうぞ。われわれは瞬時も迷うことなく左を選びました。

山道から集落へ出るとすぐに水場を発見。これは個人所有の水場でした。居合わせたご主人にお断りして湧き水を飲ませていただきます。「う、うまい!」と叫ぶ私たちを、にこにこしながら見守るご主人。

酒蔵が成立する第一の条件はよい水が大量に入手できることだと聞きます。となると小澤酒造のある奥多摩・沢井付近の山の水はとびきり美味いであろう。これは至極まっとうな論理的帰結というべきですね。

銘酒「澤及井」の小澤酒造は青梅線沢井駅から歩いて7〜8分ほどでしょうか。酒蔵(工場)と国道を挟んだ敷地に料亭・レストラン・きき酒処・売店などが揃っています。

酒蔵では午前 11 時から午後3時のあいだ、1時間おきに無料見学ツアーが行なわれています。参加するとミニチュア瓶のお酒が貰えるのが嬉しい。横掘り式の井戸は全国的にも珍しいとのこと。一見の価値があります。

飲食店側の敷地内には銘水「岩清水」が自由に酌める水場がありました。そのほか有料の利き酒コーナーでは色々な銘柄の酒を呑みくらべてみることができます。5勺(90ml)の猪口(ちょこ)がおまけについてきます。

全体的に優雅な雰囲気を漂わせているので、これなら大人のデートスポットとしても有効だなと、これは個人的な感想。特に料亭「ままごとや」のお座敷はお薦めですね。ご夫婦・恋人同士で行かれるとよいでしょう。

それ(おせっかい)はさておき。

窓の下を多摩川が流れる席に腰を据えて一杯また一杯。のんびり歩きの冬の山から下りた後、気持ちのよい友人たちと酌み交わす酒、柚子(ゆず)の香りの味噌田楽、熱々の蕎麦。楽しい時間とは、こういうものだと実感できます。

ほどよく酔ったわれわれが小澤酒造を後にして沢井駅に着いたころには、日も落ちて山間の集落はすっかり暗くなっていました。酔いでほてった頬をホームのベンチで冷ましていると、線路の向こうになにやら動物がちょろちょろしています。なんと小狸でした。

「人間に捕まらないといいけど」
「いや、狸汁にするとこれが美味いんだよ」
がやがやしているうちに上り電車が到着して、お気楽トリオは帰路につきました。

(喜八 2004‐01‐07)

参考ページ


    << 高橋尚子選手に学ぶ  雑文集目次  足柄古道 >> ↑ このページの一番上に戻る  


喜八 e-mail: admin@kihachin.net